さまざまな帳簿
これまでさまざまな期中取引について確認してきました。今回はその取引を記録するための帳簿についてベンキョーしていきます。
以前、仕訳にまつわる帳簿には主要簿と呼ばれる『仕訳帳と総勘定元帳』があるという話をしました。この二つは、必ず作成しなければいけない帳簿です。
補助簿
一方で、必要に応じて作成する帳簿もあります。このような帳簿を補助簿(ほじょぼ)と呼んでいて、特定の取引明細だけを発生順に記録したり、特定の勘定科目の明細を、取引先ごとに記録しています。
特定の取引明細って何やねん…って話だと思うのですが、具体的には
・現金出納帳(げんきんすいとうちょう)
・仕入帳(しいれちょう)
・売上帳(うりあげちょう)などの明細です。
じゃあ、特定の勘定科目の明細は…?何かというと
・売掛金元帳(うりかけきんもとちょう)
・買掛金元帳(かいかけきんもとちょう)
・固定資産台帳(こていしさんだいちょう) などです。
※売掛金元帳=得意先元帳、買掛金元帳=仕入先元帳とよぶこともあります。
これら補助簿の内容については、3級で詳しくベンキョーをします。初級では、『補助簿は必要に応じて明細を記録する帳簿』であるコトを押さえておけばOKです。
ただし、主要簿については詳しく理解しておく必要があります。一緒に確認していきましょう。
主要簿である仕訳帳と総勘定元帳は、大ざっぱに言うと取引金額の大きさや取引量を把握することが目的になっています。また、それぞれの帳簿には以下の特徴があります。
・仕訳帳・・・・・取引を全て日付順に記録をする
・総勘定元帳・・・勘定口座(科目)ごとに残高等を把握できる
特に、仕訳帳から総勘定元帳へ書き写す際には、転記と呼ばれる作業が必要であることをベンキョーしましたね。前回は略式での主要簿を見てきましたが、ここでは詳細を学んでいきます。
仕訳帳
実際の仕訳帳はこんな仕様になっています。
左欄から
①日付欄
②摘要欄(てきようらん)
③元丁欄(もとちょうらん)
④借方/貸方金額欄
⑤仕訳帳のページ数 になっています。
また②摘要欄には、仕訳の最終行に簡単なメモ⑥がありまして、これを小書き(こがき)といいます。さらに、1つの仕訳が終わったコトを示す線⑦も入っていますね。
特に、忘れてはいけないのが③元丁欄・⑤仕訳帳のページ数です。この二つは、転記の際に仕訳帳と総勘定元帳をつなぐ要となります。
元丁とは、総勘定元帳のことを示していて、総勘定元帳には勘定口座ごとに番号が振り分けられています。仕訳帳の元丁欄を見てみると、このお店では
現 金・・・・・1
普通預金・・・3
資本金・・・・・28 となっていますね。
また仕訳帳の欄外右端には1と書いています。これは、仕訳帳の1ページ目であることを示しています。
では、次に総勘定元帳を見てみましょう。
総勘定元帳
先ほどの仕訳帳を転記したものです。
では内容を確認していきましょう。
まず、帳簿名のすぐ下に①勘定科目が入っています。下図は現金勘定であるコトを示しています。ではこれに、T字型の赤い太線を入れてみます。
赤太タテ線を中心に左右対象になっています。これが、今まで見てきたT勘定=略式の総勘定元帳だったわけですが、本来の総勘定元帳はもう少し情報が多いですね。
さらに見ていきますと②日付・③相手科目・④仕訳帳のページ・⑤金額が並んでいます。
では、4月1日の仕訳が、間違いなく転記できているかどうか?を確認してみます。まずは仕訳の確認をしましょう。仕訳帳は以下の通りでした。
次に総勘定元帳を確認してみましょう。
現金勘定の4月1日は、借方500,000、相手科目は資本金、仕丁欄には1と記入されています。
また総勘定元帳の普通預金勘定にも現金勘定と同じように記入されています。
資本金勘定は、仕訳と同じくホームポジション側に金額が記入され、摘要欄には複数の相手科目があることを示す『諸口』、仕丁欄には1が記入されています。
さらに、ここで注目していただきたいのが、総勘定元帳の右端にあった勘定番号です。見ていただくと、普通預金勘定には3、資本金勘定には28と入っています。
この番号は、仕訳帳にあった元丁欄につながっているんですね。
このように総勘定元帳の勘定番号と、仕訳帳のページ数を付き合わせることで、仕訳が間違いなく転記されているというコトが確認できる訳ですね。
現在は会計ソフトが優秀なので、仕訳を入力すれば転記・必要な補助簿への記入も瞬時に済ませてくれます。
それを思うと、世の中の全ての商売人が、これを一つずつ手書きで行っていた時代があったことや事務方の皆さんのご苦労を想像するだけで涙が出そうですね…。
ちなみに今でも、仕訳帳や総勘定元帳のルーズリーフや勘定科目のハンコが販売されています。amazonリンク⇊
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そんな訳で、今回は主要簿と補助簿についてベンキョーしました。
お疲れさまでした。