当座預金
会社でよく使用される3つめの預金は、当座預金です。普通預金や定期預金にはない特徴がいくつかあり、取引の重要な役割を担っています。
当座預金
当座預金は、利息がつかず通帳のない預金口座です。取引があったら当座預金勘定(資産)で処理します。また決済用口座といわれていて、小切手(こぎって)とよばれる紙切れを使って支払いができます。
紙切れといっても、銀行から購入して支払いの依頼をするためのモノですので、とても信用度が高いです。支払いの流れを大ざっぱにいうと
小切手に必要事項を記入し
↓
支払いをしたい相手に渡す
↓
受け取った人は、小切手を銀行に持っていく
↓
銀行は、小切手を記入した人の当座預金から持ってきた人へ記入された金額を支払う
という感じです。なお、小切手に必要事項を記入し相手に交付することを『小切手を振出す』といいます。また、自社で振出した小切手のことを自己振出小切手(じこふりだしこぎって)とよんでいます。
現金での支払いと小切手振り出しでの支払いを比較すると、小切手の方が盗難や紛失の心配がなくとても便利です。
もちろん小切手も紙切れなので、紛失のリスクはゼロではありません。ただ、そういった事態に備えて対策がなされています。下図の小切手には、左上に2本の線で挟まれたBANKの文字があります。これは、換金の際に小切手を持ってきた人の口座に振り込む手続きとすることを示しています。
こうすることで、万がイチ本来の受取人とは異なる人が銀行で手続きしたとしても、受け取った人を特定することが可能です。
小切手を確認する際は、以下に注意します。
・振出人(ふりだしにん)・・・・・・・小切手を振り出した人
・持参人(じさんにん)・・・・・・・・・小切手を銀行に持ってきた人=受取人
・金額 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・振出人が持参人に支払う金額
・支払地・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・振出人の当座預金がある場所
仕訳が必要なタイミングは、①当座預金に入金があったとき ②小切手を振り出したときです。
①当座預金に入金があったとき
【例題3-3】①
うさぎ商店より家賃200,000円が当座預金へ入金された。
当座預金へ入金されたので、資産の増加=当座預金を記入します。
入金分は、家賃として受け取っているので、収益の発生=受取家賃を記入します。
②小切手を振り出したとき
【例題3-3】②
当社は、りす商店より商品30,000円を購入し、小切手を振り出して支払った。
代金の支払いとして小切手を振り出しているので、資産の減少=当座預金を記入します。
商品を購入しているので、費用の発生=仕入を記入します。
仕訳をしていると、小切手を振り出したタイミングで当座預金を減らしていることに違和感を覚えるかもしれません。本来であれば、小切手の受取人である『りす商店』が銀行で手続きをしない限り、振出人である当社の当座預金は減らないからです。
ただ当社としては、小切手を振り出したことで近いうちに当座預金が減ることが分かっています。そのため、振り出したタイミングで仕訳をおこないます。
このように簿記の世界では、分かっていることや予測できることは早めに処理し、リスクに備えるという特徴があります。そうすることで遅れることなく的確に取引を数字で把握し、経営を安定させることができるからです。
これ、地味だけど簿記の世界を理解するには、とても有効な考え方なんです。ぜひ覚えておきましょう。
今回はここまで。
では、また。
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