『イヴの総て』のセロリ
私はポール・ヴァーホーヴェン監督が好きです。『ショーガール』も好き。『イヴの総て』は『ショーガール』の元ネタと言われています。
この映画を観てもう一つ思い出すのは『ガラスの仮面』の乙部のりえのエピソードです。
『イヴの総て』はベティ・デイヴィス演じる人気女優と、その座を乗っ取る機会を狙う付き人の女性（アン・バクスター）が主人公です。
ベティ・デイヴィスの魅力
はじめはベティ・ディヴィス演じるマーゴ・チャニングがイヤな女に思えるのですが、だんだんイヴ役のアン・バクスターの生真面目な顔がイヤに思えてきます。
ワガママな中年女優のマーゴ・チャニングが、ストーリーが進むにつれ、人間臭い魅力的な人物に思えてくるから、ベティ・デイヴィスって面白いです。
NYの社交場カブ・ルーム
マーゴの魅力が発揮される場面のひとつが、カブ・ルームでの食事シーンでした。
カブ・ルームは映画スターや政治家、作家など有名人が集うマンハッタンの最先端の流行スポットだったのだそうです。公式サイトに『イヴの総て』のロケ地だったことも書いてあります。
しかし友人のカレンはつぶやきます。
「マーゴがカブ・ルームに行くなんて……変わったわ」
カブ・ルームは偏屈な大女優が行くにはちょっとふさわしくない、ミーハーなイメージだったのでしょうか？
イヴの陰謀によって仲違いしていた4人の友達、劇作家のロイド（ヒュー・マーロウ）、その妻のカレン（セレステ・ホルム）、マーゴ、その恋人で演出家のビル（ゲイリー・メリル）がカブ・ルームで仲直りのシャンパンを楽しんでいると、イヴと彼女にたらしこまれたドウィット（ジョージ・サンダース）がやってきます。
セロリをガブリ
ドウィットは数日前、イヴを讃えるためにマーゴの批判記事を書いた劇評家です。そんなドウィットが図々しくマーゴに向かってグラスを掲げて挨拶をします。
するとマーゴはカレンの皿からセロリを取ってガブリ。
ドウィットにセロリを掲げてガブリとかじるのです。
「仕方ない。付き合おう」
続けてビルも笑ってセロリをガブリ。
ベティ・デイヴィスの思いきり憎たらしい大口に笑ってしまいました。
中傷記事の反撃がセロリ。
『何がジェーンに起こったか？』もそうでしたが、ベティ・ディヴィスを見る度に恐いけど可愛い人だなと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？