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『現金に手を出すな』のラスク

ジャン・ギャバン主演、ジャック・ベッケル監督作品です。ギャング映画なのですが、はじまりのシーンはいきなりレストラン。モカケーキとか出てきます。

そして、なんといってもラスクのシーンが印象的でした。

あらすじ

マックス(ジャン・ギャバン)とリトン(ルネ・ダリー)は、強盗で得た五千万フラン分の金塊を隠し持っているギャング。
ところが、リトンの女(ジャンヌ・モロー)のせいでその秘密がアンジェロ(リノ・ヴァンチュラ)に洩れてしまいます。

ラスクとミュスカデ

マックスとリトンが隠れ家で今後を相談する、そんな緊迫した状況でも、ギャバンはラスクを用意しています。
二人で黙って酒を飲む場面に味わいがありました。

「飲んでくれナントの酒だ」

字幕ではギャバンがそう言い、ボトルのフタをコンコンと叩いてコルクを抜き、透明なお酒をコップに注ぎます。

正確なことは不明なのですが、須賀碩二著『映画のなかのワインで乾杯!』によるとこの酒はミュスカデらしいです。ナント近郊で作られる代表的な白ワインというと、ミュスカデなんだそうです。

大衆的な白ワインで、『殺意の瞬間』でもギャバンの店にやってきた市場の男たちが「ミュスカデ」をオーダーしてました。

肴はビスコッティ

「肴はラスクで我慢しな」

ギャバンはそう言いながら紙袋からパンを取り出し、皿の上に無造作に並べます。字幕では「ラスク」となっていますが、ギャバンは「biscotte」と言ってたと思います。

最後にマックスは、フタ付きのココットを手に取って封をはがし、中のパテをナイフでたっぷりすくって皿に盛り、リトンに促します。

「さあ、これで一杯いこう」

ラスクを小さく割り、パテを塗り、黙って食べる二人。

ストーリーには何も関係ないのに、椅子に座って食べるまでを省略しないで全部映しているのが面白いです。

私も真似してパン屋でラスクを買い、鱈とジャガイモでペーストを作って、ミュスカデを飲みながら食べました。

ラスク




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