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『蝶は地下鉄をぬけて』を読む。ー魅力的な日常ー
『蝶は地下鉄をぬけて』は、
小野田光さんの第一歌集。
好きな五首を紹介したいと思う。
たてがみをそよがせている馬がいていつまでも歓びは選べる
下句の「いつまでも歓びは選べる」が良い。
その理由として「たてがみをそよがせている馬」が例なのも良い。
「隣り合い出土された」のキャプションで恋仲と思われがちな化石
博物館で化石を見る時に、新しい視点が得られる一首。
確かに、同時にその場で化石になっただけで、本当はすれ違いとかかもしれない。
コンタクトはずして赤い君の目が黒縁眼鏡に額装される
赤と黒のコントラストが気になった一首。
コンタクトで目が疲れて赤くなったので、眼鏡に変えたのだろうか。
「額装」という言い回しから、作者が君を大事に思っていることが伝わってくる。
星々を結べば何にでも見える焼魚座の焦げ目をはがす
自作の星座を作って遊んだことがある。
焼魚という料理を星座にした上に、
「^_^焦げ目をはがす」という
二重の空想が楽しい。
泣きながら力うどんをすすってる人に遭遇したことがある
泣くことと力うどんのギャップが楽しい。
泣きながらも食べ続けていて、人の持つ底力を感じる。
【まとめ】
生活や仕事など身近なテーマの短歌と、少し不思議な短歌がバランス良く混ざっている。
読んでいて飽きなかった。
面白かった。
蝶は地下鉄をぬけて (新鋭短歌シリーズ45) https://amzn.asia/d/03FLLXt
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