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短歌集『閑日月』を読む。−重厚感とユーモア−
樋口忠夫氏の歌集『閑日月』。
短歌歴の長さや人生経験により内容に
重厚感がある歌集だと思う。
五首選で紹介。
デジタルの新たな名義パスワードたがへば門前払ひをくらふ
携帯電話やパソコンなどのパスワードを間違えて、ログイン出来ないことがある。
それを「門前払い」としたおかしさに惹かれた一首。
自由の身に遂げたきことの多くして時のかぎるに思ひは至る
やりたい事は多くても時間に限りがある。
文語で詠むと、日常のふとした考えも重みのある一首になる。
ルックスも血すぢも犬は吾にまさりこのごろ妻と会話もできる
犬と作者自身を比べるクールなユーモアがある。
この犬は、血すぢとあるから、ロボットの犬ではなく、血統書付きの生きているの犬だろう。
※この歌の前にコーギー犬の短歌がある。
お利口な犬だということが
「妻と会話もできる」
で伝わってくる。
比喩だとは思うが。
孤独なるや魂の駆け込み寺のごとあまたの人人スマホ手にする
この文章もスマホ画面をポチポチ叩いて書いているので、ドキッとした。
用がなくてもスマホを見てしまう行動の裏に、こういった心理があるかもしれない。
「駆け込み寺」に切迫感がある。
明日知らぬ生にしあれば「またあした」などとは言はでけふを生くべし
「またあした」の一言に重みを感じる。
そして、今日の大切さも思い出させる。
【まとめ】
言葉遣いや短歌の内容が重厚で、
気軽に紹介文を書いて良いものか実は悩んだ。
そんな歌群の中から紹介しやすいものを選んで紹介した。
もっと深く味わいたい方は是非本をご覧ください。
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閑日月 https://amzn.asia/d/3B4KA5g
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