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ゆめいるか書房
2024年2月9日 12:00
句集『白熱灯』(東國人氏)を拝読しました。本の装丁白熱灯の写真と黒い背景、ハードカバーであるなど、重厚感があります。昭和から令和にかけての作者の俳句が収録されており、時間的な層の厚みも、デザインだけではない面での重厚感を生んでいるのだと思います。本のスピン(栞紐)がオレンジ色である点が、白熱灯を連想させます。五句選良い句や面白い句が多いので選に迷いました。今回は一言コメン
2023年12月15日 12:00
『風のアンダースタディ』(鈴木美紀子氏)を読んだ。本について書肆侃侃房による新鋭短歌シリーズ34である。「アンダースタディ」は英語で代役の意。※語義が広いため、詳細をご覧になりたい方はwikipediaのリンクをご覧ください。五首選服を着ると、内側は暗くなる。しかしこの短歌では、「白いワンピース」なので、白い光で体を包むイメージだろうか。「読みかけ」という途中さが
2023年12月6日 12:00
『レダの靴を履いて 塚本邦雄の歌と歩く』(尾崎まゆみ氏)を読んだ。この本との出会い文フリの打ち上げの席で「塚本邦雄の短歌についての良い解説本が最近刊行された」との噂を聞きました。その本がこちらでした。塚本邦雄の短歌については一度網羅的に読んで、「読んだことはある」状態になりたかった時でしたから「渡りに船」の一冊でした。内容と構成文頭に塚本邦雄の短歌が一首掲載されており、
2023年10月11日 12:00
『義弟全史』は、かばん所属の土井礼一郎氏の歌集である。意味深なタイトルが気になり、惹きつけられた読者も多いのではないかと思う。選(6首)虫や鳥と人の感覚や立場が逆転しているような書き方に工夫を感じた。上句は虫の声や鳥のさえずりだと読んだ。また、虫と鳥を両方哲学や幸福とせずに、それぞれに哲学と幸福とで分けているのも印象深い。人に割り当てられているのが、くるしいであり、一番本
2023年9月15日 12:00
読んだ本『あたまの底のさびしい歌』という本を読んだ。宮沢賢治が友人や親族に送った手紙のうち、11通を掲載した本だ。本としての見どころ素朴な線画の挿絵が要所要所にあり、手紙の内容に似合っている。内容の見どころ選ばれし11通の手紙の内容もそれぞれ味わい深い。ネタバレになるので大掴みで紹介すると・宮沢賢治の信仰と世界観。・菜食主義と、魚を食べた日。・宮沢賢治
2023年6月28日 12:00
私の第一歌集です。前書き今まで色々な歌集を紹介してきたが、自分の歌集の紹介は避けてきた。自分の歌集の紹介は、自分の過去と向き合うことになるので、なんだか照れる。自分の歌集だからといって、甘い文章になるのも心配だった。そんな感じでグダグダと先延ばしにしていたが、「グダグダしている暇があったら、行動した方が早くないか」と思い、今に至る。自選五首冷凍のお弁当用のトンカ
2023年6月14日 12:00
大塚亜希氏の歌集『レインドロップ』を読んだ。書影本としての紹介華やかな表紙から、ほんわかした内容かと思いきや、良いことばかりではなく、人生の起伏がある。五首選何気ない光景から、通行人それぞれの個性を感じている。傘をさそうかさすまいか微妙な降り具合の雨の時は、傘をさす人とささない人が分かれる。その判断の違いを「処世術」とした面白さ。風景の捉え方が面白い一首。す