お笑い初期衝動
135.②ありがちな設定で芝居をする。
以前の記事で、自分の演技力不足を助ける方法として、簡単に3つあげてみた。
①小道具を使う。
②よくありがちな設定で芝居をする。
③ショートコントで乗り切る。
今回は、②よくありがちな設定で芝居をするについて、詳しめに触れていきましょう。
一人芝居という難しい所業において、お客さんの想像力をどれだけかきたてることができるか。これは非常に重要です。
芝居が下手すぎて、その状況・設定すら伝わってないでは、本来面白いボケであっても、ニュアンスが伝わりきらないので、結果としては「面白くない」の印象で着地してしまいがちです。
これはもったいないことです。
お客さんが、望むものは基本これです。
「何も考えなくても、勝手に想像できて、勝手に笑えるものがいい。」
お客さんに頑張って想像力をはたらかせてもらうでは、ダメなのです。
「気がつけば、想像力がはたらいてた」にしてあげるのが理想です。
特に、演者が山ほど出てくる賞レース(お笑いの大会)の予選などでは、観てるうちにお客さんも疲れてくるので、想像力をはたらかさないといけないネタでは、"観よう"という気力がもちません。
初見のお客さんも同様です。
「この芸人は面白い」という事前の期待感がない中で、「よし、この芸人のために想像力をはたらかせよう」とはなりにくい面があります。
では、どうやってネタの状況・設定を伝わりやすくするか。どうすれば、お客さんが「気がつけば、想像力がはたらいてた」というふうになりやすいか。
勿論、これは様々な手法があるのですが、ありがちな設定で芝居をするというのも、一つの手です。
日常でよくあるシーン、ドラマでありそうなシーン、有名なアニメ、有名な童話。
これらの設定でネタをやるということです。
例えば。
お笑い好きの人なら、きっと桃太郎ネタは何度か見たことがあるでしょう。
賞レース予選の時期に、「桃太郎ネタやる人が多かったよ。桃太郎ネタはかぶるからやらない方がいいかも。」なんて声を、僕はお客さんから聞いたことすらあります。
それぐらいやる人が多いのです。
ではなぜ、そんなに桃太郎ネタをやる人が多いのか。
それは、誰もが知ってる話だから状況が伝わりやすい、という理由に他なりません。
誰もが知ってる話なら、演じてる状況設定を安易に想像してもらえます。
そして、言わなくてもわかってることが多くなるので、芝居・セリフをコンパクトにもできます。
“きび団子”のことを、「お婆さんが作ってくれた、なぜだか食べると力がつく団子」といちいち丁寧に説明しなくて済むのです。
また、「普通はこういうストーリーだな」というのが念頭にある上で観てもらえるので、それを裏切るボケもやりやすくなります。
逆に、状況設定が伝わりにくいネタだと、裏切る前に、「普通はこう」をまず想像させる作業からやらないといけない。
これでは、ワンランク上のレベルのテクニックが必要になってしまいます。
ちなみに。
かくいう僕も、桃太郎ネタはやはりもっています。
童話でいえば、浦島太郎ネタもあれば、金の斧銀の斧のネタもあります。
ここをポチッとすると、ボクをサポートできるんだって。 うっふん。