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お笑い初期衝動

136.③ショートコントで乗り切る


以前、自分の演技力不足を助ける方法としてあげた3つの方法。
①小道具を使う。
②よくありがちな設定で芝居をする。
③ショートコントで乗り切る。

今回は、③ショートコントで乗り切るについて触れていきましょう。

『①小道具を使う』を詳しく説明する回で、こんな表現をしたことがあった。
「お客さんのしんどい気持ちが10までいくとゲームオーバーとすると、芝居が下手で7まで上がってしまってたものが、視点を小道具にうつしたタイミングで6とか5に下がる。」

ここだけを改めて切り取ると、何のことかよくわからないでしょうが。
これは、要約すると、下記のようなことを意味しています。

下手な演技を見せていると、お客さんは時間が経つほどに期待感を失ってダレてしまう。これを、あれやこれやの手を使うことで、なんとか工夫して、期待感を維持させておく必要がある。

というようなニュアンスです。

ここが、まずおさえておかないといけない点で。
下手が下手なりになんとか合格点を出そうと思うなら、考え方のベースとして、お客さんの人間心理をよく理解しておくことが重要なのです。
(勿論、下手じゃない人は別です)

「人はどんなときに期待値をもち直すか」という観点で研究し、その手法をネタの中に入れる。
それも「この辺のくだりでダレるかも」という箇所に入れる。いくつも心配なくだりがあれば、ネタの随所に散りばめて入れるのです。

では、この"期待値をもち直す手法"とは具体的に何ぞやということですが。
そのうちの1つが、③ショートコントで乗り切るということになります。

人は仕切り直すタイミングで、「もう一度期待感をもって観よう」と思いがちです。

例えば、ショートコントをやる場合に、1本目があまり面白くなかったとしても、2本目のショートコントのタイトルを言ったところで、「さっきのはイマイチだったけど、次のは面白いかも」と、僅かながら期待値を持ち直してくれがちなのです。

ただ、ショートコントが1本目から3本目までたて続けに面白くなかった場合は、「4つ目に急に面白くなるんじゃないか」とは期待しにくい。
"期待値をもち直す"といっても、それはあくまで僅かであり、時間の経過とともに効果も薄れます。

その辺りを踏まえれば。
ショートコントを5本やるとなったときに、5本の中でわりと自信のあるものを、1本目か2本目には絶対に入れて、早い段階で「この人のやることは面白い」というプラスの印象をもたすべきです。

また、自信のないショートコントを2本以上続けないようにもするべきです。
仮に5本目のショートコントが面白いとしても、2~4本目が続けてつまらなかったら、5本目もさほどウケない可能性は高くなります。
3本続けてつまらないものを観たら、期待値がかなり低い気持ちで5本目を迎えるため、ウケるハードルが上がってしまうのです。

面白いのにウケない、というもったいないことにならないよう、期待値の賞味期限を意識することが大事です。

あと、ショートコントのタイトルを言うときに、いかにも面白そうなタイトル、想像力をかきたてるタイトルであれば、そこで期待値はより回復しやすい面もあるでしょう。
そこの工夫をするのも、一つの手です。

コントのタイトルでいえば。
タイトルで設定を概ね言ってしまう、という手もあります。

一から演じて設定をじわじわわからすようにするでは、演技が下手な場合に、いきなり弱点を露呈することになります。
勿論その間に、お客さんの期待値も時間とともに下がります。

それをタイトルでコントの状況設定を言ってしまえば、ある程度設定が伝わった上で始めることになるので、演技・セリフをコンパクトにできるのです。

僕の持ちネタでいえば。
「コント、結婚式のスピーチを体育会系の友人に頼んだらこうなった」と言って始めるコントがあります。
まさに、もう設定をど頭で言っちゃえというやつです。

こういう手法は、玄人目線では評価されない面もありますが。
ここで述べている内容は、あくまで【下手なりに乗りきる方法論】です。




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