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これからも僕たちは奥大和で「スクール」をする。 〜2年目の「奥大和クリエイティブスクール」をみんなで考えた〜

平成31年度に開催された「奥大和クリエイティブスクール」。県内外から38名が参加し、6名の講師陣からローカルデザインの流儀を学びました。令和2年度も、引き続き「奥大和クリエイティブスクール」を開催します。どのようなスクールにしていこうか? それを話し合うため、講師の中川政七さん、城谷耕生さん、小板橋基希さん、入川秀人さん、齋藤精一さんと、クリエイティブスクールのディレクター・坂本大祐さんが奈良に集結し、奥大和の今と未来について考えました。

奈良県のビジョンのもと、それぞれの領域を活かして実現していく

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坂本:みなさん、初年度の「奥大和クリエイティブスクール」、お疲れさまでした。今日は令和2年度のスクールをどうしていくか、今後のことをお話ししたいと思っています。

城谷:スクールの初年度は6回の講座があって、だんだん参加者の人数が減るのかなと思ったらそんなことはなかったですよね。奈良では、みなさんちゃんと最後まで集まっていたのがすごいなと思いました。

坂本:参加者の属性がいい意味でバラバラで、そんな彼らに交わってもらえてよかったです。大事なのはこの次をどうしていくか、ですね。

中川:講師のみなさんが普段はそれぞれプロジェクトを仕切るお立場じゃないですか。どういう方法がいいかと考えると、僕ら(講師)のビジョンではなく、奈良県のビジョンのもとで、それぞれの領域を活かしながら実現していくのがいいのかなと。

齋藤:ビジョンがあれば、実装させていくお手伝いはできます。単純に「限界集落を守りましょう」という話ではなくて、取り組み自体をどうやって実装するかですね。東北で開催したあるスクールでは、1回目は僕らが講師をして、次は生徒が講師なんですよ。実践をしながら進めていく形式です。

中川:県外からの参加者をあえて募集してもいいんじゃないですか。若い人たちを募って、(奥大和に)関心のある人材をきちんと集めていく。

城谷:僕はこのメンバーのなかで一番田舎に住んでいると思うんですけど、田舎には若い人・若いエネルギーが集まればすごくいいなと。自分たちで餅つきをして、若くてやる気のある人に見せるのがいい。今は美大や芸大を卒業しても就職先がない時代です。東京から地方にデザイナーが移住して日本全体の文化レベルをあげようという考え方があって、それを奥大和でやるのもいいかもしれません。

講師が1チームずつ持って動く、実践的なスクールに

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坂本:奥大和には十津川村の果無集落など、自立可能な暮らしを実現している持続可能性の高い集落がリアルに存在しています。オフグリッド特区などの可能性を秘めているし、日本の新しい暮らしの実験の地に適していると思うんです。

入川:僕は十津川村と下北山村へ、実際に行ってきたんです。日本のすばらしい原風景が広がっていて、暮らしに寄り添った体験ができるところだと思いました。紀伊半島はすごいな、と。その要が奈良だと感じました。僕はエリアブランディングが専門だから、奥大和を旅する外国人観光客の服装を見ていて、世界に発信できる可能性があると。

小板橋:いろんな問題があるなかで、観光化したいのか、何をしたいのかが重要ですよね。オフグリッドは手段ですけど、目的にはならない。地元の人たちが自発的に生み出せるシステムにして、継続しないといけないと思うので。地元の人がプレイヤーになるような。

今情報が出ているのは、ほとんど奈良県の北部のもの(奈良市など)で、奥大和ってやっぱり謎が多いところですよね。最南端の村は和歌山や三重のほうが生活圏で、複雑。そういうものを、まずしっかりださないといけないのかな。環境問題のほうが今前にきてしまうと、今の問題として流行っても、その奥にあるおもしろいものがもったいないなと。

坂本:たしかに謎が多いんですよね(笑)。

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小板橋:わかりやすいサービスは短命な気がするので。サービスになる前に、僕らが1チームずつ持って動く、クリエイターと市民が純粋に楽しめるワークショップがいいのでは。

坂本:よくわかります。奈良県の内側に対してもどうあったほうがいいのか、その両輪の話をされているんじゃないかなと思うんですけど。

中川:小板橋さんがおっしゃるように、全体像の解像度を高めることを一緒にやりましょうか。その上でみんなで動くのか、それぞれ動くのか。

小板橋:オフグリッドは、得をするからとか便利だからやるわけじゃないじゃないですか。おばあさんたちの生活って、自然からのつながりや畏敬の念が大前提。そこを伝えずして疑似体験させて「あったかいね」というのもおかしい。共有をどうさせるか。プロダクトとか素材の再利用もいいと思うけど、目に見えないファンタジーをみんなで共有できないと。

齋藤:僕も「地場のものづくりをつくっていきましょう」っていうのは無理だと思っていて。今の地方は、完全に体験を求められています。例えば、ケイタイの電源を切って過ごすツアーとか。ここで、おばあさんたちがやってきたことを二次体験させるのか。ちょうどいいバランスが奈良や奥大和の魅力ですから、そのちょうどよさのままで実現しないと。

令和2年度は「プロジェクトベースドラーニング」!

坂本:実装できるよう、スクールで人を集められるといいですね。例えば小板橋さんが考える関わり方があって、実際に動くメンバーがいたらいいなと。

中川:奈良県のビジョンのなかで、僕らは躍りたいし動きたいです。講師ごとの各チームをつくり、プロジェクト機能で複合的に交わっていきましょう。先日、「いいプロジェクトがないからこそ稼動しない」とある人と話していて。いいプロジェクトがあれば、学びにはすごくいいです。

入川:僕らのリソースはいくらでも出せます。奈良県のビジョンをみんなで共有して進めていきましょう。

坂本:「プロジェクトベースドラーニング」ですね。令和2年度もどうぞよろしくお願いします!

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令和2年度は「プロジェクトベースドラーニング(プロジェクト型のスクール)」になります。
奥大和をフィールドに、講師陣が各プロジェクトを創出し、チームごとに活動します。それぞれがプロジェクトベースの戦術を立てて実践し、参加者はその最初から関われることがメリットの一つ。
初めて参加するのも2年連続参加でもOK。県外・遠方からの参加も、高校生の参加も歓迎です。
2020年夏に募集をし、10月からプロジェクトスタートをします(予定)。
令和2年度も「奥大和クリエイティブスクール」にご注目ください。

(この座談会は2020年2月8日に開催しました)

https://school.okuyamato.jp/

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