ちょっと不思議な話(親子・芸子)

こんにちは奥山さんと言います。
あるレース場の売店の方から聞いた少し不思議な話2話です。
1話目は、麺がシコシコでウマウマなラーメンを売っていた、40代の店長らしき男性の方から聞いた短い話。
会社員だった20年位前、残業続きの深夜、家路を急ぐため、山の中にある橋のたもとをクルマで走っていると、道路わきに白い着物を着た女性と子供が立っているのが見えました。
通り過ぎた後、あれ、こんな深夜に子連れ?、普通は子供を守るために、子供は歩道側に立たせるはずが、女性は子供を道路側に立たせていたぞ?と不審に思い、すぐバックミラーで確認しましたがもう誰も居なかったそうです。
その橋では自殺者が居たとも言っていましたが、それが親子連れだったかは分からないそうです。
こんな話を、ウマウマなラーメンを作って貰っている間に聞かせて貰いました。

2話目は、大きなモチモチ串団子を売っていた、60~70歳位の男性の方が昔、知り合いのタクシー会社の社長さんから聞いた話です。
昔、まだバブル全盛で日本全体が羽振りの良かった頃、都内にあるタクシー会社の社長さんが家族に内緒で芸子さんと箱根へ泊りで出かけました。
まあ、目的は観光ではないですね。
その夜、念願の大人の運動会をしている最中に異変が起こりました。
芸子さんが最中に倒れ、そのまま息を止めてしまったのです。
いわゆる腹上〇です。
しかし、社長は家族に内緒にして出掛けている手前、警察や医者を呼ぶなど騒ぎ立てる事も出来ず、同業のタクシー会社のつてを使って、霊柩車と棺桶を手配し、東京まで芸者さんを運び、芸子さんが所属する都内の置屋で倒れた事にして処理しよう、と、ちょっと乱暴な行動に出ました。
さっそく芸子さんを手配した棺桶に入れ、山道でフタがずれて開かない様に軽くフタにクギを打ち霊柩車に載せ、自分も助手席に乗り込み、お抱えの運転手に霊柩車を運転させて、深夜の箱根路を東京を目指しました。
昔の事、車のヘッドライト位しか明かりがない、箱根駅伝でお馴染みのくねくねした暗い山道をひたすら下って行きます。
すると、車の後ろからトントンと言う棺桶のフタをノックする音と共に、「もしもし…」と言うかぼそい女性の声も聞こえてきます。
聞き覚えのある芸子さんの声です。
くわえて棺桶全体がガタガタ揺れ始めました。
「うわぁ成仏してくれ!」恐怖に耐えられなくなった社長と運転手さんは急いで車を道路脇に停め、一目散に走って山を下り、ほうほうの体でなんとか東京へ帰って来たそうです。
一方、残された霊柩車の棺桶の中では、仮死状態から蘇生した芸子さんが、状況も分からず、必死にフタをこじ開けて、こちらもなんとか東京へ帰って来たそうです。
この話、一番怖かったのは社長でも運転手でもなく、目が覚めたら理由も分からず、真っ暗な棺桶の中に閉じ込められた芸子さんだなと思いました。
自分は閉所恐怖症なので、こんな状況まっぴらごめんです。
そんな話を、みたらし団子が売れ筋ですが売り切れで、お醤油味団子とショウガ醤油味団子をお願いしながら聞かせて貰いました。

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