熱いと固まり冷えると溶ける、ホットアイスクリームのレシピを検証してみる
みなさんは
「ホットアイスクリーム」
という食べ物をご存知でしょうか。
ええ、わかりますよ。
99.9%の人が、アフォガードみたいな
「アイスクリームと熱いものを合わせる」
という絵面を想像したことは。
ええ、美味しいですよね。
熱々と冷たいのが合わさって、まさに最強…
でも違うんです。
普通のアイスクリームが
「冷たいと固まり」「熱いと溶ける」
のに対して、
今日お話したいホットアイスクリームは
「熱いと固まり」「冷たいと溶ける」
という不思議物質なんです。
作成の経緯
発端は、分子調理研究をされている宮城大学の石川伸一先生のブログ。
なにこれ面白い!
ということで、いつか作ろうと思っていましたが、
材料のメチルセルロースを購入するのが面倒でずっと放置していました。
そんな時、
子供向けの分子調理教室を開催されている広島大学の冨永美穂子先生に
検証用にということでメチルセルロースを頂いたため、試してみることに。
手順自体はかなり簡単なため、
再現ができれば料理実験のネタにできそうだったりもします。
ホットアイスクリームの理屈
食品科学に関わられている方であれば、レシピを見ればピンとくるかもしれません。
牛乳:1 カップ(200 g)
砂糖:10 g
メチルセルロース:4 g
バニラビーンズ:適量
卵黄:1個(コクを出す場合)
普通の材料の中に混ざる、
「メチルセルロース」
こいつが今回の主役です。
メチルセルロースとは何か?
食品の成分表示に
「ゲル化材」「増粘剤」「安定剤」
と表記されているやつです。
「糊料(メチルセルロース)」、「ゲル化剤(メチルセルロース)」、「増粘剤(メチルセルロース)」、「安定剤(メチルセルロース)」のように、目的に応じた用途名を記載します。なお、「増粘多糖類」の一括表示はできません。
植物繊維が原料。パルプなどが使われるそうです。
メチルセルロースは植物繊維を原料としてセルロースを抽出したのちアルカリ処理、塩化メチルとの反応により製造されます。
このメチルセルロースですが、
加熱するとゲル化するという特殊な性質があります。
この性質を応用して、
アイスクリームの元液に加熱すると固まる性質を加えたものが、
今回作成するホットアイスクリームです。
もうちょい詳しく:メチルセルロースの溶解
作成にあたり、
メチルセルロースには厄介な性質があります。
・熱水には溶けず冷水で溶ける
・溶けると粘性が出る
これらの理由から、メチルセルロースを何も考えずに水へ加えると、
すぐにダマになる上、混ぜても加熱しても全く溶けません。
冨永先生の案内に従うなら、
スターラーにかけて一晩置く必要があるレベルです。
とはいえ自宅にスターラーはないので、
プリンの材料で必要条件(分散材としての砂糖)を満たしている
「粉体混合法」という方法でダマにならないようにしています。
粉体混合法:砂糖(液糖、油液など水分の低いものも可)といった分散剤になるものと混合してから冷水に添加し溶解します。冷水に投入する際、ダマにならないよう撹拌することが重要です。
とりあえず実験
いきなり失敗するのも何なので、
まずは水を使って試してみることに。
<材料>
水:100 g
粉A:12g
砂糖:10 g
メチルセルロース:2 g
<レシピ>
・砂糖10gとメチルセルロース2gを計量し、混合する(粉A)
・ボウルに水100mlを計量する
・泡立て器で混ぜながら、ダマにならないよう少しずつ粉Aを加える
この時、以前のものが溶けてから次を加える
・容器を移し、冷蔵庫で一晩(8時間〜)静置する
・耐熱容器に移し、電子レンジで加熱(600W・1分30秒〜2分)
この時、小刻みに温度と固まり方を確認するとよい。
とりあえず、このレシピで
「熱いと固まり」「冷たいと溶ける」
という砂糖水のカタマリができました。
<実験と試食のレポートはのちほど追記します>
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