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痛みをずっと抱いていたい

久しぶりに島本理生さんの小説を手に取り一気に読んだ。
彼女の本と最初に出逢ったのはたしか高校生の頃。
『ナラタージュ』の主人公、工藤 泉に自らを重ねて何度も何度も読み返していた。

その他の本においてもそうなのだが、島本さんの小説には必ずと言っていいほど「過去に何らかの傷を負った人々」が出てくる。

きっと生きていたら誰しも多かれ少なかれなんらかの傷を背負うだろうが、彼女の本の中の登場人物は特にその傷を抱えながら生きている気がするのだ。
だからきっとわたしはそれらの登場人物に対しものすごく感情移入して自らを重ねて読んでしまうのだろう。

吉本ばななさんや江國香織さんといった著名な女性作家の本も大好きなのだが、もっと達観されている印象が強い。
物語として完成されていて、とっても面白いのだが自分に重ねる余白がないと時々感じることがある。

治りかけたかさぶたをはがすように、いつまでも痛む心を抱えていたくなるそんな気持ちをじんわりとおもいださせてくれるのが島本理生さんの小説なんだなぁ、と今回実感した。

痛みなんて感じない方がいいとおもいがちだが、時々あの頃の自分を振り返りぐっと引き込みたくなる。
そんな不条理な感情がわたしのなかにはある。

良いか悪いかはしらない。
でもそうなんだ。

また、お目にかかれますように。

おくり化粧師 Kao Tan

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