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白浜にて

「ここだ」

めのまえにひろがる澄んだ蒼を前にしてつぶやく。

こまかな砂を踏みしめる足元。

おくのおくまで見通せそうな透明度の高い海。

でも、波打ち際は砂が混じってにごってみえる。

ここにいるのに、あなたはいない。

ひとり分の空白を、だれもなにも埋めてはくれない。

そのたしかな喪失感を抱えてわたしはここまできた。

ひとり分の空白。

それを愛おしく、かなしくおもった。


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