生と死のはざま
※ご遺体に関する描写の部分を閲覧注意としてキリトリセンで囲っています
昨日は仕事を終えて21時頃に帰宅し、すぐお風呂を沸かして入った、のだとおもう。
そしてつぎに気付いた時は朝の4時だった。
自動で湯温を保ってくれる機能がついており、それがおそらく3時間くらいすると切れるようになってるのだが、当然ながらもうお湯はところどころ冷えてきていてうごくとつめたかった。
ひどく乾燥したのかのどが痛くて一緒に持ち込んでいたりんごジュースをのみ、目の前にあった会社の携帯を確認するも夜間の着信は見当たらなかったのでひと安心し、追い炊きをするとまたいつの間にか寝落ちしていた。
つぎに目が覚めたのは朝の5時半。
いまいちど追い炊きをして、髪や身体を洗おうと立ち上がると、膝下の形がおかしくなっていた。
うまくいえないんだけど、なんか浴槽に合わせて四角くなっているようにみえる。
そしてギシギシときしむ音がしそうなくらいこわばってちゃんとうごかない。
ふと足の裏をみて「あれ、これどっかでみたことあるな」とおもったらそれは現場だった。
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お風呂で亡くなると、多くの場合は足や手先の皮がふやけて真っ白かつしわしわになっている。そして腐敗が始まっていたら緑や紫、赤黒くなったりもするし、体内がガスでパンパンに腫れ、顔も口や目元が破裂せんばかりに膨らんでしまう。
処置しようと触れた皮膚はずるりと剥けてしまうことも少なくないし、水疱にもなりやすく、死に方なんて選びようがないが、できれば水に関連する死は避けてほしい…とおもってしまうくらい容態は不安定になりやすい。
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こわばった身体のまま、まだ眠気の残る頭で「なんでわたしは生きているんだろう」とおもった。
それは決して今死にたいとかそんなことじゃなくて、ただ、その生と死の境界線はどこにあるんだろう?と不思議におもったのだ。
寒さか痛みかわからないけど、なんらかの要因で目を覚まして、また寝て、また目を覚まして。
化粧を落とし頭と身体を洗い、部屋の寒さにふるえつつも下着を身につけ靴下を重ねばきしてシャツとパンツにアイロンがけをする。
簡単な朝食を作り、洗い物をした後クスリ代わりのハーブティーをのみ、仕事に持っていくための白湯とミルクティーを淹れる。
洗濯物をたたんで、干して、メイクポーチと何冊かの本とお昼ご飯をリュックにつめて家を出る。
いつもの動き、朝の光景、わたしの日常。
でも、それってほんとう?
なんの保証もないってことをしかと感じる。
一人暮らしで定期的に連絡をとったり出入りする人はいないし、誰かに合鍵をあずけたりもしていない。
出勤の日に連絡がつかなければ不審におもうだろうが、家まで確認するとなると当日とはならないかもしれない。
そんなふうに考えていくと一人でいることのリスクにぞっとしてしまう。
今は明確に生きたいとおもう。
だからせめてそのためにできることをやっていきます。なにがそうかはよくわからないけど。
生と死のはざまでおもうこと。
また、お目にかかれますように。
おくり化粧師 Kao Tan
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