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におい、において


筒井あやめさんで書きました


よしなにしてくださいな












クシュン

鼻先をくすぐる

そんな季節が来た



幼馴染の彼は
風邪?ときいてくる

私は
花粉症
なんて恨めしそうに呟く


花粉症のせいではないけれど
私は普通の人より鼻が利く
と言うよりは''におい''に敏感


だからこの季節は鈍くなるから
ほかの季節よりはマシ


けどただひたすらに鼻がむず痒い


『あやめって''におい''に敏感だよね』


「人よりは感覚が鋭いのかも。」


「夏は湿った土のような匂い
たまに海にいないのに潮っぽい匂いもする
ただ単に青臭い匂いの時もある」

「秋は焼き芋?
うまく説明が出来ない」

「冬は雪が降り出す頃になると
なんとなく雪の匂いを感じる
気温も秋とは違う冬の朝の気温みたいな
ツーンとしたやつ」


「そして春は植物の匂いが混じり
埃っぽいような匂い」


「でも人の''におい''は苦手」


『んーよくわからんな』


「ちょっと説明した時間返してよ」



『ごめんごめん』

ケタケタと笑う彼


そんな人のにおいが苦手な私が
家族以外で唯一大丈夫な相手○○



何故か○○は一緒にいても
大丈夫だった
理由はわからない
小さい頃からずっと一緒に
居たからかもしれない


けれど
○○は暖かいほのぼのとしたにおいがする

一緒にいて安心するにおい


いつだろうか感じたことのあるにおい


どうしても思い出せない


『難しそうな顔してどうした?』


モヤモヤしていたら○○に声をかけられる



「なんでもない」


『 あっそ 』





''あやちゃーん!
おはよー''


ヒョイ


''あー
なんで避けるのあやちゃん''


「だから毎回抱きついてこないで言ってるよね
レイちゃん」


''朝の挨拶で
ハグしようとしただけじゃんかぁ''


「ここは日本だから」


''けちー''


『ほら遊んでないで早く行くよ2人とも』


「置いていくならレイちゃんだけにして」


''ちょっとぉー
置いていかないでよぉー''



ーーーーー


学校にて



「うっ……」

きた
ハンカチで口元を押さえる
たまに人のにおいに耐えれなくなる時がくる


「○○……
いつものやつ……」



『あ……うん……
わかった……』



2人で人気のないところに行く

そして誰もいないのを確認して

○○に正面から抱きつく

無言で○○の胸元に顔を埋めるあやめ


『いつも思うんだけど変じゃない?』


「変じゃない」


『それに今日、体育あったし
ちょっと汗臭いよ?』


「大丈夫」


…………



…………



「スゥ-……ハー……」


『ちょっと臭うから嗅がないで』



「大丈夫だからじっとしてて」



…………


「スゥ-……ハァー……」

…………



数刻たって




「……ありがと」


そういって○○から離れるあやめ




人のにおいに酔うと

毎回○○に抱きついて
落ち着かせるようにしている
○○のにおいはなぜか安心する

最初の頃は○○も恥ずかしがっていたが
今はもう当たり前のように気にしなくなった


けど最近そのスパンが短くなっている

最初は2,3週間に1回とかだったのが
今は2,3日に数回と耐えられなくなってきている





『そういえばあやめ』


「なに?」


『においって思い出と記憶と
とても関係が深いんだって』


「そうなんだ」


『だからあやめが僕に感じるにおいもどこかで
においを感じて記憶して』

『その記憶した思い出を僕で感じて想起させてるんじゃないかな』


「ふーん」


『興味ないみたいな感じで聞くなよ笑』


「だってそんなこと言われてもわかんないもん
覚えてないよ」



『まぁそらそーだよなぁ』



『ちなみに、脳の中の記憶、感情を司る所と匂いを感じる所はとても近いらしいよ』


「へー」


『興味なさそうだな笑』



「だってわかんないもん」



『あ、そういえば
来週、部活の合宿で2週間くらいいないから』



「えっ……」

「ちょっと
その間私にどうしろっていうわけ?」



『服貸すからそれで我慢して』



「無理
絶対無理
休んで」



『いや、無理だから笑』






なんとか説得を試みるも虚しく


その日がくる



『じゃあ行ってくるから頑張って耐えて笑』



「無理
行かないで
休んで」


『部活なんだからしょうがないでしょ笑』


「むぅ……」



『終わったら急いで帰ってくるから
それで許して笑』



「絶対早く帰ってきて……」



『わかったよ笑』



ーーーーーー



○○が合宿に行ってから3日



○○の服に包まっているあやめ

まだなんとか大丈夫……


早く帰ってこないかな……





1週間経った

○○から借りた服のにおいが薄くなったように感じる


''あやちゃーん
おはよー''


「レイちゃん
あっち行ってて」


ビクッ
''あやちゃん?
大丈夫?''


「大丈夫だからあっちいってて」



''( ˙꒳​˙  )oh......
これ大丈夫じゃないやつ''




1週間半経った



フーッフーッ
ハーッハーッ

「ゔっ……」

やばい耐えられないかもしれない


ーーーーー


line
○○今すぐ早く帰ってきて


いや無理だから笑
あと3日くらい我慢して


無理


ーーーーーー




そして
○○が帰ってくる予定の日


耐えられず
学校を休むあやめ


フーッフーッ
ハーッハーッ

やばいしんどい

はやく帰ってきて○○


○○の家に行き○○の布団にくるまって時間が過ぎ去るのを待つあやめ


早く時間が経って欲しい時にかぎって
1分1秒が物凄く長く感じてしまう



ガチャ



っ!……



ドタドタドタ


『おっ
気づくのはや___』


ドスッ
『うおっ』



ドサッ


スゥ-……ハァー……



スゥ-……ハァー……




スゥ-……ハァー……



スゥ-……ハァー……



スゥ-……ハァー……




『ちょっとまだ風呂入ってないし
てか長くな___』



「黙ってて」



『ア、ハイ』




スゥ-……ハァー……




スゥ-……ハァー……



スゥ-……ハァー……



スゥ-……ハァー……




今までの時間を取り戻すが如く
○○を摂取する


それはまるで甘い蜜のにおいに誘われた
蜜蜂みたい





ふとした瞬間思い出す







ーーーーー




なんで○○のにおいは安心するんだろう……





ーーーーー



あ、これ
ママに抱っこされてた時のにおいだ……


成長するにつれて抱っこなんてされなくなったから忘れてた




ーーーーー




『ねぇもういい?』



「だめ」




『お願いだからお風呂に入らせて』



「だめ」



『ちょっと反動ひどくない?』



「しらない」






すこし癖のある○○の声に耳を傾け

深い安らぎを感じる


あぁ……
私は人のにおいに
酔ってたわけじゃなかった……


人のにおいに酔って
○○で安心してたんじゃない


○○のにおいに酔いしれてたんだ……



「ねぇ……」



『なに?』




「私のことこんなにしたんだから
ちゃんと責任取って」


『はぁ?
なに言ってんの?』



「真面目に言ってるの
私、○○が居ないと生きていけない」


「人のにおいが苦手なんじゃない
○○のにおいに酔いしれてた……////」


「私を酔わせた責任
ちゃんととって……////」



『えぇ……
突然の無茶ぶり……』

『ってかそれって……////』


「んっ……////」

ギュウ


それは言いたくないという意思表示なのか
○○の胸に顔を埋め、きつく抱きしめる












ーーーーーー









その後2時間は玄関で拘束され
解放された後の
ご飯もお風呂も頑なに離れず
寝る時も離れず
朝まで抱きつかれたままでした

翌朝は
あやめはぐっすり寝れたおかげで
スッキリとした顔
○○は寝不足で眠そうな顔してました













𝑒𝑛𝑑……?






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