いつかはきっと忘れてしまう

夏鈴ちゃんです


金木さんの企画作品です


よしなにしてくださいな









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忘れじの 行く末までは かたければ
''今''日を限りの 命ともがな

















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○○
幸せだなぁ



夏鈴
……どうしたの急に？



○○
いや、夏鈴とこうやって
何の変哲もない日を
一緒に過ごせて幸せだなぁって



夏鈴
大袈裟だなぁ



○○
そんなことないよ
ほんとに''今''が1番幸せ
明日も明後日もいつまでも
こうしていたい



夏鈴
残念ながら明日はお仕事だよ〜



○○
うわぁ、現実じゃん
やめてやめて



夏鈴
やめてあーげない！
明日は〜
朝早く起きて～
ぎゅうぎゅうの満員電車に乗って〜
会社でミスして上司に怒られて〜



○○
ちょっと待って怒られる前提なのやめて！？



夏鈴
せいぜいやらかさないようにね〜笑



○○
お前な〜
フラグを立てないでくれ……
……はぁ
なんで夏鈴はそんな遠くに住んでるわけ？



夏鈴
大学が遠いから？



○○
それはそうだけど
あーあ
なんで俺、こっちに就職したんだろうな



夏鈴
別にいいじゃない
私も2年後はこっちに住むから



○○
！？！？
それってさ
一緒に住んでくれるってこと？



夏鈴
……まぁ考えとくね



○○
何その間は……笑
こっちに来るなら一緒に住もうよ
ねぇ



夏鈴
2年後もお互い覚えてたらね



○○
忘れるわけなくない？
絶対忘れないし
いざその時になったら
一人暮らしするより
同棲しよ！ってなるし



夏鈴
そうじゃなくて
普通に
○○が私の事忘れてなければね



○○
？？？ますます分からん
彼女のこと忘れるやつおる？
いくら会えないとはいえ



夏鈴
そう言ってくれるなら''今''は安心かもね



○○
そうそう
絶対に忘れてやんないから



夏鈴
……ありがと
……ねぇ……大好きだよ



○○
俺も大好き
おやすみ



夏鈴
おやすみ




















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私もこの''今''の時間は幸せだと思う



嘘偽りなく



お互いを愛して



求めている''今''は



本当に本当に幸せだと思う





''忘れない''





そう彼は言ってくれているけれど



きっとそれは長くは続かない



いつか私が就活とかで忙しくなったり



卒論で忙しくなったり



彼がすごい繁忙期になったりしたら



お互いに連絡を取れなくなる時だって



来るだろう



その時は



きっと彼の頭の中に私はいない



彼に忘れられる前に



''今''、愛されていて



本当に幸せな''今''この時に



この幸せに溺れながら



この命を絶えさせてしまいたい



忘れられる苦しみを



味わうくらいなら



''今''……



死んだ方がマシだ

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卒業おめでとう〜
引越し先でもまた連絡してね！

夏鈴
そっちこそおめでとう〜
うん、するよ〜

あっという間に2年が経ち

私は''今''日、卒業する

結局、連絡はここ半年くらい

まともに取れていない

あの時

思ったように

''今''、彼の中に私はいないのかもしれない

やっぱりあの時のまま

絶えるべきだったのかもしれない

なんとも言えないこの心にある想い

どこにぶつければ気が済むのだろうか

ーー
ねぇねぇ夏鈴

夏鈴
ん？何？

ーー
入口に立って、花束持ってる
あの人って夏鈴の知り合い？

夏鈴
えっ？

友人に言われ、入口の方に振り返る

その姿を確認した瞬間

どうしてと

今日も仕事だと思っていた

寧ろもう私の事なんて

忘れていると思っていた

頭の理解が追いつかない

脳が情報を処理する前に

身体が動き出した

この心にある想いを

ぶつける

格好の場所を

見つけられたのかもしれない

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忘れられていないのであれば

まだ絶えるべきではなく

''今''を共に過ごすべきなのかもしれない

＿＿＿＿fin