JK拾ったら嫁になった
的野美青さんで書きました
私も添い寝してもらいてぇなぁ
よしなにしてくださいな
ーーーーーーーー
アラーム音
ピピッ ピピッ ピピッ
○○
うわっ、もうそんな時間か!
あわててPCの電源を落としながら
荷物をまとめる
PCの電源が落ちるのを確認したら
一目散にオフィスから外に駆け出した
終電に飛び乗り
今日が終わっていくのを電車の中で見送る
窓の外は真っ暗で
流れるネオンの光が
寂しい気持ちにさせてくれる
○○
……こうやって無駄な時間を
過ごしていくのかなぁ
入社して8年
うだつの上がらない会社員
ーーーーーーー
ーー
「ありがとうございましたー!」
愛想のよいコンビニ店員の声を
背に受けながら今日も家路につく
夜道を歩きながら
週明けの仕事に思いを馳せていく
○○
華金なのになんで終電まで
仕事してんだろ……
毎日がこんなもので
女っ気などあるわけが無い
○○
その辺の道端に、可愛い女の子が落ちてないかなぁ
思わず小声でつぶやいていた
自宅への帰り道、最後の曲がり角を曲がる
……アスファルトの上に女の子が倒れていた
○○
はぁ?
(つд⊂)ゴシゴシ
○○
……見間違いじゃないよな?
目をこすってから、改めて女の子を見つめる
高校生っぽい制服を着た女の子が
確かに自宅のアパートの前で倒れていた
○○
……まさか、死んでないよな?
そっと近づいて様子を伺う
どうやら呼吸はしているみたいだ
寝てるだけなら起こしたいが
このご時世だと迂闊に触る事もできやしない
○○
……警察に電話するか……
尻ポケットをまさぐるが
そこにスマホの感触がなかった
あわてて鞄の中も漁ってみるが
どうやら会社に置き忘れてきたらしい
○○
マジか?!
今日は金曜日だぞ?!
土日をスマホなしで過ごせって言うのか?!
……いや
それより目の前の緊急事態を何とかするか……
仕方なくそっと肩を揺さぶり声をかける
○○
あのー、起きてくださいー
こんなところで寝てたら危ないですよー?
いくら揺すっても女の子に反応はない
○○
――ああもうっ!
これが酔っ払いのおっさんなら
放置していくんだけどもね!?
未成年の女の子を放置していくのは
流石に無理やろ!!
かといって近所付き合いもないから
こんな時間にチャイムを鳴らして
電話を借りる訳にも行かないし……
スマホが無いから交番の場所もわからないし……
○○
……仕方ない
人生を賭けるか……
これで通報されたらそれまでだ
人助けで前科が付くのを覚悟して
女の子を抱え上げて自分の部屋に連れて行った
ーーーーーーー
女の子をベッドに寝かせる
○○
……目の毒だな
毛布を掛けておくか……
そっと胸元まで毛布を掛けて
なるべく視界に女の子が入らないようにしておく
○○
……風呂に入るか
着替えの準備を整えてから
シャワーを浴びに浴室へ入っていった
シャワーを浴びながらこれからを考える
思わず拾ってきちゃったけど
俺の人生が破滅しないようにしつつ
女の子を家に帰すにはどうしたらいいだろうか
起きたら事情を説明して
納得してもらう所からだろうか
○○
……でも
こんな時間になんで学生が制服で倒れてたんだ?
一応
あの子の事情も聞いておくか
ーーーーーーーー
シャワーを浴び終え
スウェットに着替えて
浴室から出た俺が目にしたのは
コンビニ飯を無心で食い漁る女の子の姿だった
○○
あっ……それ
俺の飯……
俺の言葉で女の子が顔を上げ
目を輝かせながらサムズアップをしてきた
○○
……美味しいって言いたいのか?
女の子が満足そうに頷いた
その口はひたすら俺の晩飯を貪り続けている
俺は盛大なため息をついてから
床に座り込んで頭をタオルで拭いていた
○○
まぁ、元気そうで良かったよ
怪我をしてるって訳じゃないんだな?
女の子は頷いた
○○
家は近いのか?
それを食ったら送っていく
女の子が少し迷ってから首を横に振った
○○
家が遠いのか?
女の子は首を横に振った
○○
……帰りたく……ないのか?
女の子がためらいがちに頷いた
○○
……そうか
事情があるんだな
飯を食い終わったら少し話を聞いてやる
その後はきちんと家まで送る
それでいいか?
女の子が口の中の物を飲み込んで
初めて言葉を口にする
美青
……よくないです
○○
そんなことを言われても
このままだと未成年略取とか言われちまうしなぁ
社会的な死が間近だ
○○
じゃあどうしたら家に帰ってくれるんだ?
美青
……家に
知らない男の人が居るんです……
おっと?
穏やかじゃない流れだな?
○○
不審者か?
美青
お母さんの新しい恋人だと思います
○○
そうか……
家に居場所がなくなった
って辺りかな
美青
だからその人が家から居なくなるまで
ここに居させてください
○○
う~ん……その人はいつ帰るんだ?
美青
いつも朝になると帰っていきます
○○
つまり
朝までここに居させろと
そういうことか?
家はどこなんだ?
美青
ここ
サクラハイムミーツですよね
間取りがうちと一緒だし
○○
ああ、確かにそうだけど……
ってことはご近所さん?
美青
うちは一階の角部屋です
○○
え、お隣さん?
そう言うと
女の子の目が俺の目を見た
美青
……○○さん……ですか
○○
そうだけどよく知ってるね
美青
表札を見てますから
そうですか
隣なんですね
あの人が居るの
女の子の目が
角部屋の方向を睨んでた
どうやらかなり印象が悪い相手みたいだ
幸いこのアパートは壁が厚い
大人が夜の遊びに耽っていても
音が聞こえてくることはない
俺は小さくため息をついて立ち上がった
○○
そうか
お隣さんなら少しは気が楽だ
戸棚からウィスキーとショットグラスを取り出し
テーブルに置いた
いつものように指一本分の量をグラスに注ぎ
一気にあおる
○○
――ふぅ
空腹だとやっぱきついな
ふと視線を感じ
女の子の顔を見た
俺のことを観察するように見つめていた
美青
お酒……飲むんですね
○○
少しだけね
俺は弱いから毎晩一口だけ飲むんだよ
美青
……それで満足できるんですか?
○○
ウィスキーはアルコールが強いし
俺は酒に弱い
丁度いい感じで良い気分になれるんだ
美青
……たくさん飲んで暴れたりはしないんですか?
○○
しないよ?
そういう酒の飲み方はしない
第一、君が居る前でそんなに酔っぱらってたら
君が危ないだろう
前後不覚で未成年を襲っただなんて
親に顔向けできやしない
美青
……そのお酒、どんな味がするんですか?
○○
お酒としては甘い方じゃないかな
味も香りも甘みを感じるお酒だ
この銘柄は雑味も少なくてすっきりと飲みやすい
君も二十歳になったら試してみるといい
美青
……ちょっと飲んでみたいです
○○
だーめ
お酒は二十歳になってからな
美青
ちょっとぐらい良いじゃないですか
○○
俺に罪を重ねさせないで!?
俺はショットグラスをシンクに置いて
ウィスキーを戸棚にしまった
あー
やっぱ空腹に酒はまずかったか
いつもより酔いが回るのが早いな
俺はベッドの上から毛布を持ち上げ
床の上に丸まった
○○
君はベッドで寝なさい
じゃ、おやすみ
俺は酔いに任せ
目をつぶって意識を手放した
ーーーーーーー
朝の光が眩しくて目が覚めた
なんだか身体が重たい……
晩飯を抜いたからなぁ……
ゆっくりと目を開けると
目の前に女の子の寝顔があった
美青
(*˘꒳˘*)スヤスヤ𓈒 𓂂𓏸
○○
は!?!?!?
混乱しながら上体を起こすと
自分がベッドで寝ていたことに気付く
だが次の瞬間
頭の中が真っ白になっていた
女の子が隣で寝ていて
しかも半裸の下着姿
俺も半裸でスウェットを脱いでいた
――何があった!?
あわてて女の子に布団をかぶせ
自分のスウェットを探す
床に散らばるTシャツとスウェットを
見つけ出し急いで着こんでいった
女の子の制服も見つけてしまったが
そちらは触らないことにする
急いで昨晩の記憶を漁っていく
俺は確かに床で寝ていたはずだ
毛布が床に落ちているからそれは確かだ
確かに空腹にウィスキーだ
多少は酔ったと思う
けどワンショットだぞ!?
混乱して頭を抱えていると
背後から女の子の声が聞こえる
美青
あーあ
○○さんやっちゃいましたね
あわてて振り向くと身体を布団で隠しながら
女の子が上体を起こしていた
○○
やったって何を!?
昨日俺、何したの!?
女の子が枕元からスマホを取り出し
写真を見せてきた
――半裸の女の子に添い寝される俺だ
しかも俺から抱きしめている……
○○
……なんで写真撮ってるの
女の子がにっこりと微笑んだ
美青
この写真をばら撒かれたくなかったら
合鍵ください
○○
どういうこと!?
なんで俺、脅されてるの!?
美青
あの人がうちに来たときの避難場所として
この部屋を使わせてもらいます
あ、私は的野美青です
○○
あ、ご丁寧に○○です
――じゃなくてさ?!
女の子が楽しそうに笑っていた
美青
○○って寝顔幼くてちっちゃい子みたいだね!
○○
うるさいな!💢
童顔なの気にしてるんだから
それは言わないでもらえる?!💢💢
美青
じゃあ○○ちゃん
お腹空いたんだけど朝ごはんはまだ?
○○
この子とことんマイペースだな?!💢
そんなことよりその写真消して!💢💢
美青
˙꒳˙)じー
そんな言い方していいの?
スマホをひらひらさせる美青
○○
わかったわかった!💦
買ってくるから!💦
だから大人しくして部屋に居て!
美青
はーい
○○
着替えるから後ろ向いてて!
女の子――美青がにたりと笑った
美青
えー?
同じベッドで同衾した仲なのに
今さら着替えを恥ずかしがるの?笑
○○
しーりーまーせーんー!
不可抗力だから!💢
てか同衾なんて古臭い言葉良く知ってるね!💢💢
いいから向こう向いてて!💢💢
美青
はーい
美青が背中を向けている間に
俺は急いでスウェットを脱いでジーパンを履いた
財布を取り出し
中身を確認してから美青に告げる
○○
家に帰っててもいいけど
写真はばら撒くなよ?!
美青
それは○○ちゃん次第だよ?
○○
くっそっ(;`皿´)グヌヌ💢
それだけ言い残し
俺はコンビニへ走っていった
ーーーーーー
帰宅すると
美青はまだ部屋の中に居た
制服を着て
テーブルの前に座ってスマホをいじっている
○○
……夢じゃなかったんだな……
夢であればと道中願っていた
とんだ厄ネタを拾った気分だ
美青は顔を上げてニタリと笑った
美青
可愛い女の子が部屋で待ってるなんて
幸せな夢ですねぇ
○○
確かに君は可愛いけどね!?
幸せかと言われるとかなり判断に困るよ!?
テーブルの上にコンビニ袋を置いて
美青に話しかける
○○
適当に買ってきたから
好きなの食べて
俺も適当に食べるから
俺はサンドイッチを選んで袋から取り出し
食べ始めた
美青もおにぎりを取り出して
美味しそうに食べ始めていた
しばらく無言で食事をする時間が過ぎていく
食事をしながら
俺は考えをまとめていた
酔って女の子を襲うような状態ではなかった
だが朝の状態はあの通りだ
となる美青が俺をベッドに運んだのか?
○○
……よく俺の身体をベッドに運べたな
美青
声をかけたら自分でベッドに移動してくれましたよ?
そして添い寝したら○○さんが抱きしめてきました🤭
寝ぼけてベッドに歩いて行ったのか……
軽く酔ってたせいかそこは覚えてないな
……俺そんなことしてたのか……
○○
半裸になることに抵抗は感じなかったのか?
美青
○○さんが私を襲う人じゃないって
わかってましたから
それはそれで男として悲しいんだが
○○
だからって俺みたいなおっさんと添い寝とか
普通は嫌だろうに
美青
でも○○さんまだ二十代ですよね
ギリギリセーフです
○○
なにがセーフなの?!
社会的にはアウトなんだけど?!
美青
こっちの話なので気にしないでください
ん?俺、年齢を教えたっけ?
○○
なんで俺の年齢知ってるの?
美青
お財布の中から免許証を見ました
○○
それ勝手に見ちゃダメな奴!
美青
無造作にテーブルの上にお財布を
置いてる方が悪いと思います
○○
悪くない!
ここは俺の部屋!
美青
お客さんが来ているときに
お財布を出しっぱなしは危ないですよ?
○○
俺を脅してる君がそれを言う?!
美青
それはそれ
これはこれです
身から出た錆ですよ?
賑やかな朝食が終わると
美青が立ち上がった
美青
そろそろあの人が帰った頃だと思います
とりあえず''今日は''これで帰りますね
○○
ああ
もうそんな時間か
とりあえずってもう勘弁してくれ……
――なに、その手は?
美青は俺に向かって右手を差し出していた
美青
ですから合鍵ください
写真をばらまきますよ?
そう言い、スマホをチラつかせてくる
○○
わかった!わかったから少し待ってて!
俺は引き出しの中から合鍵を取り出し
美青の右手の上に置いた
○○
頼むから写真は消してくれ!
もし間違って誰かに見られたら
それで俺の人生が詰む!
美青
まぁ、考えておきます
――それじゃあ○○ちゃん
またねくるねヾ(*˙꒳˙* )フリフリ
そう言い残して、美青は部屋から出ていった
俺はとんでもないものを
拾ってしまったのかもしれない
美青という嵐が去ってった今
どうすれば良いか頭を抱えるしかなかった
ーーーーーー
これが嫁との馴れ初めであり
俺の黒歴史だ
嫁にとっては大切な思い出らしいけど
未だにこの時の写真を残していて
たまに俺に見せつけてくる
美青
○○ちゃん、欲しいものがあるんだけどぉ
チ ラ チ ラ ( ˙꒳¯ )
○○
ちょっ💦
まだその写真消してなかったの!?
わかったからその写真しまって!!
俺と美青の関係は今も変わっていないようだ
____fin
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