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歌舞伎ヲタが滝沢歌舞伎ZERO2022を観てきたよ(歌舞伎パートのみの感想)

2022年4月21日(木)昼の部にて念願の滝沢歌舞伎ZERO2022を観てきまして、ようやく落ち着いてきたので感想をまとめました。クソ長いです。クソ長いので内容を歌舞伎パートだけに絞ることにしました。なのに長いのです。

お断りしておくと私はただの歌舞伎ヲタであり歴の浅いスノ担なだけでございまして、ここに書いてあることは個人の感想です。

ちなみに、私は去年「滝沢歌舞伎ZERO 2020 The Movie」を鑑賞し、その次にDVDで「滝沢歌舞伎ZERO(2019)」を観ただけで、生で観るのは初めてですし、去年の滝沢歌舞伎の内容は殆ど把握しておりません。

はあ、前置きが既に長いっすね、すみません。

受け止めきれないぐらいのエネルギーを感じた

歌舞伎パートではないのですが全体的な感想を申し上げると、本当になんというか・・・強烈な光でした(語彙力喪失)。

冒頭からすごく顰蹙を買うようなことを言うと、松竹歌舞伎会ちゃんが仕事しすぎたせいでめちゃ前方席だったんです。なのでずっとアオリで舞台を観ていました(とっても疲れました)。

その分、演者の皆さんははっきり見えて、さらに言えば9人全員を一度に視野に収めることができないという状態でした。

そんなわけで間近で目にした感動と、視界から溢れてくる光とかエネルギーを捕まえようとしても捕まえられないもどかしさで、途中からなんだか諦めモードでした。私には全てを受け止めきれないんすよ・・・って思ってました。

だから取りこぼしとか見えていない部分がかなりあると思います。ご容赦いただきたいです。

では歌舞伎パートの感想を順を追って述べます。

化粧が早い&うまい

もう皆さんご存知のとおり舞台上での化粧があるのですが(ちなみに歌舞伎では化粧することを「顔をする」と言います)、手際良くてびっくりしました。

ただIMPACTorsさんの解説で「通常は2時間かかる」と言っていたのは盛りすぎです。10倍ぐらい盛ってると思います。まあそれは置いといても慣れた様子で顔をしていくのは見ものでした。

そして今まで(2019・2020)より上手い。顔つきが大変素敵です。アレレと思うことが全然なかったのはすごいなと思いました(前は正直ありました汗)。

顔も役の一部と言いますから、化粧が上手くなるのは役が上手くなった証拠です!素晴らしい。

立ち回りの進化がすごい

歌舞伎の前半は何人かずつで出てきて立ち回りをするというものですが、これも大変迫力のあるもので、古典と現代的な手法を組み合わせていて見応えがありました。

特に岩本さんが挑戦している立ち回りは、義経千本桜の「小金吾討死(こきんごうちじに)」で使われる、縄を使った伝統的なもので、これをやるとはーー!という感じです。

ちょっと間違うと(どんな演目もそうですが)事故になりますし、美しく見せようとするには高い身体能力と周りで支えている捕手方のチームワークや物理的な力が必要です。素晴らしいです。

六方も(私の席からはあんまり見えなかったけど)やっていて、良いとこ全部さらってるな!と思いました。

あと後半で岩のセットがぐるんぐるんするの、通常の歌舞伎には無いスピード感でカッコよかったです。あれをばっちり合わせるのはほんとに練習の賜物だと思います。

岩本さん以外の皆さんも、これまで以上にどっしりとして小気味良く、もっと見ていたいと思わせるものでした。

きっちりした毛振りだった

獅子が出てくる演目は「石橋物(しゃっきょうもの)」といって、能の流れを汲んでいます。本来的には前半部分にストーリーがあることが多いのですが、今回は獅子が出てきて勇壮に舞うという部分を切り取って、現代的な音楽に合わせて踊る仕立てになっていました。

踊りの前半はフォーメーションをダイナミックに変えつつ日本舞踊的なものとダンスをミックスさせた形で、うまく毛を扱っているなと思いました。

ラウールが一際大きくて、当たり前だけどラウールが被ってるのって宇宙一長い毛なんだな(歌舞伎役者にラウールほど大きい人はいないので)と思うとおかしいやら頼もしいやらでした。

毛振りはワイドショーでゲネプロを見た時にも思いましたが、前に垂らして一旦上手側に振り、身体全体を使って下手側に振る、という一連の型をしっかりきっちりやろうとしている印象でした(結果的にできていない人もいますが、ちゃんと習っていて、型通りにやろうと努力しているように見えました)。

雰囲気毛振りじゃなくてあくまでも真面目に取り組んでいるというところ、さらにそれを演目として成り立たせようとする意気込みは凄いなと思います。

ゲネプロでは佐久間さんがめちゃ早取りで回転させてましたが、私が観た時は全体として合わせようとしていて、その結果そこまで回数を回してないように思いました。っていうか毛振りの回数やスピードを気にしている人は古典を観ている人にはあんまりいないと思います。私も迫力に押されて一瞬に感じましたし。

そういえば2017年の俳優祭で若手歌舞伎役者8人による石橋の演目があり、立役・女方そろっての毛振りがありましたが、あれは広い歌舞伎座だし今回の方が密集していて難易度が高そうだな(毛振りだけ見れば)と思いました。うっかり絡まったりしないのだろうか。

歌舞伎といえば獅子の毛振り!みたいなところがあると思うので、これから海外へ持っていくにあたりぴったりな演目だと思います。長く続けられるように足腰の鍛錬頑張ってほしいですが、そうするとアイドルっぽい体型が損なわれるような気もして複雑な気持ちです。

IMPACTorsさんが良い

The Movieの時には思わなかったのですが、IMPACTorsさん(以下、インパクさん)たちの歌舞伎演目における立ち回りが素晴らしくてびっくりしました。

インパクさん(およびJAEさん)たちがやっていることは歌舞伎でいうと各部屋のお弟子さんがやっているものです。

お弟子さんとは主に一般家庭から研修所を経て部屋付きになるいわゆる「大部屋俳優」さんです。本興行で主役になることはほぼゼロで、役者の身の回りの世話から後見、脇役などを務めます。つまり、裏方の職人さん。主役級とはまた異なる高い技量が求められます。

で、今回のインパクさんたちの立ち回りを見て、めちゃくちゃ難易度の高いことをやってるな!って思いました。ほんとの歌舞伎のお弟子さんに見えました。

先述の縄を使った立ち回りもそうですし、舞台装置を動かしたり、サポートしたりと、本当に素晴らしかったです。また立ち回りを受ける時の姿形も良くて、これは相当鍛練を積んだんだなあと思いました。舞台を完璧に遂行させようという気合いが全身から迸るようでした。

Snow Manの皆さんもこういう経験があって今に繋がっているんだろうなと思います。すごく良いものを見たなと思いました。

ちょっと残念に思ったこと二つ

1点目は佐久間さん・阿部さんの女方が、女武者の立ち回りみたいなやつだったことですかね…。キリッとしてて可愛かったけども。

実は2019年のDVDを観た時、顔は美しいけど踊りは全然上手くなくて、逆にThe Movieでの成長が感じられるものだったんですよね(特に阿部さん)。なのでこれからさらに女方を極めてくれるものと思っていたわけです。

今回は思ってたのと違う方向に行ったわけですが、もし機会があるならまた正統な女方をやってほしいなと思います。

2点目は歌舞伎パートそのものに物語性がないことが少し残念…というか違和感を感じました。

前半は一応「海」がテーマであったようなのですが、それが伝わってくるかというとそうでもなくて。インパクさんの解説でも「筋書きはありませんのでそれぞれに感じとってください(ニュアンス)」というお話がありましたが、後から考えるとどういうことだったんだろう?となりました。

歌舞伎の舞踊ってすごく具体性に満ちていると思うんです。逆に言うと、抽象度の高いテーマで踊るということをあまり見たことがないです。登場人物も割とはっきりしているし、物語的な流れもあり、振りもマイムが多いです。つまり「何をやっているか」が分かるものになっています(ただ、やっていることがトンチキなケースはあります。何でこいつとこいつが一緒に踊るねん!とか、この時代設定でこの衣装?とか)。

今回、物語性が無いことが影響して、歌舞伎パート全体が雑多な歌舞伎の要素の取り合わせのように見えてしまう危険があるなと思いました。これまでも要素の集合体という印象はあったのですが、その中でも「五右衛門」があるなど、古典の演目と通じるものがあったように思います。

やはり来年行われる予定の海外公演や大規模会場での実施を見据えた上での演目設定でしょう・・・・と、まあ、割り切ってしまえば不満はなくて、立ち回りは派手ですし、先にも書いたように勇壮な獅子の舞などぴったりで、話の筋が分からずとも多くの人が熱狂するものだと思います。

でも、いつか、がっつりしたお芝居にも取り組んでほしいなあ・・・というヲタの希望です。できると思うので。

終わりに

なんか最後ちょっと下がることを書いちゃったのですが、言い訳させてください。

私は滝沢歌舞伎を観た人がちょっとでも歌舞伎そのものに興味を持ってくださって、今度は歌舞伎座に足を運んでみようかなって思ってくださるかもしれないって期待してるところがあるんです。

滝沢歌舞伎やSnow Manの皆さんにはそんな期待に応える必要は全くないんですけどね。

もちろん、観にいかれた方も気にする必要なくて、純粋な気持ちで楽しい!とか凄い!って思うので全然OKなんです。そうやって文化は発展してきたと思うので。

ただThe movieを観た時に、こういうものの延長線上に古典芸能の未来もあるかもしれないと思ってすごい感動して、歌舞伎とアイドルとの間に壁をつくる必要なんてないんだわと思ったりもして。だからSnow Manの皆さんには感謝してるし、ますます好きになっちゃいました。

これから滝沢歌舞伎がどういう風に発展していくのか分かりませんけども、少しでもいいので古典演目との繋がりが感じられるものがあるといいなと思ってる次第で、ごにょごにょ書きました。

まあ正直なところ、観てる時はなんも考えてなくて(光!とか、眩しい!、ヤバい!とかだった)、後からいろいろ浮かんできた話です。長々と失礼いたしました。

歌舞伎パート以外のとこもいつか書く・・・たぶん・・・


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