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【ザンリーグ】これぞ対人戦略!終盤戦に光る老獪な打牌【企業リーグ観戦記(10/12)】

本日見ていく対局はこちら


セミファイナルも残り3戦となり、チームによっては残り2試合です


残り2試合ともなると、かなりセミファイナル通過に向けての条件を意識しなければいけません

意識しなければいけない条件はこちら


上位3チームが10枚差に収まっている中、リレイズが他3チームと30枚近く離されています

1枚5000点相当で1着順は6枚なので、トップを2回取るかどこかのチームとトップラスかつ2着ラスのような形にならないと難しそうです
この半荘でラスを引いたらほぼ目無しと言ってよいでしょう

逆に言うと、リレイズをラスに沈めることさえできれば他3チームのファイナル進出は安泰となります


今回の記事ではリレイズを狙ったかのような複数の打牌について注目していきます


東一局 親にあがられるくらいなら


東一局は西家にまめY子選手の立直で幕を開けます

嵌🀗待ちの立直ドラ4です

解説のまさひろ氏曰く、この形の聴牌形にはにまめマスターシステムがあるとのことです

45679や13456の嵌8や嵌2待ちの際、双碰変化した時に良い待ちならダマにしますが双碰変化がうれしくなければ立直ということです
例えば🀓🀔🀕🀖🀘🀇🀇ならば、🀒🀔🀕🀇で6枚以上の待ち🀓🀖🀘引きで🀇との双碰になるので、うれしい手替わりが7種あります
それに対して🀓🀔🀕🀖🀘🀛🀛という形は嬉しい手替わり4種なので即立直優位となります
わかりやすい基準ですね


さて、この立直に困っているのが東家のリレイズあーく選手です

親番で赤3の一向聴でどうしても押したい状況です
チーム状況はがけっぷちですので安易にオリて親を落とすとトップが遠のいてしまいます

🀚切りがストレートでこそありますが、🀚🀜や🀚🀝と押していくのかと言えばそれこそ茨の道です
押したいだけで放銃したいわけではありません

ここは一旦現物の🀡を切りました

しかし、🀡を切ったら救われるわけではありません
次巡に🀠を引いてきて手詰まります

どれを切っても危険なので、ここは腹をくくって最も受け入れの広い🀚切りとしました


親のこの🀚切りに何かを察知した選手がいます

南家アルタイルジャパン福地選手です

🀁を仕掛けていたものの、立直に対して🀘を切って迂回していたこの格好

立直に対して🀗は無筋ですが、🀃は現物です

こんなもの🀃切りに見えるのですが、福地選手は🀗切り

解説も思わず目を疑う打牌です

リアルタイムで進行する実況解説ではまず拾いきれないので、時間に余裕のある観戦記で意図を読み取っていきましょう

まず、福地選手は親が🀚押していることから、そこをケアしなければいけません
詰まっているのか一向聴なのか聴牌なのかはわかりませんが、アルタイルジャパンはリレイズを敗退に追い込むためにも、あーく選手に親番でのアガリをされたくはありません

そんな前提の中、🀗切りに至った思考の仮説をいくつか立ててみました

①隣切った

ないない


②親に対して🀃を絞った

🀃が放銃する可能性は相当低いとはいえ、🀃を鳴かれるリスクとなるとまた別です
仮に🀃が対子だとすると急所になっている役牌の🀃を鳴かせてしまうのは、親にあがられて連荘されることに繋がっていきます
放銃も鳴かれることもそれぞれ低確率とはいえ、合わせて考えると絞るに足る理由になるかもしれません

しかし、親は立直に対して🀙🀡🀚切りなので、🀃を持っているならかなり🀃の対子落としで迂回して無筋🀚を切らない手順にしていそうなことから、🀃を持っている可能性はかなり低いと見てよいでしょう
となると、🀃を絞るのはあまり合理的ではありません

では別の理由を探しましょう


③親に降りて子に差しに行った

一向聴から親の1枚押しなんて日常茶飯事すぎるので、この段階から🀗を抜いてしまうのは、🀗が放銃になる可能性があるため点数的にかなり損です
そして何より親が子の立直に放銃する機会を奪ってしまうという点がよくありません
親から立直が来た瞬間に親の現物🀗で子に差しに行くためにも🀗はむしろ残したい牌と言えるでしょう

というわけでこの説もボツです

④アガリに真っすぐに向かった

福地選手の手は南發ドラ5の跳満一向聴です
子の立直に対してなんて降りていられません
三麻のセオリー的に子同士で放銃するのはやむをえませんし、親があがるよりマシです
しかも今回はチーム状況としても親のアガリは嫌です

そして、手牌はアガりに向かうために雀頭が欲しい状態です

先ほどの親が🀃を持っていなさそうな理屈を使うと、🀃は2枚山であることが想定されます
2枚山濃厚の🀃であれば、居場所のよくわからない1切れの🀗より雀頭候補としては優秀ですね

🀗の放銃リスクは受け入れて真っすぐ押していったと見られます


きっと理由は一つではないとは思いますが、主な判断基準として④のまっすぐ押したが中心にあったように見て取れました

ただ先制立直者が「西家のあーく選手」だったらオリに傾きそうなので、もちろんチーム状況があっての選択だったのは間違いないですね


その押した🀗は

Y子選手が捕まえて立直ドラ4の満貫となりました

親のアガリは発生しなかったので、放銃した福地選手からしても次善の結果と言えるでしょう


東三局 親があがりにくるのなら


東一局の和了からの勢いそのままY子選手が突き抜ける展開の東三局一本場

西家に座る福地選手の手牌はご覧の黒さです

この手牌は面子手として進める価値が低いと見て、1切れの🀀を残して七対に決め打っていきます
🀀は1枚切れで親の現物と、七対子としてとても優秀な浮き牌です


この狙いが見事正解となります

🀀を重ねて🀞切っての🀟単騎聴牌です

この聴牌はダマテンとしました

打点が現状七対子のみで立直しても単騎待ちの4000点しかないので打点上昇のうまみがかなり薄いです
好形高打点がどんどん押してくる三麻において4000点の単騎待ちは立直しにくいですね
更には、この残している🀟も南家のあーく選手の現物です

🀟がライバルであるリレイズからこぼれるもよし、ライバルの立直に対してオリた東家から上がるもよし、現物としてオリにつかってよしと対リレイズに汎用できます


そして🀙引いて選択です

ふらっと端牌の🀙単騎にしたくなりますが、今残している🀟は絶好の待ち牌になっています
東家Y子選手が🀞を連続でツモ切りしており、🀞と🀠がそれぞれ3枚見えです

ただ場況良しとしても、端牌であるということを優先して🀟切って🀙単騎に移行しました

この残した🀙もあーく選手が7巡目に切っているので先ほど述べた🀟と同様の働きを期待できます
抜かりなし


じりじりと全体の手がなかなか進まない展開の中

Y子選手が🀃をポンして🀐🀡の双碰待ちです
打点も北ドラ5の跳満からと破壊力十分


これまた困ったのがあーく選手

ドラ5のチャンス手でこそありますが、当たり牌の🀡を掴んでしまいます

親の河には🀞が置いてあるので🀡くらいふらっと打ってしまいそうですが、🀗切ってオリを選択しました
素晴らしい守備力ですね

Y子選手が🀒ツモ切りからのポン出し🀒なので、🀐🀐🀒といった形からの🀐対子がかなり想定されます
ドラ🀐が対子だとすると、双碰の相方として生牌の🀡はかなり可能性の高い牌です
しかも🀐対子だった場合には🀐が切れない以上🀑切って🀐🀅の双碰が最終形になりますが、🀐がないため自分の和了は絶望的です
ここは🀐も🀡も抱えて沈むことを受け入れました


さて、このY子選手の仕掛けとあーく選手の🀗手出しに何かを察知した選手がいます

西家アルタイルジャパン福地選手です

なんと🀏ツモ切り立直を敢行


この立直によって自分が親に降りることができなくなります
七対のみの手なんて現物の🀀切ってオリてもなんの未練もありません

それでも、ここで立直をすることで非常に窮地に立たされる選手がいます

花2の親の仕掛けとラス目の立直に挟まれたあーく選手の心境やいかに

この立直によって安牌に窮したあーく選手が自分に放銃してくれれば着順の入れ替わりも期待できますし、手詰まりを起こして親に放銃してくれても構いません


自分の放銃リスクももちろんありますが、安易にあーく選手にベタオリを許さないという対人戦略立直です

また親が副露したことで24000クラスの立直が飛んでくることがなく、放銃しても飛ばなさそうなことも立直を後押ししてくれますね


あーく選手のエラーを期待した立直でしたが、Y子選手がスライドした🀙を捕らえます
🀙の方が双碰や単騎放銃の可能性が高いですが、危険牌🀝を安牌🀚とスライドできるように🀙を切りたいので、これは仕方ないですね


立直一発七対子の8000は9000の1枚という、2000点聴牌からは考えられない高打点となって成就しました



あとがき


この対局はにまめY子選手がリードを守り切って終了となりました
大トップ条件が残ってしまったリレイズは苦しい最終戦を迎えることとなります

全ては東一局の満貫から計画通りなのかもしれません


それでは今回の記事はここまでです

また明日の記事でお会いしましょう😉

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