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年取って聴こえない音は聴かなくても良い音ということなのかもしれない
久しぶりにノイズ作品を作っていて気づいたことがある
自分の老化である
ノイズ作品じゃなくてもわかってんじゃね?
と思うかもしれないが、これは完全に音楽家としての老化の話である
ノイズ作品は、究極の周波数芸術と言って良い
ひたすらに周波数をいじり倒す音楽なわけで、ダイナミックな音響とは裏腹に繊細な耳が必要となる
要するに高周波をいじるにあたって昔よりも耳が衰えていることを実感してしまった
一般的に人の耳は20Hz〜20,000Hz(20kHz)の音を聴き取ると言われていて、それ以上の音を超音波と呼ぶ
犬とか猫は超音波の帯域まで聴こえていて、犬笛なんてのは、人間には聞こえないけど犬には聴こえる超音波が鳴っているという仕組みである
モスキート音と呼ばれるのはこの原理
しかし、これは理論上であって現代の人はストレスや電磁波の影響により20kHzも聞こえていないというのが専門家の見解
実際、僕が学生時代に測った時には18、9kHzが限界で20kHzの音は聞き取れなかった
たまにアプリなどで測定してみると確実に聴こえる帯域は落ちていて、17kHzくらいがいいところだ
しかし、音楽制作に支障を感じていなかったので気にはしていなかったが、今回ノイズ作品を作るにあたり聴こえていない事実を目の当たりにしてしまった
作品に支障があるわけではない
しかし、なんというか、耳障りの良い音ばかりを使っていて音域の幅が狭まっているような気がした
これがポップスなどであれば気にならない程度かもしれないが、ノイズの場合意外と致命傷になる可能性がある
ひょっとするとポップスなどの音の処理などにも知らず知らずに影響が出ている可能性もある
ちょっとしたショックではあるものの気づいてよかったと思うべきかもしれない
年老いてゆく作曲家などを見て「年取ったんだなぁ」とか「モーロクしてるな」などと思うのはひょっとしたらこのせいかも…
自分がこれから音楽家としてどうしていくべきかを考える
これは物理的にどうにかなる問題ではないので、想像力を働かせるしかない
高周波や高音域の帯域について、これくらいの音が鳴っているはずだと集中するのである
危険である
ここは難しい判断だ
これは老人力がついてきたのだと自分の老いを受け入れるのか
それともあらがって挑戦するのか
老いに抵抗する老人ほどみっともないものはない
が、これは僕自身の問題ではなく
音楽作品の完成における問題でもあるのである
受け入れて、今の自分が良いと思う作品作りにいそしむべきか
作品の完成度を上げたいという音楽家としての自分を優先すべきか
難しい
臨機応変に両方試みるか
ただ、聴こえない音は聴かなくても良い音ということなのかもしれない
年を取ったという話