自分の挑戦で新たな挑戦を巻き込む ~石亀五郎さん~
奥出雲町地域おこし協力隊3年目で活動している石亀さんにお話を聞いてきました。
【プロフィール】
東京都江戸川区出身。
大学卒業後、大手人材系企業を1年間勤務したのち退職、拠点探しの日本一周の旅に出る。
2022年4月から奥出雲町三沢に構える古民家オフィス「みらいと奥出雲」を拠点に地域おこし協力隊(起業コーディネーター)として活動。
◆奥出雲との出会い
会社を退職した後、自分にとっての新しい拠点を探そうと思い、車で日本一周をしていました。旅の中で、たまたま島根県滞在中に当時協力隊だった落合さんに出会いました。奥出雲の三沢を案内してもらい、地域で活躍する人たちと出会ってここで暮らしたいと思い移住を決めました。
◆地域おこし協力隊に応募したきっかけ
落合さんから地域で暮らすうえで協力隊を一つの選択肢として紹介してもらいました。起業コーディネーターということで人のチャレンジを応援したり、人の流れを作ったりといった活動内容。もともと人材系の業界で人の転機に関わる仕事をしていたので、自分に合うんじゃないかと思い応募を決めました。落合さんは初代の起業コーディネーターで私は後任になりました。となります。
◆地域おこし協力隊の活動を通して
起業相談自体はあまり多くないため、奥出雲町で起業のマインドを醸成することが大きな活動目的になります。起業支援の施設である「みらいと奥出雲」の管理人でもあるため、利用者をどう増やすか、チャレンジを増やすにはどうしたら良いかと考えなければなりません。待っているだけでは起業は発生しないため、自分になりに試行錯誤しながら活動しています。正解のない問いだからこそ、自分なりの答えを出すことにやりがいを感じています。そして現在は、関係人口の創出という目的のもと、ゲストハウス「SLOW HOUSE@okuizumo」立ち上げに向けて、自らチャレンジしています。そうすることで、最近はクラウドファンディングやリノベーション、ゲストハウス運営などのキーワードを元に起業相談に繋がるケースが増えてきました。
◆活動の中で意識していること
線引きをしすぎないことですね。奥出雲のような町はワークライフバランスを意識しすぎると生活しづらいです。活動と普段の生活を分けすぎない方が結果的にうまくいく感じがしますね。あと、同世代をいかに巻き込めるか。奥出雲での時間が過ぎるにつれ、町の同世代と話す機会が増えていったのですが、話していると若者が地域で孤立しやすくなっていることが分かりました。同じ価値観で仲間づくりができるか。気を許せる仲間を作りたいと思うようになりました。起業支援は初代の落合さんに拾える層(少し年上)とは違い、自分は若い世代のチャレンジを醸成できるよう意識しています。
◆活動でうれしかったこと
一つは同世代のチャレンジが実現したことです。奥出雲に来て友達になった地元の田尾くん(当時26歳)が30歳でそば屋を開きたいと言っていました。自分が協力隊の活動期間中に店を開いたら?と冗談まじりに話していたところ、本当に田尾くんがそば屋をオープンさせる瞬間に立ち会うことができました。お店を開いたことで地域のお客さんから「奥出雲で若い人が頑張ってくれてうれしい」や「チャレンジを応援したい」という声が聞かれて、たくさんのポジティブな反応が返ってきているようです。
田尾さんの「高原そば壱心」HP
二つ目は奥出雲で同世代のコラボが生まれたことです。鍼灸師の藤崎さんとバーガーハウスピコピコ荒金さんによるコラボが実現していました。先ほどの田尾くんを中心に奥出雲の同世代で飲み会を開いているのですが、その会の中でコラボのアイデアが出ました。自分で事業を持っているからこそ行動が早く、面白い子が集まっています。奥出雲で起業コーディネーターがいなくてもつながりができていくと良いなと思っています。
「バーガーハウスピコピコ」HP
◆奥出雲町で暮らしてみて
スローライフと思いきや、意外にもハードな毎日です。人が少ないからこそ声をかけられることが多く、色んなイベントに声をかけられる。毎年新鮮な気持ちです。正直自分は飽き性なのですが、飽きた頃に新しい話がやってきます。楽しみながら充実した毎日を過ごせています。
◆今後の目標
一つ目は卒業後も地域に居続けられるように新しい仕事を作ることです。最近はリモートでできる仕事も増えてきています。今の地域での活動は続けながら、リモート等の仕事を組み合わせて両立できるようにしたいです。二つ目は9月にオープンするゲストハウスをはじめ、中長期的に関わる仲間を増やすことです。ゲストハウスを入口に地域の仕事やイベントにつなげられると良いなと思っています。
◆奥出雲町の良いところ
人から文化、そして人です。まず、奥出雲の人を知って人から地域に入り、たたら製鉄の歴史が生み出した循環型農業を知ることで、奥出雲にしかない文化を体感しました。そして、どういう人と一緒に暮らしていきたいか考える中で、奥出雲にはそういった方々が多く暮らしている町だと思いました。どの地域も景色は綺麗ですが、ぜひ奥出雲に来て人と文化の良さを感じてほしいと思っています。
石亀さんの活動拠点、三沢地区では月2回第2・第4土曜日、地域のバー「金吉屋大作戦」が開催されています。町内外の面白い人が集まっています。ぜひお越しください!