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誰もが待ち望んでいる。
世界危機。
突然の銃声!
目の前で倒れる男性!
慌てて駆け寄る。なにか、訴える顔つきで、
「あ、浅香唯のライブにい、行きたかった……」
ガクッと、力尽きる。
きゃゃゃゃっっ!
突然突っ込んでくるトラック、巻き込まれ、轢かれ、道路に投げ出される若者。
こちらに向けて、手を伸ばし、
「今年こそは……浅香唯の、ら、ライブに……行きたかった……」
ガクッと、力尽きる。
ドカァァッッッンッ!
と、突然の爆発音!
吹っ飛んでくる女性!
目の前で倒れ、
「浅香唯の……メロウエイジ……情報系もいいけど、唯さん主役のものを……あと、ライブ……」
ガクッと、力尽きる。
うぉぉぉぉぉっっっ!
と、僕は叫び、世界の混乱に戸惑いつつ、走り出すと、目の前を、羽が生えた巨大怪獣が空から飛んできて、その風圧に、次々と飛ばされていく人々!
と、壁に頭を打った会社員らしき男性が、うつろな目つきで、
「昨年の浅香唯の無観客ライブ映像、『ボーイフレンドをつくろう』がもう一度見たかった……あと、実際のライブ再開を……」
ガクッと、力尽きる。
世界が混乱。
みんな、口々に平和を待ち望んでいた。
「浅香唯のライブ……行くんだ……」
僕はそう呟き、こぶしを握り締めた。
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