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友好的さは漂う。

少し落ち着こう。
と、思った。
少し落ち着こうと思えば、少し落ち着くことができるのかはわからないけれど、「少し落ち着こう」と、思った事実について考えることはできる。

外灯の周りを虫が数匹飛んでいた。
夜になっても、蒸し暑く、心地いい感じはしなかった。
バスはまだこない。

「友好的さって、空間に漂うの」
と、昔、デパートのギフト売り場で働いていた女の子が言っていた。
「だから、そこがどういう場所なのかは、感じようとすれば、分かるはずなの」

それがギフト売り場で働くのに役だっているのだと言った。

そういえば、僕はあの女の子と、どこで会って、なぜそんな話をしたのだろうか?
思い出せない。
ただ、その言葉だけは覚えていて、瞬間的に、「友好的さ」を、僕はあの女の子混みで、その空間に感じることが出来た。

「凄い」
僕がそういうと、女の子は笑った。

少し落ち着こう。
僕は、「友好的さ」がもっと感じられるように、意識に耳を澄ませてみた。

そして、僕自身がこの世界に友好的だったのかについて考えていた。


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奥田庵 okuda-an
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