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そんなことでデモとかしない世界。【小説】


周りを見回すと、結構すぐ死と隣合わせのものが、「信頼」のもとで点在している。
歩道橋も飛び降りたら死ぬし、車で人はひけるし、刃物も安売りしてる。

逆に言えは、人は生きたいのだとも言えるのかもしれない。
それらの道具は不便を便利にしようとして生み出されていて、みんなに活用されて浸透しているもの。
「歩道橋あぶないじゃないか!人が飛び降りたらどうするんだ!」
なんて、誰もデモとか、しない。

暑くても仕事に行くし、時間通りにバスが来なくても待つし、食べたいものが高くても文句を言わない。
暑くて死ぬとか、待たされて熱中症で倒れたらどうするんだとか、お腹が空いてる人に、食べたいものを高値で売ろうとしているとは極悪人だ!なんて、デモしない。

言いがかりと、そうでないものを一応は区別できている状態が多数をしめて成り立っている。「社会性」。

けれど、その境目がわからなくなってくると、やはりおかしな感じにはなるのだろう。
毎日バンバン歩道橋から人が飛び降りて、腹が立ったからとひっきりなしに車でひいて、激安刃物を振り回して、暑さに怒りをあらわにして、バスで暴言吐いて、食べてからお金払わないことを指摘されて逆ギレする可能性も世界には勿論あるわけで。

そう考えると、社会は奇跡的に善意に満ちているとも言える。

「素敵やん」
と、紳助のモノマネしてた人誰だっけ?

「素敵やん」

モノマネ。

とりあえず、素敵やん。


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奥田庵 okuda-an
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