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デパート坊や【短編小説】
デパート坊や。
という妖怪がいるらしい。
デパートにいて、10歳程度の少年の姿。
買い物していると、
「買ってよ。やだやだやだ」
と、泣き叫ぶ声。
振り返ると誰もいない。
それがデパート坊や。
チラッと見ると少年がピョンピョン跳ねてる。
よっぽど嬉しいんだねなんて思って癒やされてると、次の瞬間、飛び跳ねて、消える。
「え?」
それがデパート坊や。
デパート坊やは、デパートに行きたかった少年が事故にあい、魂だけそこに辿り着いたと言われている。
また、病室でデパートを思い続けた難病の少年が、自分が死んでしまったとも気づかずデパートへ来たのだとも。
デパート坊や。
カフェスペースで行儀よく座っていたり、トイレから、「もう少し」と声がしたり、試食コーナーの食べ物が減ったりしている。
そのデパート坊やが出ると言われている、デパートが今月末で営業が終了する。
デパート坊やも、お迎えが来て成仏してくれよと、淋しげパートおばちゃんは願っていた。
淋しげパートおばちゃんは妖怪ではなく、ただのパートのおばちゃんである。
いつもデパート坊やを探していたのだが、それはまた別のお話。
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