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ミニ小説100編 その④

100
ミニ小説100編です。その④
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#短編小説

夕焼けは綺麗とよく言われるけれど、僕にも今日はそう見える。

理由を説明しないといけないと考えると憂鬱だった。 理由は「いっぱい」である。 誰にでもわ…

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山籠もりしたい会社員の山本君。

出来るだけ山に籠って、静かな生活がしたい同級生の山本君はバリバリの会社員になっていた。 …

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誰も見ない写真。

余命が半年と分かってから、静かに整理をしてきた。 それとなく、退職を伝え、仕事を引き継ぎ…

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夢は叶っている。

通っていた美容室の、担当美容師さんが独立して、お店を持った。 ローカル線の、小さな駅の少…

43

ざわざわ。

あれは、嘘だ。そんな簡単なわけがない。 と、いう否定。 「……」 ただ、そこに、僕のモヤ…

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気がかり。

社員が十人弱のうちの会社に、新人が一人入って、二か月弱で辞めていった。 三十代後半の女性…

15

静かに撫でる。

実家の犬が亡くなったと母親からLINEをもらう。 電話して状況を訊いた。 車との接触事故。 それから、ずっとその犬のことを考えてる。 一緒に暮らしていたわけではないけれど、思い出すと、可愛らしい犬の姿が浮かび、そして、ああ、死んでしまったのだなぁと、寂しくなる。 妻と実家に立ち寄ったとき、誰もいなくて、犬だけが留守番していたことがあって、近くの海まで散歩へいった。 ひとけのない海で、とんでもない速さでクルクルと走り回り、その迫力に、 「生命の塊が解放されているみたい!

「僕」の物語。

僕の時間を差し出していることに対し、たまに酷く心苦しくなる。 時間を差し出すことによって…

15

空き地があるだけ。

数カ月前までは畑だった。 今では雑草が生い茂り、たぶんそこが畑だったなんて誰も信じてくれ…

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震えている。

電車に揺られながら、少しだけ長く目をつぶった。 電車が茅ヶ崎駅のホームに到着し、扉が開き…

17

友好的さは漂う。

少し落ち着こう。 と、思った。 少し落ち着こうと思えば、少し落ち着くことができるのかはわか…

13

自由気ままに、楽しく、の才能。

自由気ままに、楽しく生きていけたら良いのに。 そう思う。 サーフボードを抱えて、海へ向うお…

11

もう会わない、の更新。

あの出来事が現実だったかどうかの確証はない。 けれども、僕は、記憶としてそれを留めている…

9

もわもわ。

毎朝、起きてすぐに1200文字を書くというのを数年やっていたのだけど、ここ、半年ばかり止めていた。 書いていることは、なんてことない頭に浮かんだことを、ただただキーボードで打つという作業。 頭に浮かんだことを吐き出すことによって、まあ、余計なことを頭の中で反芻しないっていう利点。 どうでもいい考えがずっとクルクルと繰り返すことの対処のためにやり始めて、そんなに苦もなく、習慣になっていたのだけれど、 ふと、 「……」 一度、何かしら理由が分からない、「意識の変化」みたい