カルソニックカンセイ買収から東京ラヂエーター製造買収
=カルソニックカンセイをファンドが買収したら、東京ラヂエーター製造を買収しないわけがないと考える理由=
カルソニックカンセイは東京ラヂエーター製造の株を5,770,000株(40.06%)持っている筆頭株主です。
東京ラヂエーター製造の発行済み株式総数は6月末で14,400,000株ですが、自己株式として11,940株所有しています。
カルソニックカンセイを買収したファンドは、
14,400,000株―自己株式11,940株―カルソニックカンセイ所有分5,770,000株=8,618,060株
を買うと、東京ラヂエーター製造の100%の株を手に入れることができます。
カルソニックカンセイを買収したファンドが、東京ラヂエーター製造の持つ余裕資金である6月末の現・預金41.8億円+日産グループファイナンスに対する預け金57.7億円=99.5億円の金額内で、東京ラヂエーター製造の株を買えば、タダで東京ラヂエーター製造の100%の株を手に入れることが可能です。
東京ラヂエーター製造は、現・預金と日産グループファイナンスに対する預け金を全部使っても、事業には全く支障がありません。
99.5億円÷8,618,060株=1154.55円
この金額以内で東京ラヂエーター製造の株を買うなら、自分の資金は使わずに東京ラヂエーター製造を手に入れられます。
つまり、一時的にファンドの資金を使っても、買収した東京ラヂエーター製造に自社株買いさせて使ったお金を回収できるので、結果的にタダで東京ラヂエーター製造の100%の株を手に入れることができるという意味です。
東京ラヂエーター製造は投資有価証券も7.7億円持っているので、この投資有価証券を現金に換えれば、もっと高く買うことも可能だと考えています。
東京ラヂエーター製造の全ての負債は103.9億円(=流動負債96.0億円+固定負債7.9億円)ありますが、受取手形及び売掛金85.0億円+在庫23.5億円=108.5億円という営業性流動資産で全てカバーしています。
【(注)預け金について】
2016年3月期の有価証券報告書の開示情報を引用します。
『資金の預託及び借入については、日産グループファイナンス株式会社から提示された条件(利率等)を検討し、決定しております。この預託及び借入はキャッシュマネジメントシステムによるものであるため、取引金額については純額で表示しております。』
■東京ラヂエーター製造の本社工場の土地の含み益の大きさ
土地については、神奈川県藤沢市の本社工場の底地が公示地価格となっており、この価格を時価として計算すると42.4億円程度の含み益が見込めそうです。
藤沢9-1 1平方メートル当たりの価格 62,500円
工場の底地面積 88,254平方メートル
公示地価格を現在の価格として計算した時価 55.15億円
簿価 12.69億円
含み益 42.46億円
「自動車関連の工場が多い区画整然とした工業地域」という説明がなされています。
この公示地の地図をみて、周囲の商業地や住宅地の公示地の価格が藤沢9-1の1平方メートル当たりの価格62,500円の3倍近くもあることに気が付かれたと思います。
藤沢9-1は、用途区分が工業地だから価格が安くなっています。しかし工場を移転して、用途区分を住宅地や商業地に換えることは可能だと思います。すでに周辺は商業地や住宅地になっています。そうなると公示価格は一気に周辺の公示地価格まで上がります。もし売却するなら、それくらいの価格で売れる可能性が高いということになります。
公示地の地図をよく見ると、工業地のままで売れば時価105.9億円(含み益93.21億円)で売れると考えてもおかしくないし、住宅地に用途変更して売ると時価144.7億円(含み益132.0億円)くらいで売れる可能性もあると思っています。
具体的には、藤沢9-1の公示地は用途地域が工業地だから62,500円と安いですが、この周りは住宅地や商業地になっており、すぐそばの公示地の価格は、道を挟んだ反対側の住宅地の公示価格藤沢5-44が164,000円。商業地の藤沢5-17が175,000円。同じ道の同じ側の約300メートル離れた工業地の公示地である藤沢9-3ですら120,000円です。より商業地に近い藤沢9-1である東京ラヂエーター製造の公示地価格が、半分ということはないと思います。
■東京ラヂエーター製造のビジネスについて
東京ラヂエーター製造はビジネスにも魅力があります。
販売先はいすゞ自動車です。第2位の販売先はDMAXです。
いすゞ自動車の国内向け商用車トラックに搭載される「ラジエーター」は全て東京ラヂエーター製造で生産しているということです。
いすゞ自動車への売上は、東京ラヂエーター製造の2016年3月期売上高の42.9%を占めています。
(2012年3月期は40.1%、2013年3月期は42.9%、2014年3月期42.2%、2015年3月期42.1%)
なお、第2位の販売先はDMAXです。
2016年3月期のDMAXへの売上は、売上高の10.4%(2015年3月期8.4%)です。それ以前にはDMAXへの売上高は10%未満なので、有価証券報告書には、販売先として出ていません。ここ2年間でDMAXへの売上高が着実に伸びてきていることが分かります。
注)DMAXはアメリカにおけるいすゞ自動車と、ゼネラルモーターズとのディーゼルエンジン生産合弁会社です。
つまり、いすゞ自動車という日本の大手のトラックメーカーは、東京ラヂエーター製造の製品がないとトラックが作れないということです。
東京ラヂエーター製造は収益力も安定していて強い企業です。
東京ラヂエーター製造の純利益と一株利益の推移です。
2014年3月期 11.81億円(一株利益 82.2円)
2015年3月期 13.45億円(一株利益 93.5円)
2016年3月期 13.88億円(一株利益 96.5円)
2017年3月期予12.00億円(一株利益 83.4円)
つまり、カルソニックカンセイを買収したファンドは、ここ数年、純利益で12億円から13億円稼ぐ東京ラヂエーター製造の、含み益が巨額な土地と、建物等21.7億円+設備等46.0億円+その他9.8億円=77.4億円をタダで手に入れることが可能です。
ファンドがこれほど美味しい話を見逃すはずはないと思います。
経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎
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