見出し画像

#18 リスクモンスター(3768) 2019/07/23

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■
=========================
-------------------2019/07/23

       山本潤監修「グロース銘柄発掘隊」 第18号

-------------------------
==========================


 山本潤氏率いる「株の学校」で、山本氏をはじめとする講師陣の薫陶を受けた精鋭アナリスト達が、成長株を発掘し、その内容を詳細にレポートします。

 毎週火曜日配信、1回に1銘柄の深掘りレポートです。


■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■


               【目次】


    ■はじめに
    ■リスクモンスター(3768) 客員アナリスト 小月陸


※本メルマガの一部内容を、億の近道へ抜粋の上掲載することがございますので、あらかじめご了承下さい。


■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■


■はじめに


 NPO法人イノベーターズ・フォーラムのご協力により、客員アナリスト
たちのレポートの有料メルマガがスタートしました。

 グロース銘柄発掘隊の隊長は東京2期生です。
 彼の指揮下、隊員たちは、週に一本のフルレポートをディープに発表します。
 どれも個性あふれるレポートです。

 投資家のみなさまにおかれましては、ぜひ、グロース銘柄発掘隊の客員アナリストたちへのご支援をよろしくお願い申し上げます。

(山本潤)


【発掘隊より】

 グロース銘柄発掘隊は、5年から10年以上の長期投資に耐えると思われる銘柄を発掘し、調査分析するものです。配信した銘柄は短期的に株価調整する場合もありますが、対象企業の前提条件が変化しない限り、問題ないと考えます。
 配信した銘柄は定期的にチェックしております。もし、前提条件が変わったりビジネス環境が大幅に変化した場合には、あらためてフォローコメントを配信致します。


■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■


■リスクモンスター(3768)


【会社概要】


 同社は法人が取引先の財務健全性や倒産リスクを分析し、誰でも与信管理が簡単にできるクラウドシステムを中心にグループウェアや、教育研修サービスも提供しています。

 現在代表取締役社長の藤本氏は創業メンバーの一人です。同氏は大阪大学を卒業後、大手商社である日商岩井(現双日)に入社しました。1990年代後半の当時アメリカにおけるドットコムバブルの影響で、日本の大手総合商社に務める若手の間ではあらゆる商取引がインターネット上で行われるようになり、総合商社がいらなくなるのではないかという”不要論”が巻き起こっていました。やる気のある優秀な若手は特に総合商社をやめて起業する傾向にあったそうです。
 例えば、ほぼ同じ時期に伊藤忠からはイー・ギャランティが設立されています。現代表の藤本氏が、当時大手総合商社の審査部における経験を元に、同じ日商岩井で務めていた前代表である菅野氏、杉本氏とともに、ECの普及により直接相手が見えない法人間の取引が活性化すれば与信管理のノウハウに対するニーズはより大きくなるのではないかと考え始めたのが、与信管理審査業務をサポートするためのクラウドサービス、リスクモンスターです。

 与信管理といきなり言われてもなかなかピンとこない方も多いと思いますが、ご安心下さい。同社のyoutubeチャネルで詳しく解説されています。

リスモン与信管理基礎講座 第一回「与信管理の基礎」
 https://youtu.be/eOmAE-7QF1Q

 一応こちらでも説明させていただくと、与信管理とは、後払いが一般的な企業間の取引において債権の回収リスクをヘッジするための手段になります。
 与信管理を行う担当者は販売先の財務状況を正確に把握しどの程度の金額であれば確実に回収することができるか見積もる必要があります。もちろん、情報があまり公開されていない非公開企業も審査の対象になります。普段株式投資をされる皆様からしたら十分ご理解いただけるかと思いますが、業務内容としてはかなり難易度が高いと考えられます。

 従来であれば、この与信管理業務を担っていたのは若手の頃は営業でバリバリ働き取引先の企業を熟知したベテラン社員がこの仕事についていました。しかし、近年の働き方改革や人手不足などによりこのノウハウを若手にしっかり引き継げた企業は少ないと同社の代表である藤本氏は語ります。難易度が高く、ノウハウが継承されていない中でも与信の管理は誰かがやらなければなりません。取引先の財務状況をあまり考えず、大規模な取引を続けていたら、商品は大量に納品したのに代金を支払ってもらえず、大きな損失を出してしまうといった事態に発展しかねません。
 そこで必要になるのが同社の与信管理システムです。

 以下では事業セグメントごとに同社の事業を解説します。


◆与信管理サービス
 与信管理サービスは同社にとっての主力事業で今後も安定した成長が見込めるセグメントになります。2019年3月期決算では売上高約19億円と全体の57%を占めます。また、クラウドシステムでのサービス提供のため限界利益率が高く、過去5年でこのセグメントの営業利益率は9%から18%に成長しています。
 加えて、顧客数成長率のボラティリティが非常に低いことも特徴的です。
 過去5年の推移を見ると毎年平均で5%程度顧客数が伸びていますが、標準偏差は僅か1.4%です。リーマンショックの年を織り込んで過去10年間で計算しても平均成長率6%、標準偏差8.5%と比較的安定していることが伺えます。
 具体的なサービスとしては、企業の与信担当者が簡単に取引先の状況が把握できるよう様々な視点から分析した結果を、a~fの6段階での格付けした、わかりやすい分析レポートとして即座に確認することができるシステムを提供してます。従来であれば、東京商工リサーチや帝国データバンクから企業の情報が大量に詰まった調査レポートを購入しなければなりませんでしたが、同社のサービスは一件ごとにレポートを確認するとことができるため無駄な費用がかかりません。
 また、東京商工リサーチや帝国データバンクの競合サービスはあくまでも与信管理をする際の分析に必要な素材を提供するにとどまるのに対して、同社のサービスはその素材を加工して常に最新の分析結果を提供するものなので、付加価値が異なります。
 課金モデルとしては、月額の基本料金が2万円で格付け情報を閲覧するのに1件あたり、1000円~1600円程かかります。同社はIR資料にて顧客数とセグメント別の売上を出しているので、そこから年間の顧客単価を算出すると一顧客あたり年間で30万円ほどの売上となっています。
 また、特に不況時や、最近某芸能事務所が話題になっていますが、反社会的勢力とのつながりが世間一般で話題になった際には、取引先が問題ないか確認するために格付け情報の閲覧件数が増え、顧客単価が向上します。リーマンショックの際には顧客数こそ減少したものの、顧客単価は40万円ほどに伸びたため、全体の売上にはそこまで大きなダメージがなかったようです。

ここから先は

6,605字

¥ 2,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?