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石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」沖縄電力(9511) 2016/08/30

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        石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」
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            ◆Contents◆

   ◇銘柄研究 沖縄電力(9511)
   ◇コラム 投資家の欲望により歪んでいる株価を利益に換えたい

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◇銘柄研究 沖縄電力(9511)

 本日は、昭和47年(1972年)に、前身である琉球電力公社から事業を引き継いで民営化された沖縄電力を研究銘柄として取り上げます。

 まず、沖縄電力を研究銘柄に選んだ理由を述べていきます。

1.沖縄電力は、日本で唯一原子力発電所を持っていない、そして作る計画もない大手電力会社であること。

 電力(すなわち電気)は、作れば確実に売れる商品です。私たち日本人は電気があるのが当たり前の環境で生きてきました。しかし2011年3月の東日本大震災で福島第一原子力発電所が被災して事故を起こし、放射能がまき散らされる大事故が起き、日本全国の原子力発電所が停止され、まだほとんどの原子力発電所が稼働できない状況です。

 私は島根県で原子力発電所から10キロ程度のところに住んでいるので、原発の稼働には反対です。原発事故で放射能事故が起きたら命にかかるわけですし、放射能汚染地帯の土地などの価値は無くなります。

 また原発事故を起こした電力会社も、一気に経営危機に陥ります。沖縄電力はこのようなリスクが唯一無い大手電力会社であることが、本日の研究銘柄として選んだ、最大の理由です。

2.沖縄電力は、予備電力が日本一高い電力会社であること。

 経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の下に設置した、
「電力需給検証小委員会」において、第三者の専門家による検証を行った『2016年度夏季の電力需給対策について』という資料です。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/electricity_supply/20160513/taisaku.pdf#search=
 この資料では、全ての電力会社で最大需要時の電力の安定供給に最低限必要な予備率3%以上を確保できる見通しであるとして、電力会社別の予備電力の数字を開示しています。
 原子力発電所がほとんど稼働していない現状において、本土の電力会社の予備電力は最低の四国電力で5.8%。最高の北海道電力で20.2%。しかし沖縄電力はなんと45.7%の予備率がありました。

 電力不足で怖いのは、ブラックアウトです。電力の供給キャパシティを超えると、変電所、配電所、各配電先のトランスなどの設備が破壊される場合があり、これがブラックアウト状態です。

 ブラックアウトになると復旧までには最低丸1日くらい、場合によっては数日間、場所や状況によっては更に掛かる場合があると言われます。

 電力不足は、電力需要と供給のバランスが崩れた際(需要過多時)に起こります。気象にも依存しますが、夏場には企業のオフィス、サーバルームや製造工程における空調、また家庭におけるクーラーなどの使用により、電力使用量がピークとなります。

 過去においては、電力10社が地域ごとに販売を独占してきたわけですが、現在は電力自由化が行われ、電力の消費者は電気をどの業者から買うかを選べるようになりました。そして電力会社も日本のどこでも電力を売ることができるようになりました。

 日本政府は、60年以上続いてきた電力大手10社の地域独占を廃止し、電力の需給を全面自由化するように動いています。2016年4月から、一般家庭や商店を対象とする低圧電力の販売も自由化されました。これまで、2000年3月に、大規模工場を対象とする特別高圧の電力販売が自由化され、2004年には中規模工場向け高圧電力の販売にも拡大されました。

 更に今後は、事業者競争の公平性・透明性を高めるため、2020年4月には発送電も既存の電力大手から分離される予定です。

 沖縄連力以外の他の大手の電力会社の多くは原子力発電所を休止に追い込まれて、赤字化した企業も多いです。黒字に復帰した電力会社もありますが、将来的に原子力発電所を廃炉にするためのコストがどれだけ大きくなるか分からない状況にあり、黒字化しても投資対象としては適していないと、私は考えています。しかし沖縄電力にはこのようなリスクが皆無です。

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