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生損保の闇
先月からバレーボールのネーションズリーグを観ていました。
男子は200cmを超えるブロッカー陣が機能することで高身長の他国勢と互角以上の戦いをし、女子は身長差を乗り越えて素晴らしいパフォーマンスを発揮しました。
若い人たちが活躍する様を見ると日本の将来への安心感が得られます。
それに引き換え、ジーさん達(特に与党政治家など)の自己中やら矛盾だらけの言動に呆れますし、権力や既得権にしがみつく哀れな様ばかりが目につきます。
2000年代に入ってから、「貴方に合った保険を探します!」との謳い文句による保険代理店が成長しています。もちろん営利事業ですから、キックバックの大きい商品の取り扱いが多いと言った話しも頻繁に耳にします。
一方の損保は元々代理店経由の成約が多く、ビッグモーターの不正事件で耳目を引くことになりました。
そんな中、昨年秋から今年3月まで株価が急騰していたFPパートナーが気になっていました。今のご時世で、何故に対面の保険代理業でこんなに利益が増えるととともに株式市場で評価されているのか?と疑問に感じていた訳ですが、4月頃からの内部告発や大手経済誌の暴露記事などにより、その経営実態の異様さが見えてきました。
4月にはオーナー夫婦が保有株の一部を売却したとのニュースを見て「この時期にオーナーが株式の現金化を図る」と言うのは「株価が高過ぎると判断しているはず」と考えましたが、案の定、株価は3月を境に大きく下落し、僅か3か月で(一時)1/3の株価水準となりました。
損保業界では、第三者委員会の調査によりSOMPOホールディングス(HD)各社が経営陣を含む組織ぐるみで不正の隠ぺいを図っていたことが明るみとなり、ガバナンスが全く機能していなかったことが露呈しました。子会社を監視すべき立場であるHDの櫻田会長も渋々?辞任しました(呆)。
同時に、社外取締役には有識者を十分に確保していたはずですが、実態は形だけの役員構成で会社経営(お友達の集まり)をしていたようです。改めて社外役員の顔ぶれを見ると余り機能していなそうと感じる部分もありますし、取引先の社外役員まで兼務している方も居ましたね。有名な学者さんのようですが、この態勢ではガバナンスもクソもありません。
本件の発覚以降もSOMPOHDの株価は上がっていますが、これはマーケット環境によるものであり、経営がしっかりしていれば本当はもっと以前から上がっていたとも考えられます。過去の杜撰経営により契約者や投資家は(見え辛い)損失を被っていたのではないでしょうか。
JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)の典型例です。
業界内への天下りなども多く当局との癒着を感じます。
上場企業の少ない生保にも闇はあるのでしょう。上場(開示)に耐えられない故に上場しない生保もありそうです。
昨年来、上場企業のガバナンス態勢について書いてきましたが、先日の週刊ダイヤモンドでは「社外取締役1万人の序列」という特集が組まれていました。良く調べてくれたなぁ~と感心しました。
社外取締役候補の奪い合いの様相ですが、大手役員OBやコンサルティングのトップ、役所の元高官、大学教授等々、有名人を並べておけば安全と考えるのでしょう。形だけ整えるJTCらしさがあります(汗)。
もちろん企業経営の経験や知見などは役員選びに重要ですが、前回も書いたように、3社も4社もの大手企業の経営や役員の監視が出来るかは別問題です。月一で役員会に出席しただけで企業実態が分かるはずもありません。
ENEOSではセクハラが明るみに出てトップ3人が次々と辞任した背景などが総会で追及されたようです。異常な事態については当局との癒着も感じられますし、寡占化された業界の驕りもあるのでしょう。再編を主導し天下りを多数送り込んでいる経産省の責任は重いはずですが、毎度のこと役人は誰も責任を取りません。
大手に限らず時価総額数百億程度のスタンダード企業にも後ろ向き経営が指摘される状況が多々あります。持ち合い解消によりアクティビストに狙われることを恐れるなど、これら情けないJTCにこそ改革が求められます。
前述のような腐敗構造が明るみに出ることで経営環境が改善されていけば株価の追い風になります。まだまだJTCは沢山ありますので、それらの悪弊・腐敗が解消されていくことで徐々に日本株への見直し買いが増えればと期待しています。
様々な場面で腑に落ちない事業環境を温存する業界を調べ、改善可能性を評価して(期待して)投資するのも面白いと思います。
(街のコンサルタント)
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