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石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」 明星工業(1976) 2016/02/02

※このレポートは2016年1月に作成されたものであり、企業情報や数字等は当時のものです。またリンク先の変更によりリンク切れの場合があります。あらかじめご了承の上お読みください。

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        石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」
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            ◆Contents◆

  ◇銘柄研究 明星工業(1976)
  ◇コラム どこまで日本株がリバウンドするかを冷静に見極める


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◇銘柄研究 明星工業(1976)


 本日は、1944年(昭和19年)創業の明星工業を研究銘柄として取り上げます。

 明星工業は、発電所や化学プラント、LNG(液化天然ガス)関連施設等に代表される、工業設備に欠かせない断熱工事を主力とする建設会社です。創業以来約72年にわたり工場のプラント・設備の省エネ化(断熱工事)で成長してきました。

 工業炉では2000度もの高温から設備を守り、LNG運搬船ではマイナス162度の超低温を保つ断熱技術は、日本国内外の多くのユーザーから高い評価と信頼を得て、省エネや地球環境の保全に広く貢献しています。

 シェールガスの開発が進み、原油価格が下落することで米国株が下落して、エネルギー価格が下がることで恩恵を受ける原油や天然ガス輸入国の日本の企業の株まで大きく下げている投資環境にあります。

 しかしエネルギーは私たちの生活の中で必要不可欠なものです。日本ではあまり採れないので、ほとんど輸入に頼っています。気体のままでは輸送効率が悪いので、生産地でマイナス162度に冷却し液体化(液化天然ガス:LNG)とする事で体積を小さくして大量に輸送しています。

 明星工業は、永年培った超低温保冷技術を駆使し、現地の液化設備から低温運搬船、日本国内の貯蔵設備に至るまで、LNGに関する一連の保冷工事に世界有数の実績を残しています。

(注)一般的にはシェールガスと天然ガスという表現で区別されています。
   しかしシェールガスである非在来型天然ガスも従来の在来型天然ガスも、 地下から掘削する天然資源ですから天然ガスであることは同じです。
   より厳密に分類するとシェールガスは非在来型天然ガスということになり、一般的に使われる天然ガスは在来型天然ガスとして区別することが 多いです。


 また、1月17日の日本経済新聞社の記事には、水素輸入基地に関して次のような記事が掲載されました。引用させていただきます。

『神戸市は26日、川崎重工業や岩谷産業と連携し、次世代エネルギーとして注目される水素の輸入基地を神戸港に新設すると発表した。世界に先駆けた水素サプライチェーン(供給網)構築の拠点となる。医療に続く産業の核を模索する同市にとって、水素は将来を託す有望分野になりそうだ。
 同日の記者会見で久元喜造市長は「国策として取り組む重要なプロジェクトの拠点を神戸市につくってもらうのは願ってもないこと」と話した。
 神戸空港のある空港島北東部の約1ヘクタールの市有地にできるのは、液化水素を輸入用タンカーから荷揚げし、貯蔵、出荷する国内初の実証プラントだ。2020年度をめどに本格稼働し、工場や水素ステーションなどに供給する。日本の水素技術を世界に情報発信することを目指す20年の東京五輪に間に合わせる。
 将来、水素エネルギーの活用が本格化すると、国内製造分だけでは不足すると想定されている。経済産業省が策定した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」は、30年をめどに未利用エネルギーから水素を取り出して活用する技術の本格導入を掲げている。
 その一つとして、川重と岩谷、Jパワーは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、石炭の中でも水分量が多く、利用価値が低いとされる「褐炭」から水素を製造して輸入する方法を目指している。セ氏マイナス253度で液化して海上輸送する。厳密な品質管理が求められることから、タンカーが振動を抑えて接岸できるよう岸壁の整備を神戸市が担う。水素の供給単価は、製鉄所などの副産物からつくる現在の方法の半分程度にし、普及を後押しする。
 水素に関する拠点づくりでは各地がしのぎを削る。企業の集積や投資の呼び込みにつながるためだ。今回も「水面下ではいろいろなやりとりがあった」と久元市長は明かす。そんな中で神戸が選ばれたのは川重と岩谷の研究拠点からの近さに加え、17年に開港150年を迎える神戸港が岸壁整備や多様な船舶の受け入れで実績が豊富であることも評価されたもようだ。
 神戸商工会議所の幹部は「各地が水素関連の取り組みに力を入れるなかで一歩リードにつながる」と評価する。神戸市は阪神大震災からの復興事業として医療産業を育成してきたが、それに続く柱を模索してきた。水素は関連する部品や製品の裾野が広い。今年度には神戸市などが主導して中小製造業20社と「水素クラスター勉強会」を発足しており、輸入拠点誘致を受け、関連分野への参入に向けた動きが本格化する。
 燃料電池などの基礎研究や水素タウンといった活用環境の整備などでは福岡県や川崎市などが力を入れている。一方、関西圏は岩谷や川重をはじめ水素についての技術を持つ企業が多く、バルブやボンベ、ゴムパッキンなど燃料電池車用の水素ステーションの建設に不可欠な技術を持つ中小・中堅企業も増えている。輸入拠点の開設によって、神戸だけでなく関西全体の産業集積が厚みを増す可能性がある。』
(以上で引用を終了します。)


 目に見えるほど近い将来に水素社会が日本に訪れようとしています。水素を安く日本に輸入するためには明星工業が得意とする断熱技術が必要です。これから数年間の間に、明星工業の利益を押し上げる大きな需要が発生することが実感できるようになってきました。


 温暖化ガス排出量が少ない水素を輸入し、日本国内へ供給して水素社会を実現するプロジェクトがいよいよ具体的にスタートしたわけです。

 現在、日本においては製鉄所などの副産物で生まれる水素を使っていますが、燃料電池車や発電所の燃料として普及が加速しそうな20年代には不足する懸念があります。
 高圧・低温で液化した水素を特殊なタンカーで輸入して貯蔵し、タンクローリーで各地に出荷するプロジェクトです。

 燃料電池などの基礎研究や、水素タウンといった活用環境の整備などでは福岡県や川崎市なども力を入れています。日本各地で水素社会のための投資が増えていくことが予想されます。

 水素にしてもシェールガスなど天然ガスにしても、冷凍して体積を圧縮して日本に輸入してくることが必要になります。


 明星工業の主な事業セグメントは以下の3つです。

<1.省エネルギー関連事業(断熱事業)>

 産業用設備、機器等の断熱工事および工業炉の築炉・耐火工事において、プラント設備の熱効率を上げるとともに、エネルギー消費を抑えることで地球の温暖化防止に貢献しています。

<2.環境関連事業>

 工場施設の防音工事、煙突ライニング工事、コンクリート補修補強工事、ごみ焼却場の設備工事などです。クリーンかつ安全な環境を実現します。

<3.海外事業>

 世界の産油諸国、資源保有国の石油精製設備、LNG(液化天然ガス)製造・貯蔵設備における豊富な工事実績を誇っています。

 まず、本日の研究銘柄として明星工業を選んだ理由を説明します。


1.明星工業は、2015年2月から単元株を1000株から100株に変更し、2015年2月19日に優待を新設しました。そのとき株価が大きく上げましたが、その後の明星工業の株価は下げ続け、PERが10倍以下となり、配当優待利回りは4.46%と、4%を大きく超えてきていること。

明星工業の1年間の株価のチャートです。
http://www.nikkei.com/markets/company/chart/chart.aspx?scode=1976&ba=1&type=year

 年初来の高値は2015年2月2日の750円です。株価は1年かけて大きく下げてきました。

 2016年1月16日につけた年初来の安値416円が大底になるのかどうかはまだわかりませんが、少しリバウンドして1月29日の終値は448円です。

 明星工業の2016年3月期の一株利益の予想は50.80円です。第2四半期決算短信発表と同時に上方修正されました。

 年間配当予想額は10円(3月5円、9月5円)です。

一株純資産は686.72円です。

〇明星工業の優待の内容です。

100株以上で1000円のJCBギフトカード
1000株以上で2000円のJCBギフトカード

 この原稿を書いている1月29日の終値で計算した、100株投資した時の明星工業の配当優待利回りは4.46%と、とても高配当優待利回りとなっています。

 明星工業の財務情報のページ
http://www.meisei-kogyo.co.jp/ir/finance/index.html


2.明星工業の業績は、2016年3月期は前期比で減益予想となっていますが、将来に向けて良くなっていくことが期待できること。

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