市場概況
4月からの株式市場は為替の動きに対して逆相関に動くことが増えました。
為替介入を誘うほど円安傾向が強まったためか、日本株の主な売買主体である外人投資家が6月の日銀の動向を注視し、中旬の政策決定会合にて利上げが実施されると言った前提でポジションを動かしているのではないかとみています。
3月までの急騰もあり、日経平均への影響度合いが高い値嵩の半導体銘柄とバリュー株の買いが交錯するなどで指数全体にトレンドが出辛い環境かも知れませんし、JTC(ジャパニーズトラディショナルカンパニー)の保守的な業績予想により投資家が追加投資に二の足を踏んでいるとも感じます。
想定外の円安のお陰で前期が大幅な増益となったのに、強気の成長戦略を出せないままの減益予想が目立ちました。円安頼みとなっている輸出企業の弱体化が気になります。
また、役員保身のために溜め込んだ余剰資金の一部で(気休め的)自社株買いをする程度では株高は続きません。
値上がりしている株の特徴は、注目が続く半導体関連や資源高の恩恵を受けるエネルギー株などに加え、日立やソニーのようにIRで将来戦略を分かり易く開示したり、積極的な株主還元策を出している企業です。
やたらと保守的な業績予想を出すJTC企業は別としても、今期を増収増益と発表しつつも成長戦略が明確ではなく、且つ還元策も控えめな企業は一時的に買われても売りが優勢になるようです。
レガシー企業に限らずグロース市場も見劣りがします。
せいぜい時価総額100億円辺りで足踏みをしている企業がとても多いです。中には上場ゴールと言われても致し方ない企業が多く、時価総額が小さく上場企業数ばかりが増える市場では博打的に上下動する銘柄が目立つ一方、中長期の投資家の興味を得ることが難しいのでしょう。
いずれにしても、意識の薄い経営陣が追い出され易くしたり、TOBをし易いマーケットにするなどの運営がされなければ漫然と上場している企業が増えるだけで、市場の活性化にはつながりません。
先月までの決算発表は想定通りの保守的予想が多く出ましたが、株主還元は以前よりは前向きになりましたし、アクティビストに賛同する投資家も増えました。総会を過ぎるとTOBなどの発表が増える時期に入りますから、ちょっとしたニュースの変化にも注意しておきたいところです。
(街のコンサルタント)
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