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本気の政治を

 初めに、5月に伊勢崎市でのトラック運転手が飲酒運転で事故を起こした件です。
 証拠不十分により危険運転致死傷罪では無く、過失運転致死傷罪で起訴されたとの報道がありましたが、遺族の怒りは当たり前どころか、筆者は危険運転致傷罪でさえ軽いと考えています。
 以前のメルマガでも書きましたが、飲酒運転自体が殺人未遂行為、それで事故を起こして死者が出たら殺人罪で良いと思います。危険運転や過失運転などの区分では無く、飲酒運転自体が意図的であり非常に危険な行為なのですから、飲酒して運転したら殺人未遂行為との前提で厳罰に処さねば何時まで経っても飲酒による事故は無くなりません。

 何故、このような甘い法律しか作れないのか?何処かのゴミ議員が飲食や酒造業界から献金を受けているなどは有り得ないでしょうが、経済犯罪は勿論のこと、重犯罪に対する罰則が緩いため何時まで経っても被害者が減りません。

 売名行為(お祭り気分)で総裁選に出ている場合では無く、まずはやるべき立法府の仕事をしてもらいたいと、やたらと腹が立ちました。


 さて、先日記事になった財務省の2023年版法人企業統計調査を元に朝日新聞が分析した数値がありました。人件費が占める割合を労働分配率として算出した結果は、金融、保険業を除く全産業ベースで52.5%とありました。
 低めではあるものの国際比較でもそれ程悪くはない数値ですが、企業の規模別でみると資本金10億円以上の大企業は前年度より2%ダウンの34.7%となっており、利益水準の割に分配率が大きく下がっていることが見て取れます。一方の中小企業は前年度と変わらずの66.2%となっていました。
 ※以前にも書きましたが、一般社員への労働分配率が低い割にここ数年、大手企業の役員報酬は大幅に上がっています。

 今年春の賃上げでは全体で約5%の賃上げになったと囃されましたが、5%の賃上げと言うと日本では随分と上がったように見えますが、実際の数値を個別に見ると分配率が下がっているとともに企業利益が大きく増えていることが分かります。

 以前から指摘している事ですが、日本では物価上昇が悪いのでは無く、賃金(労働分配率)が低いことが問題であることが分かります。幾ら物価が上がっても、それ以上に収入が増えれば国民の生活は潤います。

 1980年代末のバブル崩壊以降にデフレとコスト圧縮が続いたことで企業も従業員も給料が上がらないことに慣れてしまった結果では無いでしょうか。この30年間で労働組合の組織率も大きく損なわれています。

 政府がすべきことは、経済界に対して所得増加を(飴を差し出して)お願いすることではなく、労働組合の組成を後押ししたり、規制緩和を通して労働力の流動化を促す政策を進めるなどで、継続的に最低賃金が上がる仕組みを作ることです。
 財界や後援組織から献金を受ける与党政治家は彼らの意向を忖度して賃上げへの本質的な努力をせず、口先だけの賃金増を謳ってきました。
 ここでも企業・団体献金が諸悪の根源であることが分かります。

 仕舞には円安悪玉論まで出てきた始末です。円安が続き輸入物価が上がり続けるようではいけませんが、一方で円安と値上げにより企業業績が押し上げられ税収も大きく増えました。コストプッシュ型のインフレは生活コストの押し上げに繋がりますが、物価高に対しては一律のバラマキを狙う旧来型手法を避け、税収増分を生活が厳しい世帯に公平に分配するなどの手立てが必要となります。

 経済の好循環を維持するためには多少のインフレは止むを得ませんが、それらへの的確な対処を(議員バッチ維持の為に)蔑ろにしてきたことに問題がある訳です。
 「物価が上がって大変だ!」と騒ぎたてる、本質を避けて国民の目を逸らすだけの無責任な報道にも注意せねばなりません。

 前回も書きましたが、経営者の企業統治にかかる意識変化、インフレに伴う業績回復などを加味すれば日本の株式市場は正常化してきたと考えています。昨年からは投資家目線の株主還元策も増えています。
 同時に、優秀な企業ほど社員の待遇改善など株主以外の重要なステークホルダーへの目配りを怠らない姿勢も見えてきています。労働者報酬を上げる努力をしなければ生産性も向上しません。


 先月の暴落を経て投資環境にも変化が出てきており、単に指数ばかりが押し上げられる状況から物色の広がりも感じます。足元では海外の投機資金が為替や株価指数を乱暴に動かす状況が目立ちますが、金利変動など目先の材料が減ってくれば、いずれは落ち着いてきます。

 株式投資では変動がつきものです。
 狙っていた銘柄が下がったと判断すれば徐々に買い増していけば良いし、特に積み立て投資なら短期的な変動など気にせず、粛々と積み立てて将来を楽しみに待つと言った姿勢が大事です。


(街のコンサルタント)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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