株価急騰後の展望
このところの株式市場ではこれまで主役を務めてきた主力半導体関連銘柄が一服し、代わりに出遅れ気味だった様々な銘柄に物色の機運が高まってきました。
世界的なスポーツ用品事業を展開するヨネックス(7906)も最近かなり人気化してきました。3月安値1062円から直近高値1837円ですから3か月で72%の上昇率となりました。6月7日現在の時価1791円はPER16.7倍。
バドミントン用品では世界トップでテニス、ゴルフでも有力な企業で、中国やインド、欧米などグローバルな市場でビジネス展開をしながら成長を目指しています。
前3月期決算発表後の株価は過去最高値を更新中で、上昇途上。
今年はパリオリンピック開催ということでオリンピックイヤーであることも株価を後押ししています。スポーツ用品ではミズノ(8022)、アシックス(7936)も上昇トレンドを継続。世界ではナイキが有名ですが、日本企業もブランド力を高めているのが現状です。
さて、そのヨネックスですが、決算発表内容にサプライズがあったためか発表後にストップ高を演じていました。5月10日の終値は1221円でしたが、翌13日は1521円でストップ高となり、窓を開けての急騰でした。
時価総額が1000億円以上の銘柄のストップ高なので目につきました。
そのストップ高の翌日に高値1638円までついたのですが、其の2日後に安値1426円まで売られました。その後も1600円台の高値を意識したのか1500円台での推移が続きましたが、5月30日から再び急騰を開始。一気に1638円の高値を抜け、6月6日現在では高値1837円までついてきたという経緯が見られます。
このようにストップ高を交えて株価急騰劇を演じた後の株価に力強さを感じることができれば一旦売却した投資家も戻ってきたりもします。そこに業績への評価が加わり、長期投資家の買いも重なると大相場に発展することになります。現在のヨネックスはそうしたパターンに入りつつあります。
先般、億の近道でも取り上げたすららネット(3998)についても見ておきたいと思います。
同社株の場合は2020年10月の高値9350円から本年2月安値391円まで長期下落トレンドを辿ってきました。391円の安値をつけた2月から5月にかけても株価は低迷状態となり、およそ4か月間は400円前後での推移を続けてきましたが、5月28日の11時にサイト上に告知された大手専門学校グループへのすららの導入がきっかけとなり、後場ストップ高となり、終値は前日の397円から80円高い477円で終わりました。その日は買いを残して終えましたので2日目もまた株価は上昇し一時2日目のストップ高(557円)を演じましたが、終値は506円となりました。途中は激しい株価変動となり、結局は発行済み株式数669万株を上回る696万株もできてしまいました。いかに短期的な視点で参加した投資家が多かったのかがこの出来高からはわかります。売ったり買ったりの投資家は短期と割り切っての売買を行いますので、こうした株価変動となってしまうことになります。
3日目の展開は更に凄まじいもので、反落するかに見られた株価は一気に572円の高値まで再び急騰を演じてしまいましたが終値は470円となり、出来高も前日の696万株から385万株へと半減。人気化した銘柄の出来高がピークから2日目、3日目、4日目と半減していくという出来高半減の法則が働き、5月31日の株価は多少戻しましたが出来高は117万株へと減少。
6月に入ると一段と出来高は細ってきましたが、時折上値に挑戦するという展開で下値模索。6月7日現在で440円台への調整場面を迎えています。
さて、3年寝太郎銘柄である同社株の急騰後の展開はヨネックスと違い、好業績だという面に乏しく、やや特殊な動きです。ただ、長期低迷から目覚めたばかりなので、これで株価の変動が終わったとは言い切れず、時折また上振れも想定されます。
6月7日の出来高は17万5100株。安値440円まで売られ終値は443円。テクニカル上の下値目途としては短期移動平均線425円(6月7日現在)となりますが、日々2.4円程度この平均線は上昇していますので来の前半には下値目途水準に達するかと想定されます。
3年4か月間の調整から再び訪れた短期急騰後の調整局面を脱して新たな展開を図るためにはこれまでやや停滞気味だった同社の業績好転などが伝えられる必要があります。そのタイミングは8月上旬の2Q決算の発表となります。
1Qは補助金がない中で想定以上の結果が残せたとしていますので、通期業績見通し達成に向けた実績が2Qでも示せれば株価にもまたインパクトが期待されます。
社会課題解決型企業である価値ある同社だけに現状の興味深い株価変動、調整傾向に入った展開に引き続き関心をお寄せ頂きたいと思います。
(炎)
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