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有料メルマガライブラリから(542)「安定的なインのキャッシュフローを確保する方法論」

 有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の過去配信ライブラリ「銘柄研究」「コラム」のうち、コラムの一部を掲載いたします。
 自立した投資家、石川臨太郎のコンテンツをお楽しみ下さい。
 なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。


==コラム「安定的なインのキャッシュフローを確保する方法論」==
  (有料メルマガ第17回・2009/4/21配信号)

※2009年4月現在の内容です。留意してお読み下さい。


【前略】


 私は世界的な資産価値の下落にあっても生き延びて、将来も安泰で暮らしていくために、株式投資については3つのカテゴリーに分けて投資手法を変えて投資を継続しています。

(A)将来の資産の大きな成長のための高技術の資産リッチ企業
(B)配当利回りや配当優待利回りの高い企業
(C)過去の投資で投資元本を回収してしまい、定性的に考えて割安すぎると思える企業。
この3つの大きなカテゴリーに分けてポートフォリオを作っています。

 生涯パートナー銘柄の研究銘柄で取り上げていくのは(A)と(B)の対象となりうる企業から選ぼうと考えています。しかし(A)と(B)の企業に対する投資アプローチのやり方は、かなり違っています。

(B)の企業群はいま現在の生活費を確保することも目的としているので、株価が下がったり、動かなければ持ち続けるスタンスです。資産背景的に見て充分割安なところまで株価が下がっているので、そこから更に株価が下がっても、資産背景を自分が投資し続ける気力の支えと考えて、じっと我慢をするわけです。景気にはサイクルがあり、景気がいずれ回復するなら、株価も戻るであろう。そんな気長なスタンスです。

 しかし、なんらかの株価上昇の触媒(=カタリスト)が発生し、株価上昇により配当や優待の1年分~3年分のキャピタル・ゲインを得られる状況となったときは、売却してインカム・ゲインではなくキャピタル・ゲインで利益を確定することも行ないます。

 基本的には(B)の企業は1~3単位程度しか所有しない分散投資対象(→特に優待銘柄は優待単位だけ持つのが、一番有利なので、自然にそうなります)なので、私の投資行動によって市場の株価に影響を与えて、他の投資家のご迷惑をかけることは、まずありません。

(A)の企業群は世界的に活躍している企業が多く、為替の影響や世界経済の急激な悪化でトヨタに代表されるように前期は大幅な減益や赤字に追い込まれた企業が多いです。業績が悪化したために株価も急落し、過去の利益を蓄えたバランスシート上の現・預金や投資有価証券、土地のような、いざという時に処分しやすい資産残高から見て、いくらなんでも売られすぎと強く感じられるところまで、株価が暴落している企業が多いです。

 よく「半値八掛けニ割引」といいますが「半値八掛けニ割引から更に五割引き」になって前期や、前々期の高値の10%~20%の株価になったものも多いです。

 不動産流動化銘柄のように借金に依存した成長戦略をとり、サブプライム問題の影響で所有している不動産の価値が暴落し、借入の期限が来て資金繰り倒産の危険が高くなっているような企業の株価が下がるのは納得できます。

 しかし資産背景が豊富で、手持ち金融資産からすべての負債を引いた金額より時価総額のほうが小さくなるという正味金融資産割れの黒字企業も出てきました。技術力があり、過去の儲けが膨大で、自己資本比率が80%を超えるような企業の株が暴落しています。

 そのような高技術を持ち、財務内容も抜群に良いのに、急激な経済縮小により業績を落とした企業は、一昨年の2007年前半までは株価の高い高嶺の花の企業群でした。そのような企業は、経済環境が上向けば、業績を回復させ大きな成長を確保できる可能性が高いです。すでに過去の研究銘柄の中にも大底からは倍になった企業もでてきています。

 ただ、このような企業は投資家の思惑で売買されることが多いので、かなり株価の上下動が激しいです。そこで数単位保有して上がったときに少しずつ利食いをして、下がったら買い戻し、段階的に1単位以上コストゼロの株を作って、コストゼロの株をカテゴリー(C)に移して、コストゼロになった分は永久保有にしてしまう。こんな作戦も取っています。

 ただしコストゼロになっても、急激に株価が高騰して、数ヶ月で買い値の2倍近くになったとき、かつ現在のように投資環境が不安定な場合は、いったん手放して様子を見ることもでてきます。信用売りの踏み上げによる買戻しなど、特殊要因で上昇した場合は、直ぐに反落してしまう可能性も高いからです。もし反落したら、また再度買いなおします。

 私がポートフォリオに永久保有として持っている銘柄は住友金属鉱山などです。株価が3000円以上になっても売らないで、サブプライム問題から500円近くに暴落しても売りませんでした。アニュアルレポートに開示されている、所有鉱山のニッケル、銅、金などの埋蔵量に金属の時価をかけて計算すると時価総額の10倍の価値は楽にあると信じているからです。

 そんな住友金属鉱山のような株もありますが、1200円近くまでさがった時に買ったイビデンは2200円近くまで戻した時に、更に上がると考えながら一旦すべて売り切りました。イビデンには住友金属鉱山のように自分が納得できる圧倒的に割安であるという投資根拠を見つけることが出来なかったからです。(→結果論ですが予想通りイビデンの株価は売って直ぐに2500円まで行きましたが、手放した資金で急に暴落していたより割安な銘柄にシフトして、より短期に大きな利益を得ることが出来ました。明白に住友金属鉱山より割安だと、自分が信じられる企業が出てきたときは住友金属鉱山さえ手放すことがあるかもしれません)

 生涯パートナー銘柄という考え方は、「永久保有」または「常にウォッチして、他の銘柄群より相対的に考えて、割安になったら投資して、割高になったら一旦手放して(=売り)、また株価が下がって割安になったら買い戻す。そのようにして一生涯売り買いしながら付き合っていく企業」も含んだ概念だと考えていただきたいと思います。

 しかし市場の投資家の総意によっては、事前には予想もつかない出来事で株価が乱高下する場合も出てきます。

 例えば日立工機を(B)のカテゴリーとして買って、配当をいただいた後に、キャピタル・ゲインもゲットして、より高い優待利回り株にシフトする。自分の売却後直ぐに80円ほど下がっていた株価が、親会社の日立が子会社化を目指して1300円でTOBを行なうと発表することにより、数日間ストップ高を続けて742円から1042円まで暴騰する。

 しかし日立のTOBをする株数がTOBに応募可能な株数の約5分の一しかないことに気がついた投資家の売りで900円以下に下がる。

 5単位持てば確実に1単位は買い取ってもらえて最低でも4万円は儲かる。(→ただしTOB外れの株、5単位のうち最大4位がガッカリ暴落のリスクがあります。

 そこで私は自分なりに資産価値などを計算し、専門家がTOBの買い値を決めるためにDCF法で算定した株価も参考にして、自分が納得できる企業価値を確認する。さらにTOBに応募する株数を想定し、最悪でも1単位はTOBで買い取られ、予想以上に応募が少なければ3単位買い取ってもらえ12万円以上利益が上がる。

 またTOB応募期限までの間には、TOBに応募する小口株主や、やはりTOBに応募する機関投資家など大口投資家がTOB準備のために市場で売ることをやめ、また貸し株を回収するので、市場での株価も上向く。このようにメインシナリオを考えました。もしも、TOB価格の1300円に市場の株価が近づいていったなら、TOB応募を取りやめて、市場で全株売却し利益を確定する。

 市場で株価が上がらなければTOBで落選した株はカテゴリー(B)の株として持ち続けよう。TOBで儲けた利益を買いコストから減らせば、充分割安な価格で買ったものとして精神的負担なく持ち続けられる。

 このようなシナリオをいくつか作成した上で、日立工機の株を買い戻しました。問題は日立工機を買い戻す原資を作るために売ったいくつかの銘柄のうち、一部手放した、カテゴリー(A)に区分している堀場製作所の株価が、売ってから1週間もたたないうちに、たった4円の期末配当の増配を発表を受けストップ高し、売り値より300円近く暴騰してしまったことにありました。

 このような自分が予測できない出来事により、売却した株の株価が暴騰しても、自分の日立工機TOB応募作戦のシナリオに影響するわけではないので、精神的にダメージを受けて、家族に当り散らして生活環境を悪化させるようなことは、なくなりました。

 日立工機を手放したあとTOB発表暴騰が起こったときも、TOBの発表があるなど、誰にも分からない。自分が決めているルールに従って、より高いインカム・ゲインを得るために行なった投資行動に誤りはなかった。こう考えて、気に病むことはありませんでした。ただし「日立工機を手放した時、全部売らないで1単位でも残しておいた方が、棚から牡丹餅のTOB発表暴騰で稼げたかな」と考えていたので、堀場製作所の株は全株手放さず1単位は残していました。

 そのために「日立工機のTOB発表のときの教訓のおかげで、少しでも利益を確保することが出来たな」と、むしろ自分を誉めてしまったくらいです。

 自分が決めたルールに基づいて、ルール通りの投資行動を行なったときに、アクシデントともいうべき、事前に予想できない特殊要因で株価が動き、儲けそこなったり、損をしたりしても、投資ルールが間違っていると全面的にルールを変えたりしない。

 勘に頼ってルールを恣意的に守ったり、守らなかったりしたら、ルールが意味を成さなくなる。特にリスク管理のためのルールは絶対に厳守する。

 余り重要ではないルール部分(=上の事例でいうならば「全株売却ではなく1単位だけ残す」という部分)については少しは弾力性のある恣意的な遊びは認める。

 自分の投資ルールのうち、絶対に守らなければならないルールはどれなのか。そのルールを作った理由を、しっかりと自分で理解していたなら、大きな損失を被ることはなくなると考えています。


【後略】


経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎


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