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#68 HOYA(7741) 2020/07/14


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       山本潤監修「グロース銘柄発掘隊」 第68号

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 山本潤氏率いる「株の学校」で、山本氏をはじめとする講師陣の薫陶を受けた精鋭アナリスト達が、成長株を発掘し、その内容を詳細にレポートします。

 毎週火曜日配信、1回に1銘柄の深掘りレポートです。


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               【目次】


■はじめに
■HOYA(7741) 客員アナリスト 影沢おはぎ
■モデルポートフォリオ 7月7日更新


※本メルマガの一部内容を、億の近道へ抜粋の上掲載することがございますので、あらかじめご了承下さい。


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■はじめに


 NPO法人イノベーターズ・フォーラムのご協力により、客員アナリスト
たちのレポートの有料メルマガを提供しております。

 グロース銘柄発掘隊の隊長は東京2期生です。
 彼の指揮下、隊員たちは、週に一本のフルレポートをディープに発表します。
 どれも個性あふれるレポートです。

 投資家のみなさまにおかれましては、ぜひ、グロース銘柄発掘隊の客員アナリストたちへのご支援をよろしくお願い申し上げます。

(山本潤)


【発掘隊より】

 グロース銘柄発掘隊は、5年から10年以上の長期投資に耐えると思われる銘柄を発掘し、調査分析するものです。配信した銘柄は短期的に株価調整する場合もありますが、対象企業の前提条件が変化しない限り、問題ないと考えます。
 配信した銘柄は定期的にチェックしております。もし、前提条件が変わったりビジネス環境が大幅に変化した場合には、あらためてフォローコメントを配信致します。


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■HOYA(7741)

 「小さな池の大きな魚を目指す」

 同社の取材や調査を続けていく中で何度もこのフレーズを目にしました。
 2015年6月に亡くなった前鈴木哲夫会長が「選択と集中」の重要性を説いた事業戦略の中で話されていたそうです。
 現在もその理念は受け継がれ、まるで企業のDNAのように戦略的に事業展開を続けています。

 日本を代表する企業でありながら収益性の高い「小さな池」を探し、成長し続ける企業HOYA。

 同社の成長可能性について探りたいと思います。

【会社概要】

 ◆経営者と沿革


 HOYAは1941年、東京・保谷町で先見の明をもつ山中正一、茂兄弟により創立されました。
 双眼鏡などに向けた軍需用の光学レンズを生産しますが、光学レンズは日本の敗戦により受注が大きく減少します。
 このことをうけ、1945年クリスタルガラス食器製造を開始します。

 1957年山中茂社長が病で倒れ長女の娘婿の鈴木哲夫氏(前会長)が社長に就任します。
 1961年に東証2部に上場し、翌年1962年にメガネ用のレンズ製造をスタートさせます。
 哲夫氏は業績の悪化を受けて1967年に社長の座を退きますが、1969年に再び社長となります。
 1973年に東証1部へ指定替えをし、以降2000年まで長期間に渡り、HOYAの成長を支えます。


 ここから同社は十数年で既存事業から派生した様々な事業を展開します。

 1974年長半導体用マスクブランクス
 1983年半導体用フォトマスク
 1985年液晶用大型フォトマスク
 1987年白内障用眼内レンズ
 1991年HDD用ガラスディスクサブストレート
 と現在の事業の礎となる事業がこの期間にスタートしています。
 ここからの長期に渡る各業界での知見の蓄積は同社にとって高い優位性となり、現在の立ち位置を確固たるものとしています。

 1995年社外取締役制度を導入
 1997年カンパニー制を導入、地域本社を米国、オランダに加えシンガポールに設立し、事業分野別・地域別マトリックス経営体制を構築。
 1997年グループ初のISO14001を取得。

 などグローバル化やコーポレートガバナンスなども先進的に取り入れています。

 2000年より現職の鈴木洋氏がCEOに就任します。
 2009年クリスタル事業終了、2010年ハードディスク用ガラスメディア製造事業を譲渡します。

 このように収益性と資本効率が低い事業を最適化しながら現在の事業形態となっています。
 2011年PENTAXのイメージング・システム事業譲渡などもその例です。

 2008年にはペンタックス株式会社と合併し内視鏡等の医療分野に進出します。
 これは過去の事業からの派生ではない全く新しい事業となり、今後の同社のポートフォリオ経営の転換点となっています。
 以降はM&Aによる事業展開、拡大を活発化させています。

 ここで注目して頂きたいのがこの転換点以降の新規事業の多様性になります。

 2012年金属製整形外科用インプラントの国内メーカー、日本ユニテックを買収。
 2013年セイコーエプソンのメガネレンズ開発製造事業を譲り受ける。
 2013年自動内視鏡洗浄装置Wassenburg社の過半数株式を取得。
 2015年スイスのメガネレンズメーカー、Knecht&Muller AGを買収。
 2016年3Mの度付き保護メガネ事業、低侵襲治療用手術器具メーカーのC2 Therapeutics, Inc.を買収。
 2017年PENTAX Medical、中国Aohuaと医療用軟性内視鏡事業の合弁会社設立。
 クラウド型音声読み上げサービスのリーディング企業であるReadSpeaker社を買収。
 HOYA Surgical Opticsが白内障用眼内レンズ生産拠点をタイに新設。
 2017年米国メガネレンズメーカーPerformance Opticsおよびその子会社VISION EASE、大明光学を買収。
 2018年HOYA Surgical Opticsが白内障用眼内レンズのR&Dセンターを
 シンガポールに開設。
 2019年眼科医療機器メーカー、Mid Labs社(米国本社)およびFritz Ruck社(ドイツ)を買収。

 今後の収益の柱になる可能性がある箇所に適宜資本を投下しながら収益性の高い事業を残すという同社の経営方針は変わりませんが、2008年のペンタックス株式会社の買収以降、医療分野を成長エリアと捉え事業を拡大しています。

 現鈴木洋CEOも同社の強みはポートフォリオ経営だと強くおっしゃっていました。
 この企業の強みは効率的で原則的な企業経営そのものです。
 指名委員会を社外取締役のみで構成しているので鈴木CEOに取締役候補者の選任権はありません。
 CEOの後継者に関しては候補者のリストが指名委員会に提示され、同委員会で選任され株主総会に付議されます。
 社外取締役の監督とCEOを始めとする執行役による事業運営を明確に分けているのも、株主に安心して株を持ってもらえる、会社の所有者は株主であるという原則に基づくものです。

 先見性と長期的視点を持ち、会社を俯瞰することができる稀有なCEOだと強く感じます

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