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#25 丸井グループ(8252) 2019/09/10

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       山本潤監修「グロース銘柄発掘隊」 第25号

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 山本潤氏率いる「株の学校」で、山本氏をはじめとする講師陣の薫陶を受けた精鋭アナリスト達が、成長株を発掘し、その内容を詳細にレポートします。

 毎週火曜日配信、1回に1銘柄の深掘りレポートです。


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               【目次】


   ■はじめに
   ■丸井グループ(8252) 客員アナリスト 影沢おはぎ


※本メルマガの一部内容を、億の近道へ抜粋の上掲載することがございますので、あらかじめご了承下さい。


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■はじめに


 NPO法人イノベーターズ・フォーラムのご協力により、客員アナリスト
たちのレポートの有料メルマガがスタートしました。

 グロース銘柄発掘隊の隊長は東京2期生です。
 彼の指揮下、隊員たちは、週に一本のフルレポートをディープに発表します。
 どれも個性あふれるレポートです。

 投資家のみなさまにおかれましては、ぜひ、グロース銘柄発掘隊の客員アナリストたちへのご支援をよろしくお願い申し上げます。

(山本潤)


【発掘隊より】

 グロース銘柄発掘隊は、5年から10年以上の長期投資に耐えると思われる銘柄を発掘し、調査分析するものです。配信した銘柄は短期的に株価調整する場合もありますが、対象企業の前提条件が変化しない限り、問題ないと考えます。
 配信した銘柄は定期的にチェックしております。もし、前提条件が変わったりビジネス環境が大幅に変化した場合には、あらためてフォローコメントを配信致します。


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■丸井グループ(8252)


=変革した企業が追い求める共創サステナビリティ経営とは=

 サステナビリティとは持続可能性という意味です。その考え方の根幹には
「あらゆる人を排除することなく、すべての人が質の高い生活や健康、繁栄を享受する」という目標があります。
 その持続可能な経営を目指す中で丸井グループが注目しているのが「インクルージョン(包摂)」という考え方です。インクルージョンには、これまで見過ごされてきたものを包含する・取り込むという意味があります。
 すべてのステークホルダーとの共創による、持続可能な経営、それが共創サステナビリティ経営です。

 この未来を見据えた経営戦略の為に丸井グループは大きな変革を遂げました。
 その過程と今後の持続可能性について考察したいと思います。

【会社概要】


 丸井グループは「小売セグメント」、「フィンテックセグメント」に属する子会社を傘下に持つ持株会社です。


 ◆小売セグメント

  マルイ、モディ2つのストアブランドでの商業施設を運営しています。
  現在の店舗数は首都圏を中心に25店舗。
  取扱う商品、そして独自のデザイナーブランドは若年層に支持され、業績を拡大してきました。
  しかしデフレ環境下になり、世帯の消費マインドは冷え込み、消費の方向性は大きく変化していきます。

  まず、全年齢の総世帯全体の1999年から2014年までの1か月当たりの消費支出は1999年の292,628円から2014年の254,402円と13%減少しています。

  次に洋服への1か月当たりの平均支出額です。
  単身30歳未満の男性は1999年の5,338円から2014年の2,201円へと59%の減少傾向です。単身30歳未満女性は1999年の9,345円から2014年の5,081円へ46%減少しています。
  総務省「全国消費実態調査」より

  消費の方向性や購買チャネルは多様化し、小売事業は苦戦を余儀なくされます。ここで丸井グループは小売のビジネスモデルを百貨店型からSC・定借型へと大きく転換します。

  百貨店型は消化仕入れ契約と呼ばれるもので、売上げた時点で百貨店が仕入れたとみなし、仕入れ代金をメーカーに支払います。自社ブランドのショップはさることながらフロア担当等にも人員が必要です。

  一方でSC・定借型とは、一定の金額で期間を区切りテナントと結ぶ賃貸契約になります。間接業務をおこなうフロア担当が削減でき、売り上げに左右されない安定した収益が見込めます。

  丸井グループサイドでの人員負担は減少し、小売セグメントの営業利益率は1999年1月期2.7%から2019年3月期8.7%へと大きく改善しました。
  このSC・定借化は2019年3月期に予定区画は完了し、今後は施設価値の向上によるバリューアップ、定借面積の増加(2019年3月期末6.6万坪定借面積に追加で5千坪の増加予定)による成長のフェーズに入ります。


 ◆フィンテックセグメント

  1931年2月創業者の青井忠治氏が「丸二商会」からのれん分けを受けて独立、中野区に開店し、丸井グループの歴史はスタートします。
  家具の月賦販売を中心に事業を拡大し、1960年に日本で初めてクレジットという名を使ったカードを発行します。
  1975年には赤いカードが発行されます。
  この赤いカードは若年層にも発行されるという独自の取り組み、その若年層が購入するアパレルの成功の相乗効果でシェア掴み、発行数を大きく拡大します。
  2006年には、これまでのハウスカードから、汎用カードである「エポスカード」に進化させ、収益構造をキャッシングからショッピングクレジットへと転換しました。
  丸井グループは創業期から小売と金融を一体とした事業を継続してきました。このことは大きな強みであり、与信判断などにおいてその力が発揮されています。
  また当初のカード事業から、2017年にセグメントを金融と技術を掛け合わせた「フィンテック」と再定義し、2018年に証券事業に参入するなど新たな取り組みもスタートしました。
  この証券事業もインクルージョンの理念の下、富裕層だけではなく、若年層など全ての層に金融サービスを提供する事業になっています。


 ◆利益構成

  小売セグメント     114億円(25%)
  フィンテックセグメント 350億円(75%)
  ※“消去又は全社”を除く

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