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相川伸夫の新規ピックアップ銘柄 信和(3447)

■相川伸夫ピックアップ銘柄フォロー(動きのあったもののみ掲載)
 ※2021年12月17日(金)執筆時点

・ギガプライズ(3830)21年5月24日配信
 株価1391円⇒1044円(-25%)

 大変お安くなりました!
 この銘柄がバリュエーションにおいて評価が低いのはいまだに名証単独上場銘柄だというポイントですね。その分、会社の動きいかんによっては面白いのではないか?と思って私は先んじて取り上げさせていただいております。

 ピックアップ記事で書かせて頂いたときの記事はこちら↓
https://ch.nicovideo.jp/okuchika/blomaga/ar2024238

 ギガプライズは今期2Qで全戸型マンションISP供給戸数82.1万戸となり、ついにこの業界で暫定1位になりました!おめでとうございます!
 12/16に新規上場してきたブロードエンタープライズをご存じでしょうか?
 こちらはギガプラの競合であり、当然ビジネスモデルもほとんど同じです。
 資料はこちらの方が華々しい作り込みで訴求力の高さは感じますw
 ブロードエンタープライズの公募価格でのPERは19.25倍で評価されました。
 これくらいの「評価が適正」という算定ということですね。
 いっぽう業界一位であり、安定して導入戸数を毎年15万戸ほど伸ばし続けることを実績で示せているギガプライズは市場ディスカウントも含め様々な要因で新規に出てきたブロードエンタープライズの半分程度の価値と市場評価されていることになるわけですね。

 <どうしてこんなに市場評価が低いのだろうか?また、なぜこんなにもIRの説明資料等は頑張っていてIR意識は決して低くないのに名証単独で居たり、資本も特に使っていないのであれば増配もできるのにしないのはなぜだろう?>

 こうした疑問を元に色々とあの後取材や調査を続けたことで見えてきたことがいくつかあります。
 これはあくまで推測の域を出ませんが、親会社フリービットがギガプライズの経営阻害を招いているのではないか???という疑念を感じています。あくまでこれは個人的な妄想であると強く断っておきます。

 通常であれば親会社としてはギガプライズには株価の面でも成長してもらう方が良いと考えるのですが、フリービット側はそういうのを求めていないのでは無いか?と思える節を感じるのです。取締役の数にしても議決権にしてもギガプライズ側は過半を親会社のフリービットに握られているので本業の経営以外の株価に関係してくる部分、特に
・名証⇒東証
・配当性向アップ
等のアクションがギガプライズの佐藤代表が考えている絵のように動かせていないのではないか?とついつい邪推してしまうわけですw

 そういう邪推をしている中でギガプライズにも動きが出て12/14に5億円を上限にした自社株買いを発表しています。
 33万株を上限に買うという内容になっており、
・5億円÷33万株=1515円/株
という結果になるので今の株価からすると1.5倍までの株価までは買う計算になる訳ですね。
 この動きは素直に好感してよいと考えています。
 本来こうしたストック性の高いビジネス。季節変動要因を受けない事業の市場評価は高くなるのが常なのですが、現在は配当性向も低く流動性も低いこともあって機関投資家も入ってきにくい状況になっています
 株価意識をこうして確認できたのはポジティブであり、セーフィーの上場でもクラウドカメラへの関心が投資家層でも高まっています。
 前々からこうしたカメラ需要はギガプラでも捉えており、現在クラウドカメラに力を入れていると聞いています。

 全戸型マンションISPでシェアTOPの同社には通信を押さえているのでクラウドカメラもIoT関連でのセキュリティとの親和性も高いです。ぜひともここに経営リソースを入れてもらい、成長していくのを見たいですね!
 私の疑念が疑念であればよいのですが、親子上場故に少数株主軽視ともいえるものがもしあるならばこれは大変大きな懸念になってしまいますから。

 今後の動向を見ていきたいですね!


※ピックアップ銘柄は買い推奨ではありません。
 私の目で面白い、アツイ要素がある!という理由で記事を執筆した企業の経過観察です。
 銘柄には大化け狙いと堅実成長狙いの銘柄が混じっており、銘柄数もかなり増えたので全てを列挙することはやめることにしました。

■新規ピックアップ銘柄 信和(3447)


 前々回での配信時に簡単にではありますが小話として掲載させて頂きました。
http://okuchika.net/?eid=10165

 あの時以降から周辺調査と信和様にも取材を重ねた結果、さらにアツくなってきましたので今回の執筆をさせて頂く事を決めました!


●記事構成

1.注目理由
2.何してる会社?
3.のれんのリスク
4.信和が面白い3つの理由
5.保守的な信和が意欲的な中計を発表
6.まとめ

※記載内容は説明会+会社取材+競合各社の動向や市場調査に基づく筆者の個人的な主観と推測に基づく内容です。投資判断は元より内容に関しても自己責任で判断頂くようお願いします。


1.注目理由

 決して年20%とかそういう大きなグロースするような銘柄ではないものの【増収・増益・増配】を見込めそうな企業が特益でも特需でもなく本業の配当性向40%で配当利回り5%でほかられていたら安いと感じませんか?
 私にはとても安いと思えたので色々と調べました。

 その結果ただ安いだけの会社ではなく、今後の市場環境やIR活動レベルの向上、並びにリスクの減少を確認でき、『アツい銘柄だ!!』と思えたのでこの度ピックアップに加えることにしました。
 中長期目線では面白いと思いました。


2.何してる会社?

 信和は仮設足場の製造・販売をしている会社です。
 販売とは言ってもBtoBが基本になります

 仮設足場はあらゆる場面で活躍する建設資材で、これが無ければ家もビルも建てることが出来ません。

◎3447 信和 ―Make it― くさび緊結式足場の国内NO.1リーディングカンパニー レポートby相川伸夫
※2018年11月2日掲載記事
https://double-growth.com/3447-shinwa/

 2018年に同社が新規上場した年に私が執筆させて頂いた記事になります。
 この時から3年経っていますが事業構造や競合などにも大きな変化はありません。
 概ねこの記事の時の内容のまま時が流れていると言って差し支えないでしょう。

 上記の記事を読んでもらうとわかる通り、信和は仮設足場の製造能力において国内のダントツトップであり、レンタルではなく販売を主に事業を展開しているのが大きな特徴になります。


3.のれんのリスク

『信和ってのれんが大きいから心配だよね~』
 同社に関してはこういう投資家の声を聴きます。実際に同社の市場評価が低い理由の一つになっているのは間違いないでしょう。
 面白い所を紹介する前にこちらのお話からしますね。

 信和は1977年に創業以来、2003年に創業者が会社を完全売却から今日までにオーナーが3回移り変わってきました。その際にできたのが92億円もの巨額なのれんです。

 IFRSを採用している同社は日本会計と異なり、のれん償却が無い代わりに減損テストを毎期チェックされ、そこでアウトになると大きな特損を出すことになるわけです。
 2020年2月から世界を混沌に陥れたコロナショックが起きました。
 戸建て需要も大きく冷え込みましたし、リフォーム需要もこんな時に人に会いたくないという状況から減少、建設に関してもオフィス需要の蒸発から開発見送りという話も話題にあったと思います。
 『仮設足場を新規に購入しようとする企業が大きく減少してしまうのではないか???』
 懸念は確かに的中し、21年3月期の売上高は18.7%の減収となりました。
 製造業は一般的に固定費が重いので売上高が18%も落ちたら赤字転落になるほど利益が落ちてもおかしな話ではありません。
 …が、しかし、コロナショックの影響の強かった2021年3月期の決算資料を見てもらうとわかりますが営業利益は16.2%減益というだけで思いっきり黒字も黒字で多少のダメージしか受けていません。これはスゴイ!!
 固定費が実は軽いというのが信和の特徴であり、大部分の製造人件費は変動費になっているし、生産しないのであれば鋼材仕入れも減ります。鉄は腐らないので減損も無いわけです。

 今期の2022年3月期にはコロナショックでズタズタにされた物流混乱や需要蒸発が急速に回復したために鉄鋼価格は急上昇を始めました。足元ではスクラップ価格も50円/Kgを超えるほどに上がっています。
 これは2015年比では3倍にまで上がっています。これほど上がるとマンホールの盗難や側溝の金属格子の盗難などの話が出てくるほどなんですw
 当然スクラップ価格が上昇すると鋼材価格も高くなります。
 信和の製造製品の大部分は鉄の塊(ザックリ原価は鉄5:亜鉛3:人件費2)なので影響は必至です。

『ついにあの信和が大きくダメージを受けてしまうのか!!?』

 ところが2021年11月8日に業績の上方修正+増配のリリースの開示が出てまいりました(笑)
 業界で圧倒的な生産能力と販売シェアを持っている信和は原材料上昇を業績影響が出る前に先んじて顧客に価格転嫁できることが証明された瞬間がここになるわけです。

 原材料アップの価格転嫁って決して簡単な事ではありません。シェアを取られてしまうかもしれない不安から中々出来ないものです。
 今年は世界中でコストアップ型のインフレが起こっています。その影響を受けて下方修正する企業と上方修正を出してくる企業の二種類が今、大きく分かれています。
 価格転嫁しても売り上げが伸ばせる企業は本当に強い企業ですね。

 このように需要の大幅な減少と鋼材の急速な価格上昇という減損リスクになりそうなメインのものが来ましたが全く問題なく突破することが証明されました。
 仮設足場を全く使わずに家もビルも橋もできるようになったらダメになってしまうでしょうが、今の所そういう話は全くありません。

 以上の理由から信和が減損になるリスク(簡単に言えば赤字)はやはり低いと再評価できると思います。


4.信和が面白い3つの理由

◎一つ目は交渉力の高さと優位性が垣間見えること。
 先ほどののれんのリスクで話した「業界で一番値上げが早い」ことからリーディングカンパニーとしてのポジションです。
 信和では7月と9月に製品価格を10%ずつ価格改定をしていると伺っています。製品によっても異なるかもしれませんが1.1倍×1.1倍なので21%ほどの値上げという解釈になります。
 鋼材価格が今後も上がったとしたらまた値上げをすることになると思います。
 そういうことができるのは信和が業界でダントツの生産能力を持っていることと高い品質によるところだと考えています。

 ※業界の方の推測値でしかありませんが仮設足場は丈夫とはいえ、それでも年間150億円程は滅失を起こしている。よってその分の買い替え需要は存在しているというのは背景にあります。
  鋼材価格が下がってすぐに製品売価を下げるということはいたずらに市場を混乱させてしまう恐れもあるでしょう。なにせ鋼材価格も今は暴れやすい環境です。
  来期の仮設足場の販売数量が仮に同じだった場合は値上げしているので売上高も増収になります。加えて鋼材価格が下がった場合には利益率も上がる期待もできるかもしれませんね。
  配当40%以上は上場以来固く守っているので増収・増益・増配を期待できる可能性もあるでしょうね!

◎2つ目は市場環境です。
 今期の8月頃からやっと戸建てや建設等といった着工数も回復をしてきました。リモートワークもすでに定着してきており、これはコロナ感染が収まって世界に戻ったとしても以前のようなオフィス勤務が当たり前という環境には戻らないと私は思います。
 元々働き方改革でリモートワークやフレックス勤務は推進してきたわけですし、自由な働き方としてこの姿は自然です。
 同時に正社員での働き方としてはいくらでもサボれてしまうことと、会社によってはコミュニケーション不足や新人教育が上手くできないといった問題も発生すると思われます。
 よって、今後益々出来高での仕事の仕方は増加するでしょう。業務委託契約によるフリーランスであったり、クラウドワークとしてのシェアリングワークですね。
 こうした動きから今期~来期、再来期まで戸建て需要は強含むのではないか?
 と考えています。住宅ローン減税の話も1%⇒0.7%に改悪されたように感じられますが10年だったものが13年に伸びているので高年収プレーヤー以外では減税総額は特に影響はないのではないでしょうか。また、実需での購入も根強いです。
 低層向け住宅においてはくさび足場が大活躍しますし、加えてリフォームをコロナ禍で思うようにできなかった方も一定数いるでしょう。
 スクラップ価格上昇と職人不足による枠組み足場のリプレイス加速も起こっています。
 高層建築物の建設の際に使われる枠組み足場を使っている企業はとっくに減価償却が終わっています。基本的に足場の減価償却は3年ですし、やり方によっては全額一括償却も出来ると聞いています。
 業界リサーチの結果としては旧時代の遺物ともいえる『枠組み足場を製造している企業はもういない』と口を揃えて言います。枠組み足場はすでに市場に大量に出回っており、製造メーカーは1社、また1社と減っていきました。
 需要と供給が合わなくなったのです。
 その後、作業性や積載性の良さから中・低層向けにくさび足場が伸びていき、高層向けの枠組みは今でも多く使用されています。
 くさび足場は鉄のハンマーでガンガン殴るので傷みが早いのでしょうが枠組み足場はボルト締結であることも長持ちしすぎてしまう原因なのでしょうね!枠組み足場の弱点は施工効率が悪いことと積載性の悪さにあります。
 枠組み足場を次世代足場に変える事で施工効率・積載性も飛躍的に向上させることが可能です。職人不足と職人の高齢化で現場の負担は増しています。
 枠組み足場から次世代足場に買い替えるなら今が絶好のタイミングでしょうね。
 なぜなら『スクラップ価格が過去最高水準に高いから』です。
 そこに加えて今ならさらに!!
※【補助金】最大6,000万円の可能性!足場会社の次の一手
 https://fhrc.funaisoken.co.jp/tosou/column/19036.html
 これは広告の一例になりますが、コロナによって空前絶後の補助金チャンスもこの後一定の買い替え加速効果を生む可能性もあります。
 こうした市場環境はポジティブだと思います。

◎3つ目に物流倉庫の需要急増です。
 EC需要はこれまでも右肩上がりに増加してきましたが、今回のコロナ禍が起こしたインパクトはすさまじいほどでした。皆さんもAmazonで注文した商品が予定日に届かなかったり、又は22時に配送業者がチャイムが鳴らすなども経験されたことは無いでしょうか?
 需要に対して物流拠点&配送能力が噛み合っていない一つの証左です。
 これを受けて今、物流倉庫への投資は急速に高まりを見せています。
 上場企業で行くと物流倉庫開発TOPのダイワハウス工業(1925)や用地取得~開発に意欲を見せる霞が関キャピタル(3498)であったりシーアールイー(3458)などのIRも参考になるでしょう。
 今は用地取得~開発が加速しています。
 当然ながらこの後に物流倉庫として収納ラックが必要になってきます。
 信和はあまり知られていませんがAmazonのラックを受注している企業です。ラックにもどの程度の性能(棚の金属の話ではなく自動制御とか検知とかの部分)が求められるのかは建設される物流倉庫のグレードや属性によっても異なります。
 信和曰く「弊社はAmazonさんの仕事でもそうですがラックではハイエンドの部類です。IR資料に出しているイメージを見て頂くのが分かりやすいです」というお話をもらいました。仮設足場の信和のイメージとのギャップに心底驚いたものです。
 物流倉庫の需要増加も売上・利益に寄与していくことが期待できます。


5.保守的な信和が意欲的な中計を発表

 信和は上場した2か月後の本決算で発表した2019年3月期初の通期予想だけは下方修正していますがそれ以降のこれまでの業績に関しては上方修正しか出していません。
 真相は分かりませんが、最初の2019年はIPO直後の本決算でしたのでそこで減収減益の決算予想なんかは出せなかったんではないかな?とか考えてしまいますw
 とにかく2020年3月期~今期の2022年3月期までの業績予想の出し方は保守的に映る訳です。
 そんな企業が先日12月14日に初めて中計を発表しました。

 詳しくはぜひこちらの原本をご覧ください
・中期経営計画の策定に関するお知らせ
 http://ir.shinwa-jp.com/ja/news/auto_20211214451789/main/0/link/midterm_managementplan_2022-2026_pm.pdf

 これによれば5年後の2026年3月期には売上250億円の営業利益35億円、EPSで171.3円を目指すという開示です。
 ちなみに、今期予想は売上160億円で営業利益20.5億円、EPS100円です。配当は40%以上なので現在株価で配当利回り4.95%なのに2026年になると8.48%になるということになるわけです。
 詳しくは私がテキストであーだこーだいうよりも分かりやすく書かれているIR資料を見てもらう方が良いでしょう。
 5年後まで長期投資すれば配当だけで25%以上は投資元本を回収できるかもしれません。
 投資家としてはその両方がもちろん頂きたいですよねw
 あくまで未来は不確定で分かりません。


6.まとめ

・信和(3447)
 株価        808円
 時価総額     113億円
 今期予想     PER7.9
 今期予想     PBR0.75
 今期予想配当利回り 4.95%

 私の目には信和(3447)は大変アツく見えます。
 信和以外にも私がピックアップした銘柄を調べている方が居ましたら是非情報交換して楽しくお話したいので気軽にご連絡くださいませ♪
 今はこうしたバリューグロース銘柄を見ている投資家が少ないのかお金が全然入っていない印象を受けます。
 個人的には今の日経平均は21000円くらいかな?って錯覚をしてしまうほどにバリュエーションに違和感を感じる物が多いと思います。ただの私のバイアスかもしれませんし、バリューグロース投資をしている投資家が大きく減少してマネーが引いているのかもしれません。
 私はファンダを信じていますし、投資家にとってのキャッシュフローである配当利回りの価値を信じています。そして増収・増益・増配できる可能性のある企業のバリエーションは必ずいつか上がると思っています。

 こうした努力をしている日本企業にスポットライトを少しでも当てられたら幸いです。

それではまた!

『全力全開全力前進!!!』


(相川伸夫)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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