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上場企業数その2
前回は「想定通り昨年からTOBなどのM&Aが増えています。実際に今年前半においては上場企業数が減っています。」と書きました。
今回は今後の日本市場を評価する観点から書いてみたいと思います。
まず考えられるのは昨年からの株高の原動力は外人投資家から見た日本株式市場の変化が大きく映っていると言えることです。
取引所が求める上場基準が厳しくなり、外圧による意識変化も大きくなったことで寝ぼけた(時間や資金を無駄にした)経営を続けられなくなり、仮に横並び意識による部分が大きいとしても、自社株買いや増配をするなど株価を意識せざるを得ない環境になっています。つまり株式市場はこの数年ほどでかなり正常化してきたと言えます。
上場企業数が減っているのは市場が健全化している証左と考えられます。
成長している企業は主に海外で成長しています。内需と言われる小売や飲食業が顕著に海外で事業を拡大しており、その代表例がゼンショーやサイゼリアなどです。ゼンショーはM&Aを有効活用することで事業を拡大して海外へ打って出る体力をつけました。
一方、海外へ出ていく体力のない企業の大半は成長していません。これは製造業で見てきた光景です。規模拡大が無いままに似たような企業同士で国内での過当競争により体力を擦り減らし、結果として割安に放置され、有力な技術を持ちながら人材も流出してしまい、そして時間と共に競争から脱落して身売りにまで至ってしまう。
海外の大手企業を見るまでも無く、上場を維持し存続するためには事業規模を拡大することが重要です。その有効な手段の一つとしてM&Aがある訳で、これを事業拡大戦略として持っていない企業では話になりません。
もう一つは競争優位となる独自の技術を持ちつつ、やはりそれを海外で拡大する能力が必要です。市場規模に限界がある国内だけでは成長は難しいのですから。
振り返れば、8月初めの株価下落はブラックマンデーに似た一時的なクラッシュとのことです。ブラックマンデー前の米国市場は数か月間に渡り異様に強い相場が続いていました。それが何らかのきっかけでクラッシュしました。
日本市場も「大債権大国相場」と囃され、不動産などの含み資産を持つ企業が過大評価され、「トービンのQ」(懐かしい、笑)なる投資尺度を理由として幅広く買い上げられていました。
8月初めにクラッシュが起きましたが早々に相場は回復しています。ブラックマンデー当時と比べても今の日本市場は国債利回りで1%程度、株式市場のPERは14倍~16倍ほどを行き来していますから当時とは環境が違い過ぎます。市場環境の違い、そして経営者の企業統治にかかる意識変化、インフレに伴う業績回復などを加味すれば、日本市場は正常化してきたと考えて良さそうです。
先月の暴落を経て投資環境にも変化が出てきていると感じます。
単に指数ばかりが押し上げられる状況から往年のグロース銘柄も買われる市場になってきました。先月までは余り評価されなかった個別企業の業績見通しなども徐々に株価決定要因として効果が出てくるのでしょう。
知り合いの外資系ファンドマネジャー氏曰く、先月の暴落は確率的には宇宙の起源から1度有るか無いかのクラッシュとも聞きました(笑)。
それほどの急落があったのですから、まだ暫くは不安定な相場環境が続くと思われます。3月~4月に高値を付けた半導体銘柄の日柄整理もありますから、簡単に日経平均などの指数が高値を取ってくるような環境でも無さそうです。
指数の上下動に惑わされることなく、秋の夜長をゆっくりと銘柄研究に充てるくらいの余裕で投資に向かいたいところです。
(街のコンサルタント)
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