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有料メルマガライブラリから(510)「知っていたほうが役に立つ簡単な投資知識」

 有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の過去配信ライブラリ「銘柄研究」「コラム」のうち、コラムの一部を掲載いたします。
 自立した投資家、石川臨太郎のコンテンツをお楽しみ下さい。
 なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。


=コラム「知っていたほうが役に立つ簡単な投資知識」=
 (有料メルマガ第352回・2015/10/20配信号)


※2015年10月現在の内容です。留意してお読み下さい。


 今回から、バランス・シートから少し離れて、株式投資に使える簡単な知識について、書いてみたいと思います。

 PERとかPBRなどの投資指標に関しても、いずれは触れていたいと思います。


 先週までは期間限定で『バランス・シートを読むための簡単な知識』を書いてきましたが、あまり細かい勘定科目についてまで知っていても、さほど株式投資の役には立たないので、今回からは、少しの間、このメルマガを活用してもらうための、知識を書いてみたいと思います。


 私は研究銘柄の分析で土地の含み益を調べて、含み益が大きな土地を持っている企業を高く評価するようにしています。もちろん土地以外にも買った時点より高くなることで含み益が有る資産もあります。
 船舶などのうちタンカーなどは、建造費が高くなっているので、購入時の値段より高く売れること(=つまり含み益ができていたということ)もあります。

 建物などについても、建設のための資材価格や、建設会社の工賃が増加すると、購入価格より高く売れる可能性も出てきます。

 特許なども、時代の趨勢で急に利用価値が高くなる特許もでてきます。特許を押さえられていると、その特許を利用した製品などが作れないからです。

 このように、固定資産の評価は難しいものです。
 そこで私は公示地価格や基準値価格が公表されている土地についてだけ、含み益を概算するようにして、株式投資に役に立てています。

 土地以外の固定資産の資産価値がバランス・シートに表示されている金額どおりかどうかは、誰にも分かりません。

 だから偉大なバリュー投資家であるグレアムは、固定資産を、その企業の評価から無視して、はずしてしまいました。
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 さて、いままで書いてきた『固定資産』というのは何でしょうか。


 企業会計原則には「固定資産は通常の営業過程において、使用・利用することを目的として長期的に所有する資産である」と定義づけられています。

 そして固定資産には以下の3つに分けることができます。

1)有形固定資産
2)無形固定資産
3)投資等


 また勘定科目の話にちょっとだけ戻ります。
 具体的にバランス・シートに勘定科目として表示されている固定資産には次のようなものがあります。


1)有形固定資産の例
 ・建物:ビル・工場・店舗等やその付属設備(冷暖房装置・照明器具・エレベーター等々)
 ・構築物:橋・煙突・道路・軌道(線路)等
 ・土地
 ・機械:工作機械・プラント・製造設備等
 ・船舶/車両運搬具:車両運搬具とは自動車や鉄道車両等
 ・工器具備品:PC・電化器具・その他多くのものがあります
 ・建設仮勘定:完成しておらず営業活動を行えない固定資産、完成後に本勘定に振り替えを行います


2)無形固定資産の例
 ・特許権
 ・商標権
 ・実用新案権
 ・意匠権
 ・鉱業権
 ・営業権(のれん代)
 ・連結調整勘定


3)投資等
 ・投資有価証券
 ・投資不動産
 ・子会社/関係会社出資金・長期貸付金
 ・長期差入保証金
 ・それ以外の特定の目的のため1年超にわたって所有する資産


 特に無形固定資産は外部からは価値を把握して適正な評価をすることは難しいでしょう。しかしこの無形固定資産のなかにこそ、企業の利益の源泉が含まれていることも多いのです。

 特許などは、まさにそうですよね。
 でも特許がどれくらいの資産価値となるのかを適正に評価できる評価者はいないと思います。

 適正に評価できないものはゼロ評価するというのは保守的で手堅いやり方だとは思います。アナリストの中にはその企業の特許をすべて調べまくっている人もいます。しかし現実の世の中では素晴らしい特許が、素晴らしい利益を生むとは限りません。

 私はビデオがでたときソニーや日立のベータマックス方式の方が早送りなど、いろいろな性能が最初からついていて、技術的には絶対勝っていると考えました。でも自分では映画を1本のテープで録画できるVHS方式を買いました。
 世の中には私と同じような判断でビデオを買う人の方が多くて、ついにはベータマックス方式の家庭用ビデオは淘汰されてしまいました。DVDに関しても大企業同士で方式が争われました。

 自動車の推進装置についても、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、ハイブリッド、モーター(電気自動車、燃料電池車)などが競われています。

 ディーゼルに関してはVWが詐術を用いて自動車を売って、苦境に陥りました。


 ハイテク企業の世界では、すごいといわれる技術が次々に生み出されてきますが、それが必ずしも『お金のなる木』になるわけではありません。

 だからプロの投資家でもグレアム師匠の教えを守り、無形固定資産を企業価値の評価からはずしてしまう人も多いようです。
 個人投資家でも、物理学や化学などの専門知識のある人は、特許などを評価して、株式投資に活用している投資家もいますが、ほとんどの個人投資家には適正に評価することは難しいと思います。

 難しいことに時間を使うのは、時間の無駄です。

 またグレアム師匠は土地を評価しません。
 アメリカには広大な土地があり、その土地が利益を生み出さない場合は価値を認めないからです。
 私は日本の投資家として大都市中心部や大都市近郊の売ろうと思えば直ぐ売れる土地については、公示地価などを参考に評価しています。


経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎


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