国民から見た株式市場
昨年から世間を騒がせている国会議員による「血税ネコババ事件」では、逮捕された輩以外誰も議員辞職をしないことにも驚いています。そして野党からの活動費の開示など関連資金使途を質されてもゼロ回答。これほど倫理観の無い連中に国政を委ねねばならない現状を憂慮します。
岸田首相は早々に派閥解散を宣言し、平凡な世襲議員としては乾坤一擲の勝負に出たかのようでしたが、その後は進展がありません。先日から時々TVで予算委員会のやり取りを観ていますが情けないほど中身の無い答弁が続きま
す。自身も頻繁に政治資金パーティーを開催していたためか?政治改革へのヤル気を全く感じません(呆)。と言いますか、小泉元首相のような「自民党をぶっ壊す!」「日本の政治を変える!」といった迫力は微塵もありません。
サラリーマン型世襲の末路でしょうか、潔の悪い政治家が増えました(悲)。
NHKでも能登半島地震のニュースばかりで、政治問題の拡大を抑えているかの様子ですが、安易な幕引きを許さないためにも国民の政治への関心が高まることを期待します。野党にとっても政権奪還に向けた千載一遇のチャンスなのですから。
さて、来週19日には(雪や氷が溶けて水になり、雪が雨に変わる)雨水を迎えます。間も無く春が訪れますし、投資家にとっては来期予想が気になる季節です。
3月期決算の会社では概ね今期の数字が固まりつつあり、来期予想をどうするかを検討し始める時期になります。新年度の役員人事などのニュースも増えるのでしょう。
気になるところでは、投資教育の観点からも、TVニュースなどで日経平均株価の利用を止めてTOPIXに変更するなども重要ではないかと考えています。
日経平均株価は寄与度の高い一部の銘柄や先物の利用によっても、株式市場の実態から乖離し易い指数です。寄与度上位銘柄を売買することで簡単に指数を動かすことが可能であり、例えば、日によってはプライムの値上がり銘柄数が値下がり銘柄数の3倍もあるのに指数がマイナスになるなど、またその逆も時々起こります。
例えば先週8日(木)は743円も値上がりしましたが、寄与度が高かった上位5銘柄(ファーストリテ、ソフトバンクG、アドバンテスト、東京エレク、テルモ)だけで544円も押し上げており、プライム全体では値上がり銘柄数584に対し、値下がり銘柄数は1,013、変わらず60銘柄となっています。値下がり銘柄数が値上がり銘柄の倍もあるのに2%以上も上がった訳です。
13日には1,066円も上げ、海外資金が大挙して日経指数や大型株に向かっている様相で、225先物主導の相場になっています。
8日を指数でみると、日経平均は2.06%の値上がりでしたが、プライム指数は0.5%、スタンダードは▼0.09%、グロースは▼0.24であり、寄与度上位10銘柄程度の値動きだけで指数の動きが決まってしまうほど、市場を見る上では如何に歪な指数になっているかが分かります。
これから徐々に広がりを見せてくるとは思いますが、ここは無理をせず好みの株式を売買する程度にしていて良さそうです。
この日経平均を基準に「上がった、下がった」と報道するより、TOPIXとプライムの時価総額に変更して報道することが視聴者に株式市場を意識してもらう良い機会になるのではないかと考えています。
マンネリ化した報道に、一般の方達は「あぁ、株価が上がった、下がった」と漠然と視聴しているだけではないでしょうか。意味ある報道に変えるためにも、実は日本の株式市場はこのように変化しているのですよと言う風に、雰囲気を一新するニュースが必要ではないかと考えます。
日経平均が1989年末の高値を超えるか否かばかりを報道するより、時価総額は既に当時の1.5倍になっていますし、実際の投資家利益を推し量るには日経平均より時価総額を使うことも必要と思います。
釈迦に説法ではありますが、投資家の皆様も、個別の株価より時価総額を意識して投資されるのも大事です。目先の上げ下げでは無く、時価総額を元にその会社が市場でどのような位置にあるのか、売上や利益成長がどのように推移し株価に反映されているのかなどを把握することも個別銘柄を理解する上では重要となります。
例えば「PER10倍」というだけではなく、当期利益が10億円になる予想で時価総額が100億円だから今はPER10倍なのであり、これらの数値を踏まえて、将来の利益成長を分析することで自分なりの理論株価を推測するなども良い勉強になります。
各個人は株式投資をしていなくても、預金や年金、保険などを通じて間接的に株式投資をしているのですから、広い意味で国民資産を把握できるような報道が望まれます。
金融や経済に素人的報道が多く、広告収入にしか興味のないマスメディアですが、取引所や行政が指導すれば、これくらいのことは出来るのではないかと思っています。
昨年から取引所は頑張っています。様々な逆風を受けながらも大手企業の株価や経営に言及できる環境になってきたとも言えます。
政治家も非現実的なスローガンの連呼や、ネコババばかりではなく、日本国の為の具体的で倫理観ある行動が望まれます。雨水と共に政界の浄化が促されることを望みます。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)