IPO後に忘れ去られた銘柄(その1)
今年1年間で125銘柄もIPO銘柄が出てくるというIPOラッシュ。
特にこの12月は32銘柄が相次ぎ登場。その中でも今週は24銘柄が出てくるのでまさに東証アローズの鐘は休む暇もない状態となる。
本日IPOのAI関連の東大発ベンチャーJDSC(4418)は初値はわずか1円高の1681円でスタートしたが、その後は2018円のストップ高買い気配で終えるなど人気化。
それにしてもせっかく当たった銘柄をたった1円高で売られた方もいらっしゃる訳だから悔しい思いをされているのかも知れません。
本日はこれから始まるIPOラッシュの前哨戦だったのかも知れませんが、このほか在宅訪問薬局サービスのHYUGA PRIMARY CARE(7133)もストップ高となりようやくIPO市場に活気が戻りつつある。
こうした動きは市場関係者の努力の賜物なのかも知れませんが、こうした株価変動によって投資家の関心が高まるとIPOの需給も好転するとの思惑も出てきそう。
過去のIPO銘柄の多くは初値後の株価低迷に見舞われ、そうしたIPO銘柄を何らかの期待で保有されている投資家は投げるべきか持ち続けるべきかを自問自答されているものと推察される。
思い切って投げた投資家はそのお金でまた直近のIPO銘柄に投資されるチャンスが生まれるのかも知れませんが、忘れ去られたIPO銘柄には見落とされた銘柄も多く、時期がくれば復活の陽の目が当たることもあると考えられるので本コラムでも少しづつ銘柄研究していきたいと考える。
本日取り上げる銘柄はフォトウェディング分野で多くのフォトグラファー(プロ写真家)やメーキャップアーチストを抱えるデコルテホールディングス(7372)。先週末の億の近道懇親会でもまわりの皆さんにお話したが、この社名が何か不吉で一蹴されてしまった。投資家にとって社名が悪いのかどうかはともかく、同社株は本日一気に89円安の866円となった。
投げが投げを呼ぶ展開で一時852円という安値をつけてしまった。
出来高は36.96万株に増加。投げ売りとここまで下落したら買いとの判断で投資される方々ががっぷり四つに組んだ状況になりつつある。
ビジネスは結婚式を挙げないカップルが記念写真だけで済ます場合に同社のような専門写真家をたくさん抱えるところに依頼するケースがコロナ禍もあって増加していることから、ビジネス拡大につながっているというのが業績好調の背景となり今年の6月にIPOにまでこぎつけたと背景ということになる。
筆頭株主の野村系のVCが筆頭株主(スポンサー)でまだロックアップは外れていないが今後6カ月ほど後(ロックアップ期間は360日としているため)には新たな投資家に株式を譲渡する可能性がある。
VCとしても現在のような低迷する株価ではなくできれば公開価格(1720円)以上で譲渡したいと考えている筈だから動画像で社長と一緒にアピールしているのも頷ける。
同社は先週今期の業績を上方修正。保有しているビルの売却で特別利益を計上したことによる上方修正で発表直後に株価は1000円台まで戻ったものの、その後はまた株価低迷してきた。
同社の株価はこれまで一度も公開価格(1720円)を上回ったことがない。
公開初値は1582円でIPO後の高値は1680円。安値は本日の852円。
業績は比較的堅調で今9月期の売上は54.9億円に対して営業利益は14.27億円となっている。4.35億円の固定資産売却益があり、今期の予想EPSは158円に膨らむ見通し。中期計画では大都市圏への出店を積極化させ2024年9月期に年商73億円、営業利益14.7億円を目指す。
今後はフォトウェディングからアニバーサリーフォトサービスにも展開する予定。この分野ではスタジオアリス(2305)が先駆しており、いずれは競合すると予想される。
(炎)
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