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課題

 随分と暖かくなり、本格的な春になりました。
 近くに比較的大きな公園があり昼頃の時間帯に時々散歩をします。小さな子供を連れた沢山の方達が子供たちを遊ばせていますが、振り返るに、うちの子供が小さかった頃も、遊ばせるために週末にはいつも何処かに連れて行かねばならなくて大変でした。遊びたい盛りの子供と小さなマンションに住んでいましたから。
 週末が近づくと地図を見ながら「ここはどうかな?」などと家内と話し合っていた頃が懐かしく感じます。

 あれから20年以上が経ち子供も大きくなって(当たり前ですが、笑)、今では大人同士として食事に行くなどするようになりました。小さな子供たちを遊ばせているご家族をみると「大変だなぁ~」と思いつつも「今が一番可愛い年頃だよねぇ~」などと微笑ましく感じるようになりました。
 歳を取りました(笑)。


 さて、先月22日のFOMC(米国連邦公開市場委員会)では0,25%の利上げが決定されました。
 コストプッシュ型のインフレに利上げは効果があるのかと言った議論も増えてきましたし、雇用環境は良いものの物価上昇率には頭打ちが見えてきましたから、利上げを続けることへの懸念も増えてきているようです。5月には利上げ停止との予想が50%を超えてきましたから、それを理由に先日まで株式が買われていたのでしょう。
 既に資源・エネルギー価格はウクライナ侵攻前の価格まで下がり、且つ物流が正常化してくれば物価も落ち着くことが予想されますし、利上げの影響(効果)はこれから出てきます。遅行指数である雇用を気にし過ぎるあまり利上げを継続するようであれば景気悪化を招きます。

 昨年末頃には今年前半は景気悪化で株価は下げ、年後半になると金利のピークアウトと景気回復を期待して株価は上がる・・・、というのが日本のエコノミストのコンセンサスだったようですが、少し違う動きが出てきているように見えます。

 個別銘柄の業績を調べていると中国関連(中国での売上比率が高い)企業の業績低迷が目立ちます。想定より中国内需の回復が伸び悩んでいるのかも知れません。ご存じの通り不動産開発による経済発展を主軸にしてきた国ですし、この構図を簡単に方向転換することも難しいはずです。

 と考えると・・・、やはり今年は景気下支えのため、中国政府はインフラ投資を通じて不動産へのテコ入れをする可能性が高いと感じます。建設資機材やインフラ投資に使う鉄鋼材料の販売額増加などには気を留めておく必要がありそうです。並行して資源価格の高止まりも予想されます。

 中国は今年の成長率見通しを5%としていますが注視する必要がありそうです。期待ほど伸びないようであれば日本企業へのダメージも大きくなります。
 世界全体の企業業績、経済状況がどちらの方向に動くのか?これが今年の課題であり個別企業の業績予想からも目が離せなくなっています。


 それにしても日本株投資がつまらないです。

 単に株主還元が低水準であるとかPBRが低いなどの理由に留まらず、株式市場にダイナミズムが生まれ辛いからです。
 先月は、ここ数か月間で特段の材料も見当たらないままに急騰した銘柄が幾つもあり、割高と思われたので空売りしようと調べましたが、殆どの銘柄が取引規制の対象になっていました(新規の空売り禁止、現引きの制限など)。

 このように急騰した銘柄に限らず、個人投資家に対しては特定の公募などの際にも頻繁に規制がかかるのですが、機関投資家(特に海外の投資家、ファンド等)については規制がされません。

 国内投資家が手足を縛られている一方、海外の機関投資家は野放し状態ですので、投機的な資金による国内投資家の逆手を取る売買手法が頻繁に見られます。このような硬直的な市場運営を続ければ結果として国内の一般投資家に不利な取引環境を強いることになりますが、今のところ取引所が方針を変える様子は見られません。

 「暴騰した株を売買して損失を被ることが無いように」との考えで(と聞いています)変動の激しい銘柄に取引制限を課します。投資家保護を理由として国内投資家に対して。
 このような制限があると、いわゆる米国でのミーム株が演出したような相場にはなりませんし、随分以前にポルシェ株で投機筋が大損を出したような取引も発生しません。国内の投資家動向を心配する必要が無いため投機筋は安心して相場操縦を仕掛けてきているのでは無いでしょうか。ローカル投資家が制限を受ける条件やタイミングなどもプログラミングされて。

 それら投機資金次第で乱高下し易い相場故に、何らかの材料が出たり、幾らかでも会社予想から外れた実績が発表される度に株価が短期的に乱高下します。そして間もなく徐々に売らたり買われるなどで元の株価に戻ります。中には大きく買われる銘柄もありますが、それらは一握りですから国民(一般投資家)誰もが利益を得るには至りません。


 この件についても様々な方からご意見が出されていますが、個人的には取引所関係者の責任逃れのための古い習慣が続いているだけと考えています。
 万が一、個人投資家が大きな損失を出したときに「我々はきちんと管理していたのですが・・・」という言い訳の余地を残すためであり、同時に、M&Aなどの懸念が付きまとう株価の大きな変動を嫌う大手(経団連的)上場企業の意向もありそうです。

 この手の話しは国内行政の(いや民間でも)あらゆるところで見られる現象です。
 責任者が保身のために僅かな責任も回避する。「○○をすると△△の懸念があります」とは、既得権維持が目的の方々から様々な場面で聞く定番発言です。現状変更を避けたがる一部の人達です。

 何をしても・・・、例えば車を運転すれば事故の危険があるし、何かを食べれば喉を詰まらせる懸念はある訳ですが、こと自身の損益に直結するとなると副作用を訴えて改革を止めようとします。

 民間ではサラリーマン社長に多く、行政では皆様ご存じの通り腐ってます。
 政治では僅かでも選挙に不利になりそうなことは避け、大事な時にはコソコソと隠れ、バラマキの時だけ大々的に売名行為・・・(苦笑)。


 余談ですが、空港施設という天下り専用会社の腐敗も露呈しました。元々ロクな経営はされていないと感じていましたが、正に想定通りでした(呆)。
 9名の役員のうちの半数近くが国交省OBであり、大株主であるJALやANAから天下りしてきた代表2名を含め、ほぼ全員が上部組織からの天下りです。空港関連の単なる不動産管理会社ですから大した仕事もありませんが、空港利用者からの超過利潤をシロアリに横流しするための会社です。そこに口出してきたのが、これまた国交省から東京メトロに天下っていたシロアリです。
 PBRは0.5倍と割安ですが、持合いを含めた特定株主の比率が7割以上で時価総額も小さく、投資先としては殆ど価値の無い会社にも関わらず国交省の有力天下り会社としてプライム市場に上場しています。税金からの収奪だけでは飽き足らず、まあ、やりたい放題です。


 やはり、停滞の全ての大本(根っこ)は政治と行政の癒着によるものです。
 腐敗こそ万国共通の、克服しなければならない最大の課題です(苦笑)。


(街のコンサルタント)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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