石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」安田倉庫(9324) 2016/11/15
※企業情報や数字等は当時のものです。またリンク先の変更によりリンク切れの場合があります。あらかじめご了承の上お読みください。
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石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」
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◆Contents◆
◇銘柄研究 安田倉庫(9324)
◇コラム 企業のファンダメンタルズを調べていればうろたえることも無い
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◇銘柄研究 安田倉庫(9324)
本日は、1919年(大正8年)に創業された、総合物流企業の安田倉庫を
研究銘柄として取り上げます。
総合物流企業である安田倉庫は、1919年の創立以来、大消費地である東
京・横浜を中心に拠点を展開し、顧客の物流効率化をサポートして成長している企業です。
現在では、首都圏、関西圏に19ヶ所の物流拠点(東京・横浜を中心とする
首都圏に16ヶ所、関西は大阪に3ヶ所)の物流拠点を配置し、倉庫スペースの提供のみにとどまらず、商品の流通加工から全国配送まで、豊富な実績、ノウハウで顧客の物流ニーズに応えています。これは同業者のなかでもトップクラスの数です。
いまや倉庫業は、単にモノを保管し輸送するだけのサービスではありません。たとえば、品質検査・商品の銘入れ・セット組み・梱包・包装・返品処理など、倉庫ではさまざまな流通加工作業が発生します。
つまり安田倉庫は、「倉庫」を集中するモノや情報を迅速かつ正確に処理・
加工し、物流をコントロールするクリエイティブな場として考え、それに最も適した立地として首都圏を中心に拠点を配置しています。
一方、配送においても、商品特性や輸送条件に合わせた最適な輸送手段を選
択し、俊敏に安全に対応することが求められています。首都圏については安田倉庫グループの自社直送体制にて配送、全国配送については提携業者の中から最適な配送サービスを選定します。
このように、サプライチェーンを支える総合物流企業として、好立地の物流
センター群を基盤にロジスティクスを一括提供しているのが安田倉庫の現在の姿です。
本日の研究銘柄として安田倉庫を選んだ一番の理由は、中期経営計画に基づ
き、将来の収益力を高めるため神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町に保有するテナントビルを解体し、跡地にホテル及び商業施設を建設することなどから、一時的に設備解体費用が発生し、賃料収入も減るため、2016年3月期の純利益が前期比で29.3%の減益予想を発表したことから、株価が下落して保有する有価証券や土地の含み益から考えて、割安すぎる状況になっていることです。
株価はやっと大底からリバウンドを開始したところで、トランプ大統領の誕
生ショックで下げましたが、他の銘柄より下げは少ないという印象を受けました。翌日には他の株と同様に下落分は戻しましたが、それでもまだ700円以下です。
つまり、大底から少し株価が上昇していますが、1000円以上だった株価
は、まだ700円にも届かない状況であり、とても割安な状況であることに変わりありません。
安田倉庫の再開発のIR
http://www.yasuda-soko.co.jp/topics/info150904.pdf
安田倉庫の2年間の株価のチャートです。
http://www.nikkei.com/markets/company/chart/?type=2year&scode=9324&ba=1
以上の事が、安田倉庫を研究銘柄として選んだ一番の理由ですが、その他に
安田倉庫を選んだ理由がいくつもあります。まず具体的にそれらの理由を説明します。
1.安田倉庫は、含み益が大きな賃貸不動産や自社使用の土地を保有していること。
安田倉庫の時価総額は、11月11日の終値670円(30,347,55
8株)で計算すると203.4億円です。
1)賃貸不動産
2016年3月期の有価証券報告書に開示されている、安田倉庫の賃貸不
動産の簿価は233.96億円です。時価は389.60億円です。
賃貸不動産の含み益は155.64億円です。
<参考>
賃貸不動産の含み益比較
2012年3月期
賃貸不動産の簿価274.90億円
時価452.94億円
含み益170.84億円
2015年3月期
賃貸不動産の簿価281.48億円
時価455.15億円
含み益173.67億円
2016年3月期
賃貸不動産の簿価233.96億円
時価389.60億円
含み益155.64億円
安田倉庫は、保有する不動産の再開発・高度活用を進めています。
JR横浜駅・西口エリア(横浜駅西口から徒歩3分に位置)に立地している神奈川区鶴屋町のテナントビルを解体後、2017年10月までに、横浜市神奈川区のテナントビル跡地にホテルと複合商業施設(ホテル事業用ビル)を建設、賃貸する計画です。(敷地面積約500坪のホテル及び商業施設建設。地下1階、地上13階。延床面積3000坪)
2016年3月着工で2017年10月竣工の計画。テナントビルを解体するために横浜市賃貸を中止したために、賃貸収益などが若干減少。
賃貸不動産の簿価は2015年3月期より47億円程度、現在価格も68億円程度減少しています。
安田倉庫のバランス・シート上の土地の価格は2015年3月末から変動していないので、セグメント変更のための賃貸不動産の減少であることがわかります。
2)自社使用の土地
安田倉庫の自社使用の倉庫などは、地区ごとにまとめて開示されているので、自社所有の倉庫などの時価は推計できません。
しかし、土地簿価226.6億円+建物及び構築物の簿価292.4億円=515.0億円に対する賃貸不動産の簿価233.9億円の比率は45.42%です。残りの54.58%の自社使用部分にも、賃貸不動産と同様に大きな含み益があると予想されます。
例えば、東京都の芝浦営業所に所属する倉庫の底地の面積は26000平方メートルで簿価は2.91億円です。全てが芝浦営業所と同じ場所の物件ではないかもしれません。しかし、芝浦営業所の近隣公示地の価格は1平米当たり885千円です。かなり大雑把な試算ですが、26000平米×885千円=230.1億円という数字が出てきます。
もともと倉庫業でスタートした企業ですから、自社使用の倉庫などの取得時期も早いことが想定されます。
不動産の時価を考えると、安田倉庫の資産価値は時価総額に比べて、非常に割安であると考えて良いと判断します。
2.安田倉庫は、膨大な投資有価証券を保有していること。
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