#81 シスメックス(6869) 2020/10/13
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山本潤監修「グロース銘柄発掘隊」 第81号
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山本潤氏率いる「株の学校」で、山本氏をはじめとする講師陣の薫陶を受けた精鋭アナリスト達が、成長株を発掘し、その内容を詳細にレポートします。
毎週火曜日配信、1回に1銘柄の深掘りレポートです。
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【目次】
■はじめに
■シスメックス(6869) 客員アナリスト 小月陸
■モデルポートフォリオ 10/6更新
※本メルマガの一部内容を、億の近道へ抜粋の上掲載することがございますので、あらかじめご了承下さい。
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■はじめに
NPO法人イノベーターズ・フォーラムのご協力により、客員アナリスト
たちのレポートの有料メルマガを提供しております。
グロース銘柄発掘隊の隊長は東京2期生です。
彼の指揮下、隊員たちは、週に一本のフルレポートをディープに発表します。
どれも個性あふれるレポートです。
投資家のみなさまにおかれましては、ぜひ、グロース銘柄発掘隊の客員アナリストたちへのご支援をよろしくお願い申し上げます。
(山本潤)
【発掘隊より】
グロース銘柄発掘隊は、5年から10年以上の長期投資に耐えると思われる銘柄を発掘し、調査分析するものです。配信した銘柄は短期的に株価調整する場合もありますが、対象企業の前提条件が変化しない限り、問題ないと考えます。
配信した銘柄は定期的にチェックしております。もし、前提条件が変わったりビジネス環境が大幅に変化した場合には、あらためてフォローコメントを配信致します。
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■シスメックス(6869)
【企業概要】
◆会社概要
シスメックスは1968年に設立された検査機器を販売する医療機器メーカーです。
2020年10月現在、時価総額2兆円、年間売上高約3,000億円、営業利益率約17%の日本を代表するグローバル企業です。
データが取れる2001年以降の平均売上成長率は11%、標準偏差は7%と長期間安定して成長をとげていることが伺えます。
同社は、血液や尿の成分を解析することができる検査機と、検査に使う専用の試薬と機器のメンテナンスに関するサポートサービスを継続的に提供することで収益をあげています。
売上の構成比では血球計数検査が62%を占め、血液凝固検査が16%、尿検査が7%と続きます。同社の製品は多くの人にとって馴染み深いものです。
読者の皆さんも年に一度は健康診断を受けて血液検査の結果を見ながら健康状態を把握されてるかと思います。健康診断の場で採血した血液の成分を分析しているのが同社の血球計数装置です。尿検査についても同様です。同社のサービスは多くの人が健康状態を把握し必要に応じて適切な治療を施すことを可能にしているのです。
売上構成比を国別にみていくと、最も売上が大きい中国が27%、ヨーロッパが26%、アメリカ26%、日本15%、その他アジア諸国が9%となっています。特に中国では直近10年間の平均売上成長率が19%と大きく成長しています。これは、2000年代以降の経済成長に加え農村部の住民まで対象とした医療保険制度の改革が大きく寄与していると考えられます。今後も人口の増加と保険制度の整備が期待されるアジアの新興国において成長が期待できます。
◆沿革
同社は1948年に設立された拡声器を販売する東亜特種電気(現TOA)の一部門として出発しました。創業社長である中谷氏は1950年代に新規事業のヒントを得るために、アメリカを視察に向かいました。その中で見つけたのがコールター(現ベックマン・コールター)が開発した血球計数装置です。
日本の医療のためにコールターの血球計数装置を日本で代理販売しようとしますが、ライセンス契約を断られてしまったため、自社での開発に踏み切ります。
自社開発は苦難の連続でした。
細胞や血球の電気抵抗を利用して粒子測定を行うという、血球を数えるための主要な技術の特許はコールターが取得していたのです。同社が特許を回避しながら血球計数装置を開発するに当たり、拡声器に使っていた技術を応用しました。
拡声器は声を電気信号に変換し微弱な信号を増幅させます。この原理を応用して、血球が小さな穴を通るときに発する微弱な電気信号の変化を捉えることで自動計数機を開発するに至りました。自動計数機が普及するまでは、医師が採血した血を顕微鏡で覗いてカウンターで血球の数を数えていたことを考えると、自動化による医療現場への貢献度合いは計り知れません。
1980年代までは先発のコールターが大きくシェアを取り完全に後発メーカーという立ち位置でした。大手の医療機関や大学病院は基本的にコールターを採用し、同社の顧客は中小の医療機関が中心でした。
そんなかでも同社は検査精度と速度の向上と検査項目の拡大に主軸を置き、地道に製品の改良に取り組みました。また、「検査機器ではなく検査結果を売っている」という哲学を軸に24時間いつでも対応できるサポート体制も整えました。加えて、検査結果に問題が発生した場合、機器の故障か試薬がだめなのか問題を特定するための専用試薬の開発、顧客の要望に応じたカスタマイズなど顧客に寄り添うきめ細かな対応を積み重ねシェアを少しづつ伸ばしていきます。
その結果、国民皆保険の導入と健康意識の高まりが後押しとなり、1980年代の半ばには100億を超える売上規模となりました。
1990年代はベルリンの壁の崩壊やEU創設など市場のグローバル化を背景に、世界に進出し血液検査機器を中心に売上を伸ばしていきます。
1999年にリアルタイムにオンラインで検査機器の状態を知ることができるSNCS(シスメックス・ネットワーク・コミュニケーションシステム)を導入し、分析装置の精度管理や故障予知機能を追加しました。これにより、同社の検査機器を導入している医療機関は思わぬ故障で機器が停止し、迅速に患者の状態を把握できなくなるリスクが大幅に削減されます。
このような努力積み重ねの結果、現在では血球計数機器のグローバルシェアは約60%近くになっています。
◆競合優位性
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