新年度業績は
日銀が異次元緩和策を終了させるようです。ETFの購入も止め、漸く正常な状態に戻ります。黒田前日銀総裁はさぞかし無念だったことと思います。
黒田前総裁が異次元の緩和策を採っている間に構造改革や規制緩和などで経済を活性化して欲しかったはずです。最近の株高は明るいニュースではありますが、その陰で改革が遅々として進まない日本の政治と行政の停滞が続きます。
さて、2023年度は期初予想に反して増益企業が続出しました。昨年を振り返ると、生産が回復した自動車、コロナ禍から消費が戻った飲食関連や、値上げが浸透した食品や日用品、そして投資が急増している半導体関連の上昇が相場をけん引しました。
前期の予想経常利益を見ると上位には従来からの主力企業が並びます。
上位10社までを挙げると、トヨタ6.2兆円、NTT1.88兆円、三菱UFJ1.85兆円、ホンダ1.45兆円、三菱商事1.4兆円、INPEX1.35兆円、三井物産1.25兆円、ソニーG1.19兆円、三井住友FG1.16兆円、伊藤忠1.1兆円となります。
経常増益上位企業には国から巨額の補助金を得ている電力やエネルギー企業なども含まれます。政官と癒着した巨大利権業界へのミルク補給が止まりません・・・。
一昨年後半からの値上げや円安によって企業収益は大半のエコノミストの予想を超えており、筆者もこれほど業績回復が続くとは予想できませんでした。日本企業が目覚めたのか、または毎度の横並び意識で危機感が強まったのか、まだ多くはありませんが株価対策を実施する企業の件数が増えています。
これらが日本企業の再評価に繋がっていることは確かでしょう。
来期(この4月から)はどうなるのか。
市場では概ね堅調な業績予想が多く見られますが、GDPの実質成長率で見ると第2、第3四半期は共にマイナス成長でした。好調な自動車輸出にしても数量に余り変化はなく、円安の影響が大きかったと考えられます。
円安によるインフレで実質可処分所得が増えない中では、そろそろ富裕層やインバウンド消費を除いて日用品や食品などへの消費は伸び悩むのではないかと心配しています。
前向きな考え方としては以前にも書きましたが、世界的な政治的分断(=サプライチェーンの再構築)が日本経済の追い風になっていることです。これに加えて中国の停滞を受けた投資資金の日本への流入や新NISAによる株価押し上げ効果でしょうか。
足元の為替を前提として自動車や設備投資関連がどの程度伸びるのか、賃金の上げ具合なども含めて注視したいところです。
安定的なインフレ維持には、まずは労働分配率を増やすこと、そして日本企業の攻めの姿勢が重要と思われますが、横並びのコンサバ予想ばかりを出してくる情けない(経団連的)経営者が増えないことを望みます。
今後の株式相場を見る上では、まずは今月末の権利落ち後の動向と、5月の連休前後に発表される新年度予想がとても重要になりそうです。
(街のコンサルタント)
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