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企業評価の視点

 株価の動向は根本的には業績動向に委ねられている。

 株価動向を左右する評価のための業績データでは、

1.売上高、2.原価、3.粗利益、4.販管費、5.営業利益、6.営業外費用、7.経常利益、8.特別利益、9.当期利益、10.1株当たり利益、11.株当たり配当金

が主なファクターとなる。


1.売上が増加することは株価にプラスになる可能性があるが絶対ではない。

2.売上が増加するか横ばいであれば原価が減少するなら株価にプラスとなる。

3.粗利益の増加は株価にはプラスになる可能性がある。その粗利益の増加は売上増加や原価の低減でもたらされる。

4.販管費の増加は株価にはネガティブとなり減少はプラスになる可能性がある。但し、将来に向けた布石のための増加という説明がなされると株価は中立かポジティブな評価となる可能性がある。

5.売上から粗利益、販管費の増減の結果得られた営業利益が増加するなら株価にはプラスとなる可能性がある。

6.営業外収支は株価へのインパクトは小さいが黒字幅が大きい場合はプラスとなる可能性もある。営業外収支には金融収支や為替差損益、のれん代などが含まれる。

7.この結果得られた経常利益の増加は株価の評価にプラスに働く。

8.有価証券の売却損益などをメインにした特別利益、特別損の発生は金額次第では株価にプラスに働いたりマイナスに働く。

9.この結果得られた当期利益が増加するとプラスに働き、減少するとネガティブに働く。特に大幅な特損の発生は財務内容を棄損しネガティブに働く可能性がある。

10.この結果得られた1株当たり利益が増加することは株価にプラスに働き、減少することはマイナスとなるが、自己株買いによって自己株を除く発行済み株式数の減少がある場合はその効果は増幅する可能性がある。新株発行による発行済み株式数の増加(希薄化)により、一株当たり利益は減少し、それによって株価にはネガティブに働く可能性はあるが、中長期的な成長への期待感が働き株価にはむしろプラスになる可能性も高い。

11.一株当たりの利益増とともに一株当たり配当金の増加が見られる場合は株価にはプラスとなる可能性がある。


 こうした足下の業績面での吟味をベースした株価の変動に対して、次期決算見通しや中長期決算見通しを踏まえた株価への影響を分析しながら株価や時価総額は形成されることになる。

 つまり株価の上昇には営業利益や経常利益の伸びが最もインパクトがあると一般的には考えられるが、その要因が売上の増減なのか、原価の増減なのか、販管費の増減なのかを分析していきながらそれを当期以降のトレンドも踏まえて考えていく必要があると考えられる。


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