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投資家Sの今週の注目銘柄 メディアドゥ【3678】

 皆様こんにちは、投資家Sと申します。
 2021年1月から億の近道火曜版に「投資家Sの今週の注目銘柄」を掲載頂いております。

 本連載は、創業(1964年)半世紀を超える投資日報社が、毎週月曜・木曜に発行を行っております、”投資日報α”(月曜版)に掲載しております。

 4月までは隔週火曜日の掲載となっておりましたが、今月から毎週掲載を行う事となりました。

 今週は決算発表のピーク週となっており、60%以上の上場企業が決算発表を行います。
 GW前までは、コロナ禍で大きく業績を伸ばした企業が好決算を発表しても軒並み売られておりましたが、GW明け後は昨年苦戦した企業が今期V字回復の予想を出して買われるケースが目立っております。
 日本製鉄【5401】は、足元の商品市況の活況も手伝って、決算後の上昇が目立っております。市場参加者は、前期からの変化率や事前予想とのギャップに注目している可能性が高いです。昨年とは物色の対象が大きく変わってきている事を、認識しておく必要がありそうですね。

 今回は、2021年4月に掲載を行った、注目銘柄についてご紹介させて頂きます。


■メディアドゥ【3678】


 電子書籍取次最大手のメディアドゥ【3678】は、1999年設立、2013年11月に株式上場を行っている。

 同社の特徴は、M&Aを巧みに利用した経営手法にある。4年前の2017年に電子書籍取次最大手の出版デジタル機構を買収、業界1位と2位の合併となり、同分野で圧倒的なポジションを手に入れて、業績の大幅拡大が続いている。
 買収前の2017年2月期の売上高は155億円、営業利益は6.5億円となっていたが、前期となる2021年2月期の売上高は835億円、営業利益は26.6億円となっており、大幅に業績を伸ばしている。

 今期の業績予想は、売上高が19.7%増の1,000億円、営業利益は12.6%増の30億円となっており、前期と比べて伸び率は鈍化しているように見えるが、同社は成長中の企業である為、今後の業績拡大に向けた“先行
投資”を様々な分野で行っている。

 一つ目は、昨今話題となっているNFT(ノン・ファンジブル・トークン)を活用して、デジタル付録付きの本を流通させる試み。
 同社は本年3月に紙出版の取次大手トーハンと資本業務提携を行っており、トーハンの販売網を活用して、全国のリアル書店でメディアドゥが発行するNFTが付いた書籍の販売を計画している。NFTは交換可能なデジタル資産となる為、売買を行うマーケットプレイスを創出する事が可能となる。ユーザー同士での鑑賞やトレードを可能とする仕組みを自社で構築する計画となっている。

 二つ目は、出版市場のDX(デジタルトランスフォーメーション)化。
 米国に本社を構えるFirebrandグループの株式を取得。Firebrandは、米国の出版業界でERP(企業資源計画)×Saas(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)事業を行っており、年間解約率0%のサービスを運営。出版社にとってなくてはならないサービスを提供。今後は、米国で先行しているサービスを日本に輸入して、出版DXを強力に推進して行く事となる。
 決算説明資料では、「紙と電子を統合して扱う、出版の世界標準化を推進」と記載されており、電子書籍のみならず、紙媒体も押えた、総合出版プラットフォームの構築を目指している。

 足元の株価は、今期の利益成長鈍化を受けて6,000円を下回る水準まで売られているが、減益要因は事業拡大の好機と捉えた投資が要因であり、先行投資が身を結ぶ事となれば、さらなる成長が期待出来る。

 その上、この企業が電子書籍取次から出版業界のデジタル化を先導するSaaS企業へと変貌を遂げる事が出来れば更に企業価値は高まり、次のステップへと進む可能性さえあるだろう。

(投資日報α 2021年4月19日号 掲載)


(投資家S)


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  トレース合同会社 社長
  株式会社投資日報社 専務取締役
  大学卒業後、2004年から証券会社にてFXの仕事に従事。
  以後、14年間に渡り、営業・企画・トレーディングの最前線で活躍。
  リーマン・ショック・ユーロ危機・Brexit等々の並居る大相場の中、裏方として市場の最前線で指揮を取り、FXの表も裏も知り尽くす。
  2018年秋、11年間勤めたマネックス証券を退社して、暗号資産(仮想通貨)の交換業者となる、株式会社ディーカレットの立ち上げメンバーに加わる。
  2020年5月に、相場道を究める為に同社を退職。
  個人投資家として株式投資を行いながら、投資に掛ける時間が限られる兼業投資家の方に有益な情報を届ける為、株式について日夜分析を行っている。
  日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト(CMTA)
  相場に対するモットーは、「利食いたくなったら乗せろ」

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