看取り介護について(自分が看取りに取り組むきっかけ編)
話は自分がユニットリーダーだった時に戻ります。
看取りに目を向けるきっかけとなった入居者さん
当時、配属されていた施設では看取り経験が1人しかなかった時期でした。担当ユニット内で看取り時期になるという方が最期の時期に病院に運ばれて入院されました。
しばらくしてその方の面会に行くと…
爪が伸びて、産毛も生えっぱなし、口にはよだれのような跡で汚れており、オムツが顔の周りに敷いてある状況でした。(病院を非難する訳ではなく医療の場では、治療が優先されるため、介護の手が少なくなります)
そして数日後、その方は亡くなります。
自分がユニットリーダーとして、施設、看護師、そして家族さんにしっかり働きかけていれば、その方はユニットでもっと綺麗な姿で最期を迎えることができたのではないか?という後悔の念でいっぱいになりました…。
そして、今後このようなことが起こらないよう自分ができる精一杯で調整しよう!と心に誓いました。
看取りを実施させて頂いた最初の入居者さん
自分が勤めているのは特養ですので当然そういった場面がまた訪れることになりました。
前回の悔しさ、その時に自分が感じた思いを施設長に伝え、理解を得て看護師さんと調整。そして家族さんに話をさせていただく時間をもらい、自分の経験と家族さんの思いを繋ぎ合わせて、『施設で最期を迎えさせてほしい』と言う言葉を家族さんからいただきました。そして初めての看取りに取り組むこととなりました。
今と比べると知識や経験はとても少なかったですが、家族さんと頻繁に連絡を取りながら、ユニット職員や看護師さんと調整しながら本人の意思を尊重し看取り介護を行なっていきました。
そのことによって亡くなる前日までリビングで過ごしてもらうこと、トイレで排泄をしてもらうことが叶いました。
最期はとても綺麗な表情で見送ることが出来ました。
家族さんは息を引き取るタイミングで会うことは叶いませんでしたが、感謝の言葉をいただけ、さらに1年後にも感謝のメールをいただくことができました。そのことで自分が取り組んだことが間違いで無かったと理解させていただける機会となりました。
今ほど看取り介護が勧められている時代になく、自然死についての知識も少なかった自分が、入居者さんの姿を見て取り組んだ出来事でした。
情けない話ですが、枯れるように脱水になることで快楽物質が出て死の苦しさを和らげるなんて知識は当時無かったようにも思います。
今の施設で行ってること
知識不足の中から始まりましたが、その経験があって、そして一緒に働く仲間のおかげで、今年度の施設での看取り率は90%を超えます。
今の施設で本人さんを中心に家族さんに悔いのない看取り期を提供できるようになったのは、この2人の入居者さんとの出逢いのおかげと言って過言ではありません。
http://www.oyamada.net/kaigo/tabidachi.pdf
今はこんな素敵な冊子まで手軽に見ることが出来る時代になりました。
リンク貼っておきますのでよろしければ参考にしてください。